大満足の鮨デートができる、横浜の人気店3選!楽しく本格的なコースを満喫
港町ではあるが、“鮨の街”という印象が強くあるわけではない、横浜。
しかし、東京の名店で修業をし、地元でその腕を振るう職人も実は多いのだ。
そして嬉しいことに、東京よりも予約が取りやすく価格が控えめ…なんてことも!今回は、満足度の高い“横浜・鮨デート”をご提案。
正統派の握りが味わえる『鮨 はま田』、多数のつまみも楽しめる『鮨つぐ』、遊び心とひねりのある鮨が話題の『野毛のおにかい』。
1.酢と塩だけのシャリで、切れ味の良い鮨を愉しむ
『鮨 はま田』
以前、『次郎よこはま店』の名で店を構えていた『鮨 水谷』の水谷八郎さんが銀座に移転したあとを引き継ぐ形で2004年にオープン。5年前に改装した
常連が醸す穏やかな空気感に、日本人が愛する鮨の原点を思い出す
飴色に輝く付け台の艶やかさが年月の流れを思わせる『鮨 はま田』。
関内にオープンして20年。ミシュランでも評価を受けた江戸前鮨の名店だ。
“青木”仕込みの仕事に、江戸前の粋が光る
親方の浜田 剛さん48歳。寡黙かつホスピタリティのある接客が持ち味
品書きは、つまみ5〜6品に握り13貫前後で2万5,000円のコース一本勝負。横浜ではやや高めの値付けだが、それも正統派の一貫を口にすれば納得がいく。
豊洲から仕入れる鮨ダネに妥協はなく、仕事も丁寧。
天草産の小肌。塩と酢で30分ほど〆て3日間寝かしている。やや大きめサイズが浜田親方の好み
脂のノリに合わせて加減する小肌の〆具合も絶妙なら、まぐろの目利きも確か。
大間産の天然本まぐろの赤身。仕入れは豊州の「結の花」から
脂に頼ることなく赤身の旨みで選んだそれは、しっとりとした身質とやや酸味を帯びたコクが本領。
粘り気がなく、ひと粒ひと粒がパラリと解ける食感が、浜田さんの目指す鮨飯の在り方。米は秋田小町とコシヒカリをブレンド。赤酢は米酢の香りを感じる横井醸造の「珠玉」を使用
砂糖は加えず赤酢と塩のみで仕上げたキリリと粒感のある鮨飯との相性も上々だ。
たまごを鞍掛けで握るのも江戸前の仕事の特徴。芝エビと三温糖のみで焼くそれは熟練の技がものを言う
厚焼きではなく、あえて薄焼きにしたたまご焼きなど正統派の江戸前鮨を標榜しつつ、独自の感性を加味した握りを堪能したい。
満たされた帰り道には……横浜公園の夜風にあたりしっぽりと
横浜DeNAベイスターズの本拠地“ハマスタ”を囲む都会のオアシス。
園内には噴水や日本庭園、花壇もあって、試合のない日は、格好のデートスポットに。
■店舗概要
店名:鮨 はま田
住所:横浜市中区太田町2-21-2 新関内ビル 1F
TEL:045-211-2187
営業時間:17:30〜21:30
定休日:水曜、不定休
席数:カウンター8席
2.1万円とは思えぬコースに、高揚が止まらない
『鮨つぐ』
大将の郄田直嗣さんと女将で奥様の裕子さん。裕子さんも、銀座の『鮨わたなべ』で修業した経歴を持つ。夫婦ともに鮨職人だ
西麻布での修業が活きる、「飲ませる」鮨
横浜話題の一軒として東京からも訪れる“鮨通”があとをたたない『鮨つぐ』。
大将の郄田直嗣さんは脱サラ後、27歳にして鮨の道に進んだ異色の経歴の持ち主だ。西麻布の鮨店で修業後、縁あって関内に店を構えて3年目になる。
古びたビルの2階、扉を開ければ、そこは檜のカウンターや氷冷蔵庫が泰然とした趣を湛える静謐な空間。そして驚くべきはその費用対効果の素晴らしさだ。
全20品余りが登場するコースを1万円で楽しめる。中でも店の名刺代わりともいえるのが中トロ。
コースの最初に出る中トロの握り。この日のまぐろは大間。赤身の美味しい背の部分を仕入れている
人肌程度の鮨飯で握るそれは、仄かな熱が中トロの脂を程良く温め、口にした瞬間に一体化。ふわりと解ける。
2種の赤酢を用いたコクのある鮨飯との相性も良く、コースの幕開けに相応しい味わいだ。
あん肝。叩いて奈良漬けとともに提供する
多数のつまみを織りまぜた緩急あるコース運びも見事。
仕入れは豊洲を中心に横浜の中央卸売市場を通して地の魚も扱う。
白子の握り。鮨店ではつまみで供されることの多い白子だが、この日は焼いて握りに。
天然蝦夷アワビ。2時間ほど茹でて、むっちりと柔らか。
北海道産ムラサキうにの握り。
鮨飯は赤酢2種に米酢1種をブレンド。米は粒がしっかりして粘りの少ない長野の「風さやか」を使っている。
北海道厚岸の生牡蠣の酢のもの。クリーミーで甘みが濃厚だ。
料理はすべてコース(10,000円)の一例。
当然、日本酒も上質な品ぞろえ!
