Photo: 千葉顕弥

カーシェアやレンタカーが充実している今、都会暮らしでクルマの必要性を感じている人もそう多くないのでは? とはいっても、「クルマのある生活」は体験してみないとわからないもの。

このご時世クルマを買う理由は、何も移動手段としてだけではありません。「趣味の一つとして」「ファッションとして」「人生の転機だったから」と人それぞれいろんなストーリーがあるんです。

小動物みたいに可愛い「トゥインゴ」。でも意外と…

ニコッと笑って見えるグリル、まるっこい“目”、小柄でぽってりとしたボディ…。どこをとってもキュートで、うっかり「あざと可愛い」なんて言いたくなるような、小動物さながらの、いや、ピクサー映画に出てくるキャラクターばりのルックスの、ルノー「トゥインゴ インテンス」。

カメラマンとして働くかくれいさんも、まさにそんな愛らしさに惚れ込み、2016年、その車を実家の家族カーとして迎え入れました。

基本はノーカスタム。でも純正のカーナビだけはつけることにしたところ、ちょうど外装と同じ「ブルー ドラジェ」のカラーリングにインテリアが統一されて、一石二鳥に。

ルックスはさることながら、大きな決め手だったのは、背を倒せばフラットにできる後部座席。おかげで、小柄なわりに積載量はほどよくあり、仕事柄大きめのカメラ機材を積むことも多い彼女をして「意外と積めるんです」と言わせるほど。

スタンドや背景紙などは、ハーフサイズを選ぶなど、トゥインゴ基準にしているところもあります。ただ、しっかり機材を積むと自分が寝る場所を確保できなくなるので、どっちを取るかですが…。

そう、「車中泊」こそ、彼女のカーライフのメインテーマ。

仕事で出張するときにホテル代わりに車で寝る。むしろ車中泊をしたいがために旅行へ出かける。なんてことも少なくないらしく、「たぶん、みんなが自然のなかでテント泊したいのと一緒だと思います」と、あっけらかん。

地方によくあるいつでも使えるタイプのバーベキュー場とか、湖畔のほとりとか、車中泊してもいい場所に車を停めて、景色を眺めながらチーズを齧ったりビールを飲んだり。そしてそのままぐっすり寝て…。最高ですよ!

たしかにそれは最高でしかないけれど、繊細そうなイメージを勝手に抱いていたぶん、彼女のワイルドな生態に呆気に取られてしまいます。でも、いわく、「鍵がかからない環境で女性ひとりで寝るのって怖いんですよ。だから、本当はテント泊もやってみたいけど、車なら鍵は確実にかかるから、その分安心なんです」と、なるほど、むしろひとりでもアウトドア泊を安心安全に楽しむために、車中泊はうってつけってわけか!

車中泊を快適にする便利アイテムたち

ひとりでの車中泊にさらに安心をプラスしてくれるのが、SEIWAのマグネットカーテン

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後部の窓3面に取り付けて、さらに、運転席と後部座席の間に1枚取り付ければ、就寝スペースの完成。これで安心して眠ることができ、同時に、前方の窓を遮らないことで周囲のひとを不安にさせないで済むのだとか。

気になる寝心地はというと、「私くらい背が低いと、ちょうどいいんです。押し入れのなかみたいにコンパクトな寝心地が、病みつきになりますよ…!」と、こちらの童心をくすぐってくる。

就寝時はニトリの家庭用三つ折りマットレスを敷いている。フラットにした後部座席と運転席のあいだには少し隙間ができるが、そこにマットレスの余った部分を折り畳んで入れるとちょうどよくハマり、床面を拡張できるのだとか。

エンジンがリアに搭載されているため、ちょうど寝床部分がじんわりとあたたかく、春から秋まではブランケット1枚でも快適に眠れるのだとか。冬場は、寝袋代わりにエマージェンシーシートを活用するそうで、その使い心地については以前彼女自身がこちらの記事でレビューしています。

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運転に自信がなくても

うち、家族全員運転がヘタなんです(笑)なので、トゥインゴにしたのは、運転が簡単そうだったからっていうのもあって。

はにかみながらそう打ち明ける、かくれいさん。前述のとおり、エンジンがリアに搭載された「トゥインゴ」だから、そのぶんノーズが短く、軽自動車並みかそれ以上にハンドルを切れるのが魅力です。

クルコン(クルーズコントロール)だけじゃなく、スピードリミッターも付いていて、それもかなり便利ですね。下道を運転するとき、たとえば60km/hで設定しておけばオーバーしないので、うっかり取り締まりに引っかかるのを防げます。

また、高速走行でののびやかで安定した走りも持ち味で、「5速、6速に入ってきたときが、この子の本領だと思います」と、彼女も太鼓判を押します。

反面、低速域は苦手。加速・減速をこまかく繰り返しながらの街乗りは、慣れるまではちょっとしたストレスだったとか。

デュアルクラッチなので、ブレーキ操作にコツが要ります。中途半端にブレーキを踏んでしまうと、『いまのは減速なの? それとも停車したいの?』と、この子が迷子になって、ガッコンガッコンしてしまうんです。

いまから自分がなにをしたいか、ハッキリ伝えるようにアクセルとブレーキを使わないといけないのが、慣れるまでは大変でした。

融通の効かない同士、仲良くできる

オートマ性能が多少低くても、そもそも、日本の街乗りは想定されていないフランス生まれの車。それに、彼女にとっては、それを差し引いてもあまりあるくらい、愛すべき魅力をそなえた、寝食をともにする相方。

「私自身はわりと“住めば都”タイプだから、不便なところがあっても平気です。運転もヘタだし、『融通の利かない同士、仲良くしよう』って感じ」と、ポンと肩を叩くように、まるっこい“目”に、そっと眼差しを向けるのでした。

Photo: 千葉顕弥