――霊ではなく、明らかに「人」がいたということですね。

りーしあ:もし、私が気づいていなかったら、その場で襲われていたかもしれません。ナイフで動物を切り裂くぐらいですから、私たちの常識とは違う何かを持っている人なのではないかと思います。あれ以上に、恐怖と同時に命の危険を感じたことはないですね。

◆家族はどう思っているのか

――身を守るための準備はしているのですか?

りーしあ:熊撃退用の催涙スプレーはいつも持っています。それに、街灯もなく舗装もされていない山道を長時間進むことも多々あるので、服装にも気をつけています。足音でパンプスやヒールを履いているのではないかというコメントをもらうんですが、廃墟にはガラスなども落ちていますし、暗くて足元も見づらいので登山靴を履いています。それと軍手は必須で、スマホを触れるよう指あきのものを選んでいます。また、あらかじめ危険とわかる場所にはパンツで行きます。あとは、撮影に行く日は必ず家族にそのことを伝えてから行きますね。

――ご家族は心霊スポットへ出かけることに対して反対はなさっていないですか?

りーしあ:「無茶はしないでほしい」とはいつも言われていますが、両親は私がやりたいことは全力で応援すると尊重してくれています。ただ、亡くなった人がいる場所も多いので、「モラルを逸脱しないように」とは、厳しく言われていますね。

◆心霊系YouTubeは「時間とお金がかかる」

――数々のスポットを巡るようになって、わかってきたことはありますか?

りーしあ:心霊系YouTubeって、時間とお金がこんなにかかるものなんだなと(笑)。

――活動資金はどうやって調達しているのですか?

りーしあ:昼は真面目に働いているのと、YouTubeの収益、そして最近は自身のアパレルブランドを立ち上げることができて、多くの視聴者の方が買ってくださっているので、ギリギリ生きています(笑)。遠方まで出かけて現地で探索をしても、投稿して見ていただけるほどの現象に出会えず、ボツになることもありますし。アップできる採用率でいうと50%くらい。現状は月に1本ずつくらいしか出せていません。

――準備して撮影してとなると、数日かかると思います。それをボツにするのは悔しいですよね。

りーしあ:そうですね。でも、視聴者さんは厳しくて、声や音がかなり入っている動画にも「何にも起きないじゃん」っていうコメントがあります。現地にいくと、声や音が聞こえるだけでもかなりやばいんですけど、なかなかダイレクトに伝えるのは難しいですね。音だけでなく映像としての現象を求められますね。私を見ているというよりも、心霊現象を求めて見てくださる人が多いので、一定の現象が起きなければボツやカットせざるを得ないですね。

――将来の展望を教えてください。

りーしあ:HIKAKINさんに会いたいです(笑)。もともと大ファンでして、いつか会えればいいなと思っています。でも、HIKAKINさんは霊をあまり信じないそうなので、なかなか難しいかもしれませんけど。

――心霊系YouTuberとしての将来はいかがですか?

りーしあ:「今を大事に生きる」ということを考えています。これまで、危険な場所にもたくさん行って、危険な思いもたくさんしたうえで、「人はいつ死ぬかわからないから、今を大切にしよう」と思えるようになりました。これからもその瞬間の、やりたいことを十分にやって「今」を大事にして進んでいきたいですね。

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「女性一人で探索する」ことがより怖さを引き立たせる同チャンネル。ギリギリのラインを攻めてほしいとは思いつつも、くれぐれも自分の身を大事にしたうえで活動を続けてもらいたいものだ。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。