ワインもあるが、ここでは日本酒が主流。新政酒造「天蛙」や「Earthアース-産土-」をはじめ、王祿酒造「王祿」、黒龍酒造「黒龍しずく」などプレミアムな銘柄がそろう。一合 1,000円から
地の利を活かした価格と鮨だね。横浜まで足を運びたくなる佳店といえよう。
酔いの幸福感に包まれながら……そぞろ歩く馬車道の街並みは最高の〆
歴史的な建築が点在する馬車道。山下公園まで続く“ガス灯プロムナード”には、約120の明かりが灯る。
ロマンチックな雰囲気も色濃く、夜の散歩に最適。
■店舗概要
店名:鮨つぐ
住所:横浜市中区住吉町5-57-2 TYビル 2F
TEL:045-225-9117
営業時間:17:00〜23:00
定休日:水曜、第3火曜
席数:カウンター10席、個室1(6席)
3.この「エンタメ感」が大人の遠足にちょうどいい
『野毛のおにかい』
野毛のディープな飲み屋街の一角に、看板もなく密やかな佇まいを見せるエントランス。扉に貼られたドリンクコースターだけが目印だ
予約殺到の“おにかい”が野毛に
“くずし鮨”をコンセプトに、カジュアルかつ独創性に富んだ鮨で評判の「鮨おにかい」グループ。
その4店舗目となるのが、野毛の飲み屋街に隠れ家の如くひっそりと店を構える『野毛のおにかい』だ。
隠れ過ぎな立地とヒネリある鮨が、遊び心を程良くくすぐる
「横浜のお客様は、つまみ感覚で鮨を楽しむ方が多いようですね。客層は20代から30代前半と比較的若めです」と語るのは大将の坂本和樹さん。
コース1万1,000円で楽しめる気軽さに加え、この店一番の魅力といえば、なんといっても目の前で繰り広げられるパフォーマンスの数々だろう。
まずは“野毛飲み”らしく、焼酎ハイボールで乾杯!
ハイボールやワインがミックスされた縦横無尽なペアリングも魅力。漬けにした大トロと赤身、中トロとそろい踏みのまぐろ巻きには、芋と麦の焼酎ベースの「ハイボールハイ坊」の骨太な旨みと切れ味が合う
例えば、見た目も豪快な「まぐろ巻き」は、大トロを眼前で炙って赤身や中トロとともに。
香りを纏った白身魚には、軽やかな赤ワインを
燻煙に包まれたサワラの風味を、シチリアの赤ワイン「カラニカ フラッパート」のアロマティックな香りが受け止める。赤酢を効かせた鮨飯にもぴったり
「サワラの握り」は切りつけた身を燻煙たち込める中、フレンチの如く“瞬間燻製”で仕上げるなど。
臨場感溢れるオリジナルテイストが印象的だ。
サクッと揚げた天ぷら鮨は、優しい酸味の赤とともに
『天麩羅みやしろ』監修の海老天海苔巻きは、厚みのある辛口の「バルベーラ デル モンフェッラート」とともに。旨みの余韻を楽しみたい。料理はすべて「ペアリングコース」(15,200円)の一例
ミシュランの一ツ星獲得の天ぷら店が直伝する名物「海老天海苔巻き」も、もちろん健在。
伝統の江戸前鮨を踏まえつつ、半歩進んだ“エンタメ鮨”は、文明開花の香り漂う横浜の街にこそよく似合う。
ほろ酔い気分で外に出れば……野毛の提灯に導かれてもう一軒!
提灯が吊るされた「柳通り」には個性的な店が点在。魅惑的な灯りに誘われるがまま、奥へ奥へと足を踏み入れたい。
■店舗概要
店名:野毛のおにかい
住所:横浜市中区野毛町2-79 林ビル 203
TEL:045-315-4118
営業時間:[一部]17:00〜
[二部]19:30〜
定休日:不定休
席数:カウンター8席
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【横浜の鮨店に足を運ぶべき理由とは……】
東京と変わらぬレベルの高さで、手頃な価格という驚きがある!
横浜の鮨店は地元に根付き、常連客を大切にする姿勢ゆえ、上質な鮨を出しながらも価格がぐっと抑えられている店が多い。
地元の上客たちが醸す空気は居心地が良く、東京とはまた違った楽しみがある。その雰囲気になじむべく末席にお邪魔する気持ちで伺いたい。
▶このほか:贅を極めた丼に目を奪われる、肉デートにぴったりの新店など。心躍るディナーならこの6軒へ!