【豊 璋】韓国のコンビニが、ついに「日本のコンビニを超えた」の”深層”を探ってみた…!

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韓国の「コンビニ」が日本を抜いた…って!?

韓国が「日本を超えた」「先進国になった」という話は、よく出てくる。最近もまた「日本を抜いた」シリーズの新しいものが出てきた。

今回「日本を抜いた」とされるのはコンビニ事情だ。

朝鮮日報の記事によると、いま韓国ではコンビニ市場が右肩上がりで、Kコンビニが積極的に海外市場攻略に乗り出し、日系コンビニが掌握した東南アジア市場では「コンビニ韓日戦」が繰り広げられているという。

私が韓国で住む家から5分のところにあるコンビニの本社があり、そこには何度も商談などで訪ねたことがある。まず韓国での物販構造を話しておくと、てっぺんに百貨店があり、そこからモール、スーパー、コンビニの順番という印象だ。簡単に言うと百貨店で販売した商品をモールやスーパー、コンビニで販売するのは容易いが、その反対はかなり厳しいという実感である。私も商品を提案する時にはまず百貨店にしている。韓国で下から上に商品を押し上げる事の難しさを知っているからだ。

その難しさの原因の一つが横のつながりだ。日本で30円ほどで買えるチョコ菓子を売りたい韓国人ベンダーが私に依頼をして来たことがある。もちろん販売先の希望はコンビニなのだが、これを私は百貨店の社員バイヤーに頼んだりする。頼んだ結果、そのチョコ菓子の会社から韓国の現状視察に訪韓した際の商談に、3社のコンビニの担当者が同席した。日本からの担当者も食事を交えての3社同席商談なんて初めてと話して、「どう会社に報告しよう」と戸惑っていたことを覚えている。こういった各社へのお声がけも横のつながりで成立するが、このお声がけも下から上は難しかったりする。

ある日、私に日本のコンビニスイーツ韓国に持って来られないかと依頼が来たこともあった。当時は日本でも爆発的に売れていた商品の一つだが、その依頼を受けすぐ思ったのは「持って来られるわけないだろ」だった。

日本と韓国の「違い」

この頃はほとんど商品開発をする事自体を考えないでいたのが韓国だった。この商品にしても日本と提携して国内生産をしたほうが先々は楽なのだが、そこまで真剣に考える会社はなぜかいなかった。

そうした中で、ここ数年、Kコンビニで本格的に商品開発に着手したコンビニ大手が出始めてきた。その際、最初に日本を手本に開発したのが弁当だったと思う。日韓中で流行った日本ドラマからインスピレーションを受けたという弁当が発売された際、当時1000円近くしていたことをよく覚えている。

この時、コンビニの本部社員と昼食を取りながらこの弁当のことを話したが、初めてのことで生産コストがかさんでしまったと言っていた。その後、訪日する度に食品加工工場視察を何度も繰り返しながら、コストダウンの生産方法を学んで行ったという。

現在では、多くのKコンビニが新商品開発に力を入れている。かつては日本をお手本にしていたのが、いまは独自の進化を遂げて、成長していることは間違いない。

ただ、私の実感では、まだまだ品質に関していえば日本のコンビニクオリティには届いていないように感じる。Kコンビニのオリジナル商品が話題になるウラで、爆発的に売れるのはポケモンパンだったりもしている。Kコンビニが自社開発して、爆発的に売れてロングセラーになっている商品もあまり知らない。日本ではコンビニ発の大ヒット商品やロングセラーが数えきれないほどあるが、まだそこまでには達していないように感じる。

韓国が日本から学ぶこと

一方、さきほどの記事にあったように、Kコンビニの海外進出が目を見張る勢いなのは間違いない。この点は、私が日本に不満を感じる点だ。政治にしても商業にしても世界を視野に入れている人が少なすぎると感じる。私も商談をする際、特に老舗な会社は石橋をどんだけ叩けば良いのと思えるほど慎重に感じる。反対に、韓国はまず行ってみてから、やってみてからの話なのだ。

私は、韓国人の味覚を向上させたのは日本食にあったと思っている。反日、不買時には日本食が廃れると思っていたが、じつはこの時期に出店ラッシュだったのが寿司屋に、焼き鳥屋だった。コロナ禍で外食が難しい時期でも、出前で寿司や天丼が流行っていた。

韓国は日本から学んでいる。そして、海外に積極的に出ていくことで「日本を超えた」となるのだろうか。まだまだそうはならないと思うが、日本もその積極性には学ぶべきところはあるのかもしれない。

さらに連載記事『文在寅「回顧録」の“驚きの中身”…! 韓国で「文在寅大復活」という“悪夢のシナリオ”が幕を開けた』では、いま韓国で起きている“もう一つの異変”についてレポートしよう。

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