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巨匠マーティン・スコセッシ製作総指揮、2020年のサンダンス映画祭でUSドラマ部門審査員特別賞を受賞した『空はどこにでも』(2022)の奇才ジョセフィン・デッカー監督長編第4作『Shirley シャーリイ』が、2024年7月5日(金)に日本公開となることが決定した。あわせてシーン写真7点が到着している。

1948年、『ニューヨーカー』誌上に発表した短編「くじ」が一大センセーションを巻き起こした後、新しい⻑編小説に取り組んでいたシャーリイ(エリザベス・モス)だったが、なかなかスランプから抜け出せずにいた。小説の題材になったのは、ベニントン大学に通う18歳の少女・ポーラが突如として消息を絶った未解決の失踪事件。同じくベニントン大学教授である夫のスタンリー・ハイマン(マイケル・スタールバーグ)は、引きこもってばかりいるシャーリイの機嫌をとって執筆へ向かわせようとするもうまくいかない。

そんな二人のもとへ一組の夫妻が居候としてやってくる。文学部でハイマンの補佐として職を得たフレッド(ローガン・ラーマン)は、妻のローズ(オデッサ・ヤング)と共にバーモント州の学園都市へ移住を計画していた。新居が見つかるまでの間、無料で部屋と食事を提供する代わりに家事や妻の世話をしてほしいスタンリーに半ば強引に言いくるめられた夫妻は、何も知らずにシャーリイとスタンリーと共同生活を送ることに。

当初は他人が家に上がり込むことを毛嫌いしていたシャーリイだったが、ひどい扱いを受けても懲りずに自分の世話を焼くローズを通じて、次第に執筆のインスピレーションを得るようになる。一方、ローズはシャーリイの魔女的なカリスマ性に魅入られ、いつしか二人の間には奇妙な絆が芽生えていく。しかし、この風変わりな家に深入りしてしまった若々しい夫妻は、やがて自分たちの愛の限界を試されることになるのだった......。

公開された場面写真は7点。光の届かない森の中に机を置き、妄想とも現実とも区別のつかない中で新作の執筆にたずさわるシャーリイ、何かを見据えて不穏な表情を浮かべるシャーリイのほか、彼女が混乱した同居人夫婦の妻・ローズをたしなめる様子、食卓で執筆に口を出す抑圧的な夫スタンリー、大学の職を得て新しい街に引っ越してきたばかりのフレッシュなフレッド&ローズ夫妻の明るい希望が滲み出してくるような空気感を捉えたものなど、不穏、困惑、希望などがうかがえる。シャーリイ・ジャクスンの小説、そして本作の雰囲気を体現するように、幻想と現実が入り乱れたカットとなっている。

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本作は、スティーブン・キングも影響も受けたと言われるゴシック作家シャーリイ・ジャクスンの伝記に、現代的で斬新な解釈を加えて練り上げられた、想像力とダイナミズムに満ちた心理サスペンス。彼女の小説だけでなく、配偶者で文芸評論家でもあったスタンリーとの数百通の手紙をもとに制作されている。また、作家自身のキャラクターを描きながら、まるでジャクスンの小説世界に迷い込んだかのような、幻惑的な映像を作り上げた。

デッカー監督は、シャーリイ・ジャクスンについて「ある批評家か伝記作家が、“シャーリイは政治的な作家ではない”と指摘していましたが、シャーリイは私的なレベルにとどまりつつ政治を意識していたと思っています」と語る。そして「だからこそ彼女の作品は今でも響き続けるのです。彼女の作品は非常に人間的だから時代を超えて読まれています。シャーリイは非日常的な設定、心理描写、あるいは潜在意識に訴える巧みなリズムを使って人種差別、階級差別、性差別と闘っていたのです」とその魅力についてコメントした。

脚本を手がけたサラ・ガビンズは⻑年、文学とかけ離れたホラー作家として扱われてきたシャーリイ・ジャクスンについて異議を唱える。「彼女は数多くの短編や⻑編を残しましたが、ホラー作品によくある吸血⻤やゾンビや幽霊や神話上の怪物は登場しません。その代わり日常のありふれた風景の中に恐怖を見出すのがシャーリイの小説の特徴でもあります。人間こそ恐ろしい怪物であり、私たち自身の精神が血に飢えた悪魔的な妖怪であり、私たちの社会はのどかなパーティーを楽しみつつ石打ちの刑にも加われる気まぐれな人々の集まりなのです」と述べている。

シャーリイを演じたのは『透明人間』『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』などで知られるエリザベス・モス。ほか、『シェイプ・オブ・ウォーター』『君の名前で僕を呼んで』などに出演する名バイブレーヤーとしても評価の高いマイケル・スタールバーグ、『グッバイ!リチャード』のオデッサ・ヤング、『ウォールフラワー』『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』のローガン・ラーマンら一流キャストが集結した。

映画『Shirleyシャーリイ』は2024年7月5日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー。

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