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めちゃくちゃダメな経営者は「ウチの社員は家族です」とドヤ顔で語る。本当にいい経営者は何と言う?
そう語るのは、これまで4300社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「もう誰も言ってくれないことがここに書いてある」と話題の著書『リーダーの仮面』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに「判断軸」を授けている。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、注目のマネジメントスキルを解説する。(構成/種岡 健)

会社は「生きるための基盤」

 人はさまざまな集団に属しています。
 会社、家族、友達、趣味の集まり、SNSでのつながり……など。

 生きているとあらゆるコミュニティに属することになります。

 ただ、その中で唯一「会社」だけが「糧を得るための」コミュニティです。
 家族や友達、その他多くのコミュニティは「糧を得るコミュニティ」があってこそ成り立ちます。
 つまり、会社がすべての土台になるのです。

 家族や友達コミュニティの充実をはかろうと思うのであれば、この「糧を得る」コミュニティを充実させる必要があります。
 十分なお金、食料がなければ、遊びに行くこともできません。
 これが、社会の仕組みです。
 経営者は社員のすべてのコミュニティの充実をはかるためにも、糧を得る「会社」というコミュニティを整える必要があります。
 リーダーも、その考えの下、部下の「糧を得る能力」を高めさせる。その環境を用意する。これが、やるべきことです。

 それなのに、手段と目的を入れ替えて、「会社は家族です」ということを平気で言う経営者がいます。

 まったく逆です。家族は家族、会社は会社です。

「足腰の強い社員」になろう

「私は家庭を優先したい」
「僕は友達との時間が大切です」

 そう言う人もいます。
 それ自体は大いに結構でしょう。

 当然、どのコミュニティを人生で優先させるかはその人の自由です。

 ただし、会社というコミュニティで糧を得なければ、他のコミュニティを充実させ続けることは難しい。これが現実です。
 しかも、今の日本経済は、そんなによくありません。
 こういうときにこそ、この事実をきちんと社員にも理解してもらい、真に「足腰の強い」社員になってもらう必要があります。

「やる気が出ない」「モチベーションがほしい」と言っていても会社はクビにしないし、なんとかなってきました。

 甘えていても大丈夫でした。

 しかし、コロナ以降にさまざまな問題が表面化し、そんなことを言っている場合ではなくなってきました。
 生きるか死ぬかのときに「やる気がないんで……」などと言っている余裕はないのです。

(本稿は、『リーダーの仮面』より一部を抜粋・編集したものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年4月現在、約4000社の導入実績がある。主な著書に『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』のシリーズ(いずれもダイヤモンド社)がある。