〈大木淳夫の4月の新店アドレス〉新宿で話題のグルメエリアや、大阪の人気タイ料理店がオープン
数々のおいしいお店を訪れ、食べロググルメ著名人として、食べログマガジンでもさまざまなお店を教えてくれる大木淳夫さん。毎月たくさんの飲食店がオープンする中で、大木さんが注目する新店をずらりと紹介します。
教えてくれる人
大木淳夫
「東京最高のレストラン」編集長
1965年東京生まれ。ぴあ株式会社入社後、日本初のプロによる唯一の実名評価本「東京最高のレストラン」編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に「キャリア不要の時代 僕が飲食店で成功を続ける理由」(堀江貴文)、「新時代の江戸前鮨がわかる本」(早川光)、「にっぽん氷の図鑑」(原田泉)、「東京とんかつ会議」(山本益博、マッキー牧元、河田剛)、「一食入魂」(小山薫堂)、「いまどき真っ当な料理店」(田中康夫)など。
好きなジャンルは寿司とフレンチ。現在は、食べログ「グルメ著名人」としても活動中。2018年1月に発足した「日本ガストロノミー協会」理事も務める。最新刊「東京最高のレストラン2024」が発売中。
流れが素晴らしい肉割烹と、凱旋した有名シェフのアラカルト中華
シャトーブリアンとご飯で大満足の肉割烹
今、肉ラバーの間で話題になっているのが4月1日、中目黒から銀座に移転オープンした肉割烹「おか粼」です。店主は大人気店「肉割烹 岡田前」のスタッフでもあった岡粼睦さん。さらに大手外食グループのソルト・コンソーシアムで、数々の人気店をプロデュースしてきた経験もあるだけに、ご主人のキャラクターも含め、客を飽きさせません。
佐助豚のしゃぶしゃぶ、フィレ肉といぶりがっこの巻物、炭焼き後に蒸して、さらに藁で香り付けした牛タンなどがテンポよく出てきて、なんとも軽やか!と思ったら、ご存じサカエヤさんのジビーフで、記憶に刻めとばかりに濃厚な肉のうまみが口中を支配し、最後はシャトーブリアンとご飯で大満足に。万人が肉を最後まで楽しめるうれしいコース構成でした。
<店舗情報>
◆おか粼
住所 : 東京都中央区銀座6-4-3 GICROS GINZA GEMS 6F
TEL : 03-4400-8592
凱旋シェフの中華料理
一方、中華ラバーを狂喜させたのは3月13日、 麻布台ヒルズに開業した高級ホテル「ジャヌ東京」内の「虎景軒(フージン)」です。「ジャスミン」グループの総料理長として名を馳せた後に中国へ渡り、浙江省天台山「星野リゾート 嘉助天台」の総料理長を務めていた山口祐介さんが凱旋しました。
なんといっても多彩なメニューをアラカルトで堪能できるのがうれしいところ。もちろん名物を楽しめるコースもありますが、グラスを片手にゆっくりオーダーを悩むのもレストランの醍醐味。テーマカラーという赤の照明が印象的な店内は天井が高く、ゆったりした空間で高揚感を味わえます。
今後はさらに、山口シェフならではの上海料理が楽しめるようになるとのことなので、期待大です。
<店舗情報>
◆虎景軒
住所 : 東京都港区麻布台1-2-2 ジャヌ東京
TEL : 050-1809-5550
大型施設内「イイトルミネ」と「新丸ビル」の話題店
話題の「イイトルミネ」
4月17日、JR新宿駅改札内にオープンして話題を呼んでいるグルメエリアが「イイトルミネ」です。全28店舗のうちイートインは6店で、もちろん一番人気は「らーめん鴨to葱」。しかし海苔好きとしては「お茶漬けおにぎり 山本山」に引き寄せられました。創業334年の新業態。山盛りの3種の海苔にほうじ茶の出汁をたっぷりかけていただくお茶漬けは贅沢な香りに包まれ、うっとりします。朝8時からの営業なので、モーニング需要も多そうです。
<店舗情報>
◆鴨to葱 イイトルミネ新宿店
住所 : 東京都新宿区新宿3-38-2 JR新宿駅 B1F イイトルミネ新宿店エキナカ
TEL : 不明の為情報お待ちしております
<店舗情報>
◆お茶漬けおにぎり 山本山
住所 : 東京都新宿区新宿3-38 JR新宿駅 B1F
TEL : 03-6380-5460
自動販売機エリアも
テイクアウトではロッカー型の自動販売機エリア「THE BENCH」で、ゴールデン街の人気店「OPEN BOOK」のレモンサワー缶を購入できます。地元・新宿の名物を販売するのはいいですね。旅行のお供にぜひ。
ちなみに最大の行列は「羅家 東京豚饅 (らけ とうきょうぶたまん)」。日曜の朝10時で50人以上並んでいました。大阪土産の雄「551蓬莱」創業者の孫が、その味を再現したというふれこみのお店。この出店をきっかけに、人気東京土産の地位を確立しそうです。ちなみに恵比寿の1号店は、並ばずに買える日もあるので私も愛用しています。
<店舗情報>
◆羅家 東京豚饅 イイトルミネ新宿店
住所 : 東京都新宿区新宿3-38 イイトルミネ
