1月にスタートした新NISAが日本株好調の下支えに

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【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】#126

NISAはタイムカプセルだ! 株価下落で解約増だが、やめてはもったいない

 3月22日に4万888円の史上最高値をつけた日経平均。その後はパッとしないもみ合いが続くが、かといって、恐れられている暴落もなく、高い水準を維持している。下支えとなっているのが新NISA(少額投資非課税制度)を通じた継続的な資金流入だ。市場関係者が驚いているのは、1月にスタートした新NISAで日本株が想定以上に買われていることである。

 新NISAの内容を簡単におさらいしておく。「新」制度では非課税期間が無期限となり、1年間に投資できる額も大幅に増えた。上限額は投資信託が対象の「つみたて投資枠」が年120万円、国内外の個別株・ETF・投信などが買える「成長投資枠」は年240万円だ。

 日本証券業協会によれば、大手対面・ネット証券10社の集計で、NISA全体の1〜3月期の購入総額は4兆6822億円と前年同期の2.9倍にも拡大した。投資枠別では「成長投資枠」が83%、「つみたて投資枠」が17%。そして資産別では日本株が47%、投信が50%。外国株への投資は3%にすぎない。このペースでいけばNISAでの日本株の年間購入額は9兆円近くに達すると、市場関係者を喜ばせているのだ。

 NISAの日本株購入にはどんな特徴があるのかというと、目先の利を追いかけないということか。日経平均が年初の1月4日の3万3000円台から4万円まで7000円も値上がりしても、個人は買い越しを保っている。中東情勢の緊迫化で株価が大幅に下落した4月第3週には、個人の買越額は9085億円と週次で過去最大だった。安易に利益確定売りをせず、株価が下落したら買いを入れる。そんな傾向が、NISA利用者の動きから読み取れるのだ。

 証券口座の待機資金をプールするマネー・リザーブ・ファンド(MRF)の足元の残高は、15兆円台後半と過去最高水準にある。加えて、証券各社のNISAの「成長投資枠」はまだ大部分が投資されずに残っている。日本株にとって、新NISAによる買い勢力の台頭は、なんとも頼もしい存在なのである。 (丸)