高速クリエイティブPDCAサイクルを実現する、 北の達人コーポレーション の顧客起点コミュニケーション思考
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高橋 一雄/株式会社北の達人コーポレーション WEBマーケティング部 セールスプロモーション課課長。2020年に北の達人コーポレーションに新卒入社。趣味は格闘技観戦とサウナ、YouTubeでポメラニアンの動画を見ること。最近は個室サウナに入りながらポメラニアンの動画を見ている。
「誰に」「何を」「どのように」伝えるのか
DD:マーケティングにおける判断軸は複数あると思いますが、なかでも顧客の声にフォーカスする理由を教えてください。高橋:我々はコミュニケーションを設計する上で、誰に何を訴求するクリエイティブにするのか明確にすることを重視しています。クリエイティブはデザインも重要ですが、我々は「誰に」「何を」「どのように」伝えるかという3つのフレームワークで捉えるようにしています。たとえば、「どのように」の部分だけにフォーカスしてしまうと、ビジュアル的なインパクトはありますが、「どんな人」に対し、「どのようなベネフィットをもたらす」商品なのかが伝わらず、購買にもつながらなくなってしまいます。表現手段である「どのように」を考える前に、この広告は「誰に」対して「何を」訴求することによって購入していただくのかを設計する必要があります。ある商品の、どの部分の魅力を押し出すべきなのかというのは、商品とお客さまを深く理解した上で見えてくると思います。ここがポイントで、それがきちんと伝わればデザインがカッコよくなくても、お客さまは魅力を感じ購入してくれると思っています。顧客の声を拾い上げるアナログとデジタルの組み合わせ
DD:顧客理解とはよく言われますが、実際のところとても難しいですよね。どのようにして理解を深めているのでしょうか。高橋:基本的には、当社の商品を購入してくれているお客さまの声をさまざまな媒体でヒアリングしています。メールやSNSはもちろん、コールセンターも内製化しているためあらゆるご意見を直接聞いています。既存のお客さまだけでなく、まだ当社の商品を購入していない方に対するヒアリングも行っています。たとえば、「ヒアロディープパッチ」のターゲット層である45歳以上の男女を対象に、「どのようなニーズを持っているのか」「購入していない人はどう思っているのか」などを聞きました。当社の商品を購入しているかどうかにかかわらず、購入していない人がどう感じているのかを聞けば、そこに対して我々が集客できていない客層がどのような人たちなのか分かります。そういう方にはアンケートを取り、その部分を活用しています。今では、友人ならLINEで聞いたり、オンラインでインタビューできるサービスを活用しています。商品によっては、渋谷の街中で実際に声をかけているメンバーもいます。実際に商品を見てもらい、どう思うのかなどヒアリングすることもあります。DD:アナログでアンケートはすごいですね。高橋:Web広告で数値は可視化できますが、単純に数字がどの程度なのかというだけで判断するのはミスが多くなると思っています。重要なのは、なぜその数字になっているかという背景を紐解いていくこと。Web上のざっくりとした定量的なデータ、大枠の比率などは見られますが、クリエイティブの中身を考えるという部分でいうと、たくさんの人に統計的に質問をするよりもひとりに深く聞く方が気づきを得られることが多いと思います。常に興味関心を喚起するクリエイティブを実現するには
DD:そうしてお客さまから得た声を、具体的にどのようにコミュニケーションやクリエイティブへと落とし込んでいくのか、プロセスを教えてください。高橋:我々の認識とお客さまの認識のあいだに、どのようなズレがあるのかを把握するのがスタートラインだと考えています。どのようにズレていたのかが明確になれば、自ずとクリエイティブ修正の方向性も決まっていきます。ズレを把握するという点においては、お客さまを取り巻く市場が変化するなかで、自社商品の普及度を正確に把握することが重要だと考えています。たとえば、発売したばかりの新商品と、実績がある商品では、狙うべきターゲットは大きく異なります。当然打ち出していく訴求の内容も異なるので、商品の状況などに合わせてケースバイケースで考える必要があります。DD:絶対的な成功パターンなどはなく、常に最適化を行う必要があるんですね。高橋:Web広告の難しさは、どんどんクリエイティブ疲弊していくところです。「この広告はずっと出てくる」と思われてしまうと、広告がスルーされるようになり、やがては商品への興味関心も失われていくという負のサイクルに入ってしまいます。その上で「誰に」「何を」「どのように」の、どのレイヤーから変える必要があるのかという判断と、常に新しい切り口を考えることが必要になります。顧客の声から生まれる、変わり続けるクリエイティブ
DD:クリエイティブはどのくらいの頻度で変えているんですか。高橋:「どのように」の部分はデイリーで変え続け、新しいものをどんどん出しています。各商品チームにクリエイティブのメンバーがいるので、彼らが頑張ってやってくれています。DD:同じ商品をデイリーで変え続けるというのはすごいですね。何種類ものクリエイティブを考えるのは簡単ではなさそうです。高橋:行き詰まったら、まずお客さまの意見を取り入れています。我々がよいと思っている切り口と、お客さまの心に刺さっている切り口は必ずしも一致はしません。実際に商品を愛用してくださっていて、気に入って使用している方の声を聞くのは、我々の固定概念にとらわれず、新しいものを生み出せるようになります。さらに、その商品をよいと思ってくれている方の生の声なので、ほかのお客さまの心にも刺さりやすい言葉が多いです。我々がいろいろ考えて案を出したとしても、それはメーカーとして伝えたいことになってしまっているため、お客さまが欲しい言葉ではなく効果は出ません。お客さまの声から新しいものを組み立てる、ということは常々やっています。DD:そうした思考ができるのは木下勝寿社長のノウハウを学んだからでしょうか。高橋:代表取締役社長兼WEBマーケティング部の部長を務める木下にマーケティングを学びました。木下は試用期間や配属前の人にも面談を直々にしており、入社してもすぐに学べる環境にあるため、未経験でもマーケティングを勉強できます。実際に、木下に直接教えてもらえたのは私のなかで大きいと思っています。たとえば、中途の研修でも、丁寧に指導し、フィードバックを行っています。そういった環境で学べたのはすごく恵まれていると思います。![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/e/6/e6319_1631_dc5319d21f1db9e40523c69643733452.jpg)