TEL : 03-5919-0551
スターシェフのカジュアルビストロ
そして、東京駅の新丸ビル7階には、4月18日「NY BISTRO by NO CODE」がオープンしました。ご存じ・スターシェフ米澤文雄さんプロデュースの新店です。もやしのカチョエペペやエノキのトリュフカルボナーラといった遊び心にあふれた品から、シェフならではのフムスや牛カツまでバラエティ豊か。
さらにランチの人気メニューである和牛バーガーのミニサイズまであります。自分で選べる5,000円台からのワインセラーもあるのですが、特に1万円以上のワインは相当お得な値付けですので、ワインラバーは要チェックです。丸の内らしい、カジュアルラインのいいお店ができました。
<店舗情報>
◆NY BISTRO by NO CODE
住所 : 東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸ビル 7F
TEL : 03-4400-0198
注目したい、すき焼き、フレンチ、タイ料理
続いては行きたかったのに、オープン月に行けなかったお店です。
ふわふわ卵で食べるすき焼き
3月1日、虎ノ門ヒルズ駅と神谷町駅の間にオープンしたのはすき焼きの「あさい」です。2016年に閉店した名店「よしはし」のスタッフが中心なだけに、名物だった卵白をメレンゲ状にする卵や、たっぷり炒ることで鍋に残ったうまみを存分に吸ったしらたきは健在。一方で、料理長には西麻布にあった 「臼杵ふぐ山田屋」出身の廣瀬和也さんを迎え、肉はサカエヤさんの近江牛にするなど、おいしくなるための変革に抜かりはありません。肉の間に供される野菜のアクセントもよく、最後まで胃が重くなることなく、それでいて素晴らしい満腹感を味わえます。訪れた日は女将の篠崎由美さんが調理を担当してくれましたが、仲居さんが目の前で作ってくれる贅沢感はすき焼きならでは。カウンターと個室カウンターのみで、おひとりさまもOKです。
<店舗情報>
◆あさい
住所 : 東京都港区虎ノ門3-11-15 SVAX TTビル 1F
TEL : 03-6452-9995
センスあふれる内装のフレンチ
2月14日、麻布十番にオープンしたのはフレンチ「OLINA(オリナ)」。まずシェフの若きフランス人、オリヴィエ・ガルシアさんの誠実なキャラクターがとても魅力的です。オープンキッチンなので、これは大事です。サービスはパートナーで元ファッションデザイナーの高遠菜都子さん。彼女のセンスなのでしょう。内装から器に至るまで、シンプルながら柔らかな温かさがあり、気持ちのいい時間が過ごせます。ワインの監修とサービスのサポートは「ラス」のシェフソムリエだった常盤努さん。彼の提案するワインも抜群です。
フレンチの技法に和の食材や発酵を自然に取り入れ、美しい一皿に仕上げる料理は、まさにモダン。新しい春のコースでしたが、旬の野菜がたっぷりで季節を堪能できました。
<店舗情報>
◆OLINA
住所 : 東京都港区東麻布3-6-11 THE CITY 麻布十番 EAST 5F
TEL : 03-6277-6789
ハレの日のエスニック
そして同じく2月14日、北参道にオープンしたのがタイ料理の「Modern Thai CIEL 北参道」です。2020年に大阪・新福島にオープンした人気店が、念願だったという東京進出を果たしました。おすすめされた8,800円9品のコースは、オールスターと言いたくなる品揃えでテンポよく提供されます。お腹を落ち着かせるお粥でスタートし、イチゴをポイントにした生春巻き、しらすと菜の花のグリーンカレーなど、一皿一皿が旬を感じられる美しい仕上がり。スパイスに合うナチュラルワインも豊富に揃っています。ハレの日のエスニックとして重宝できそうな一軒です。
<店舗情報>
◆Modern Thai CIEL 北参道
住所 : 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-22-4
TEL : 050-1809-9003
大分の名物焼きそばとハワイのヴィーガンレストランが都内に
熱々の鉄板で食べる焼きそば
3月23日、原宿の通称“とんちゃん通り”にオープンしたのが焼きそばの「来々軒」です。
本店は大分県日田市にあって、日田焼きそばの名店&大分県で最初のラーメン店として知られています。その来々軒ののれん分けとして、お店の正面にある老舗古着店「ベルベルジン」がこちらを開業しました。日田焼きそばの特徴はパリッと焼き上げて、さらにシャキシャキのもやしが入っていること。熱々の鉄板で提供されるので、最後は麺がベビースターのように。これはクセになる味です。焼きそば好きの方はぜひ。
<店舗情報>
◆来々軒
住所 : 東京都渋谷区神宮前3-25-7
TEL : 不明の為情報お待ちしております
渋谷のヴィーガンレストラン
