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 スウェン・ミスリンタト氏がもう間もなくして、ボルシア・ドルトムントに帰還しようとしている。ハンス=ヨアヒム・ヴァツケCEOが今季終了後から引き継ぎに入り2025年秋に完全に終了するなかで、ボルシア・ドルトムントではカーステン・クラマーCMO、トーマス・トレースCFOによる取締役陣の新たな候補として、セバスチャン・ケールSDの名前が浮上しているところ。ただ内部では批判的な声もみられるなど、その決断は今月中にも下される予定で、そもそもまだ具体的には組閣内容など不透明。

 ヴァツケ氏のアドバイザーを務めていたマティアス・ザマー氏の参画の可能性も報じられるが、おそらく取締役会入りとまではいかないはずだ。そんな中で追加人事という点で有力候補として浮上しているのが、スウェン・ミスリンタト氏である。1998年から2017年にかけてボルシア・ドルトムントに在籍した経緯をもつ51歳は、『ダイヤの原石発掘者』としてその名声を高めており、かつては香川真司、ウスマン・デンベレ、ピエル=エメリク・オーバメヤンらの獲得への貢献などご存知の方も少なくないだろう。

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ダイヤの原石発掘:香川真司、遠藤航、伊藤洋輝ら獲得

 その後に『ヘッド・オブ・リクルート』としてアーセナルFCに移籍。そしてシュツットガルトにてSDとして帰還したミスリンタト氏は、そこでマタラッツォ監督やヒツルシュペルガー代表らと共に、ブンデス2部降格から見事1年での1部返り咲きを達成。主将・遠藤航や本来セカンドチーム向けに獲得した伊藤洋輝などを擁して昇格初年度を9位でフィニッシュするなどの成功を収め、更なる昇進も視野に入れていたのだが、その一方で昇格2年目からは残留争いを強いられる展開もあり、競技部門における最終決定権を得られなくなったことで退任。

アヤックスを不正疑惑で退任も確認はされず

 2022年11月に3年半過ごしたシュツットガルトを後にして、2023年5月からは再び舞台を海外へ、アヤックス・アムステルダムにてSDとしてチーム再編を託されたのだが、しかしながらボルナ・ソーサとの契約における不正疑惑、そしてチームの不振なども重なりわずか4ヶ月で退陣。ちなみにミスリンタト氏による不正行為については確認はされておらず、あくまでアヤックス退任は「契約上合意された条件」に基づいて終了したものであると、ミスリンタト氏はキッカーに対して説明した。つまりドルトムント入りへの障害が特になく、前述の通り役職についてはまだ不明だが恐らくは、来季に向けたチーム作りから、もう間もなくしてミスリンタト氏は担当していくことになるだろう。

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取締役会のみならず、チーム作りも再編成まったなし

 特にボルシア・ドルトムントでは長年に渡りチームを支えてきた元主将マルコ・ロイスより、昨夏の時点で主将がエムレ・ジャンに引き継がれるなど、もはやチーム再編成の波は待ったなしのところまで来ている。たとえば契約面でいえばそのマルコ・ロイスやマッツ・フンメルスの契約はこの夏いっぱいまできており、成績面では確かにチャンピオンズリーグでは8強入りと奮闘をみせたとはいえ、国内タイトルに至ってはドイツ杯、リーグ戦ともに程遠い結果に。今季無敗のレバークーゼンや3位シュツットガルトが大きな飛躍を遂げる裏で、エディン・テルジッチ監督の去就問題にまで発展し、この夏に控える自国開催のユーロでは、ドイツ代表に開幕前はブレーメンに在籍していたフュルクルクのみ輩出という結果に終わるかもしれない。