安藤美姫

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 週刊文春に20歳年下で現在16歳の教え子との「手つなぎデート」を報じられた、プロスケーターの安藤美姫。ライターの冨士海ネコ氏が指摘する、安藤が炎上を繰り返す意外な理由とは――。

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【写真を見る】教え子の目を見つめ手を握る安藤美姫 今回の騒動で過去の画像が話題に

「自分は誤解されやすくて」と言いたがる人がたまにいるが、安藤美姫さんもその一人ではないだろうか。現役時代は世界選手権で2度の優勝、オリンピックにも出場経験があるのに、荒川静香さんや浅田真央さんらに比べるとどうも好感度が低い。本人もそれはよく理解しているようで、かつては「自分はダークサイド」「性格の悪い女と思われる」とバラエティー番組でも発言していた。

安藤美姫

 けれども「誤解されやすい」と言う人の行動には、だいたいどこか隙があるというか、一言言いたくなるような脇の甘さがあるもの。今回は安藤さん、16歳の教え子とのデートが撮られ炎上したが、週刊誌の直撃に対し、安藤さんは「他の生徒にもしている」「距離感の近さは生徒の母親も了承済み」と答え、「面白おかしく書きたかったら書いていただいても」という挑発するような対応を見せた。しかし週刊誌発売前日に自身のSNSで「I can't take it anymore. I feel really burned out.(もう我慢できない、燃え尽きた)」などと苦言めいた英文を投稿。さらには別の週刊誌から、男子更衣室に出入りしわが物顔で振る舞っていると続報があり、物議を醸している。こちらについては事務所関係者が認め、反省していると回答もあった。

 安藤さんが挑発的な物言いをして炎上騒ぎを起こすのはこれが初めてではない。2年前は「スタバのカフェラテのミルクが少なく、頼んだが足してくれなかった」とインスタグラムのストーリーズに上げ“カスハラ”疑惑が浮上。バッシングの憂き目にあった。「スタバを好きだから」こそのボヤキに過ぎず、店や店員への攻撃ではないと弁明したが、「語尾伸ばして話すタイプの人」「朝早くでめんどくさかったんでしょうけど」という文章からは、店員に対する不快感しか感じ取れない。安藤さんも「美姫はぁ〜」というしゃべり方をしていただけに、お前が言うなというブーメランにも見舞われた。

 その場の気分で対応しては炎上し、炎上したらしたで「理解されない」「誤解」と言い訳する。炎上系タレントとしては実に素質がある安藤さんなのだが、コーチという裏方になるには、ちょっと火力が強過ぎる性格であるのは間違いない。

恩師はすでに予見していたコーチ適性の無さ 嫌われるのは「強さ」ではなく「弱さ」ゆえ?

 2011年のスポーツ紙で、安藤さんを育てた門奈裕子コーチと、元日本スケート連盟フィギュアスケート強化部長を務めた城田憲子氏の対談があった。それによれば安藤さんは幼少の頃から才能を感じさせる選手であったが、とにかく先生にべったりの「かまってちゃん」な少女だったという。対談では安藤さんのコーチとしての可能性も話題に上ったが、門奈さんは笑って否定。「日本のママたちとうまくやってくなんて、美姫には絶対出来ないですよ」とのコメントを残していた。ちなみに昨年、本田武史氏のスクールにて「あんたなんか出ても最下位」と生徒に言ったという“モラハラ”を保護者から告発されたと報じられたことも。安藤さんは報道内容を否定したが、コーチの予見は的中したといえるかもしれない。

 安藤さんのアップダウンの激しい性格は現役時代からさまざまな関係者が語っており、それは恋人関係にもあった元コーチ、ニコライ・モロゾフ氏も認めるところだ。その不安定さが華やかな男性遍歴と表現力に結びつき、安藤さんのタレント性を高めている部分もある。

 そう考えると、誤解しているのは世間ではなく安藤さん自身かもしれない。自分が嫌われる理由を「強くて奔放な女」に見えるからと思っているようだが、世の中はむしろ「孤独に弱いかまってちゃん」ぶりにこそ注目し、時に苦々しく見ているのではないか。強気に捨てぜりふを吐いたかと思えば、意味深なポエムで悲劇のヒロインぶる。ファンをけしかけるように店をさらしながら、愛ゆえだと自己弁護する。自身の正しさを声高に訴えながらも、正しいかどうかは味方の多さで決めようとするブレブレの自分軸に、「強さ」はみじんも感じない。

海外基準で切り抜けようとするのは今回は悪手? 「かまってちゃん」の安藤さんに求められるものとは

 安藤さんが英語で投稿したのも、海外からの「外圧」を期待したのかなと思う。「MeToo運動」やジャニーズ事件の再調査もあって、「海外から批判が殺到」となれば、尻込みするマスコミは多い。でも今回の件で海外基準を持ち出すのは、彼女こそマズイのではないだろうか。

 未成年に過剰に近づく成人に向けられる目は、日本より海外の方が厳しいし、きちんとした海外の人ほど、相手に不用意に触れることに敏感な向きもある。

 安藤さんは「母親が了承済み」「本人にも注意していた」と強弁している。でも何より問題なのは、安藤さんの負けん気に巻き込まれる生徒へのケアが見えなかったことだ。当該の選手は安藤さんとUSJに行った日に参加した選考会で、落選したという。奔放な言動は、結果を出してこそ許される。それを元世界女王の安藤さんなら、嫌というほど知っているはずなのに。

 この令和の時代に、カスハラ、モラハラ、セクハラという、ハラスメント疑惑の3連続回転で炎上し続けている安藤さん。誤解したければすれば、と世間にかみつき続けるより、選手の結果を出すことにも食らいついていってほしいところ。もともと言葉ではなく結果で世間を黙らせるガッツとバイタリティーはある人だ。現役時代の自分と同レベルの生徒を出した時はじめて、練習生のママたちからも、世間からも、「誤解」なく愛されるのではないだろうか。

冨士海ネコ(ライター)

デイリー新潮編集部