「渋谷サクラステージ」の開業で注目を集める渋谷・桜が丘エリアにはヴィーガンレストラン「LOTUS CAFE TOKYO」が4月4日にオープンしました。昨年まで同じくヴィーガンで有名な「なぎ食堂」があった場所です。ちなみになぎ食堂は、5月に鎌倉でオープン予定のようです。こちらの特徴は、ハワイで有名な「Peace Cafe」のメニューもいただけること。ランチで名物というハノイサンドイッチをオーダーしましたが、 まろやかなコクに驚きました。ピーナッツソースとアイオリソースなのですが、バターもチーズも使わず、この味が出るとは。デリのメニューも充実です。
<店舗情報>
◆LOTUS CAFE TOKYO
住所 : 東京都渋谷区鶯谷町15-10
TEL : 03-5422-3071
ビールのうまさを堪能できるホールと、新業態?カレーワインバー
楽しくお酒を飲めるスポットも誕生です。
夏に行きたいビールの飲み比べ
4月3日、恵比寿ガーデンプレイスにオープンした「YEBISU BREWERY TOKYO」は早くも入場制限が出るほどの人気です。目視する限り、9割の人がオーダーしているのがビール4種飲み比べ。なんといっても、もともとは伝統のサッポロビール恵比寿工場があった場所ですから、同社のプライドをかけておいしいビールが提供されるはずで、実際うまいです。
開放感のある高い天井、銅色に輝く仕込釜などの素敵な空間もおいしさを増幅させている気がします。GWは大混雑だと思いますが、今年の夏はぜひこちらで乾杯を。
<店舗情報>
◆YEBISU BREWERY TOKYO
住所 : 東京都渋谷区恵比寿4-20-1 恵比寿ガーデンプレイス
TEL : 03-5423-7255
2軒目におすすめカレー&ワインバー
3月27日、北参道にオープンした「Mine」はなんと、”カレーワインバー”です。店主は元「ドミニク・ブシェ・トーキョー」ソムリエの山本佳英さん。六本木の「ケンゾーエステイトワイナリー」時代の同僚とタッグを組み、“カレーとワインは合わない”という定説に挑戦です。米はジャスミンライスと白米の混合。辛みの強いスパイスは使わず、まろやかな痺れのフレンチカレーで、独特のフォルムも食欲をそそります。もちろんこのカレーに合う赤白のグラスも。他にも魚醤とバターを塗ったベビーコーンやカレーペーストのウフマヨなどもあり、何より店主のサービスがしっかりしているので、2軒目需要が急増している今、覚えておきたい一軒でしょう。
<店舗情報>
◆Mine
住所 : 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-10-5 Asway Sendagaya B1F
TEL : 03-4400-0156
毎日通いたくなるカフェと大人のホットドッグ
8時からオープンの落ち着くカフェ
麻生十番大通りには素敵なカフェが誕生しました。4月8日にオープンした「CHIHYE COFFEE(チヘ コーヒー)」です。人通りの多い商店街の路面店なのですが、そんなメジャーな場所にあるとは思えない、白い壁のキュートな外観。ほっこりできる2階はテーブルとWi-Fi、電源完備のカウンター。朝8時からの営業で、美しいラテアートのカフェラテはもちろん、100%ジュースにエスプレッソを注いだ「アップルアメリカ―ノ」「オレンジアメリカーノ」といった逸品も。たっぷりのクリームチーズがのった、スパイスのアクセントも絶妙のキャロットケーキなども充実。個人店ならではのこだわりと丁寧さにあふれています。オープンすぐに訪れましたが、早くもインターナショナルな客層で賑わっていました。絶対人気店になるだろうけれど、入りやすい店であってほしい……そんな勝手な気持ちが湧いてしまうお店です。
<店舗情報>
◆CHIHYE COFFEE
住所 : 東京都港区麻布十番1-7-10
TEL : 不明の為情報お待ちしております
大人のためのファストフード
表参道の空きスペースを利用し、キッチンカーなどが並ぶB-Flat COMMUNEに4月7日にオープンしたのは「HOTDOGGY」です。虎ノ門横丁「TAMA」出身の坂本允之さんと小倉大輝さんの独立店で、目指すのは“大人のためのファストフード”。メインのホットドッグは個性的なソーセージで人気の広島「.comm」と共同開発したオリジナル。このままでもおいしいんですが、プラス250円でオリジナルディップをオーダーし、たっぷり付けて食べると気分はアメリカン。ナチュラルワインと共にどうぞ。そしてふと隣のキッチンカーを見たら、なんと「東京最高のレストラン2024」の注目店「草原の料理スヨリト」が。ラムの串焼き、おすすめです。
<店舗情報>
◆HOTDOGGY
住所 : 東京都渋谷区神宮前4-4-4 b-flatcommune
TEL : 080-1620-9131
※価格は税込。
写真:大木淳夫
文:大木淳夫、食べログマガジン編集部