ヤマハレディースオープン葛城を制した小祝さくら【写真:Getty Images】

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国内ツアー・ヤマハレディースオープン葛城

 女子ゴルフの国内ツアー・ヤマハレディースオープン葛城は31日、静岡・葛城GC山名C(6455ヤード、パー72)で最終ラウンドが行われ、首位に5打差の5位で出た小祝さくら(ニトリ)が6アンダー、1ボギーの67で回り、通算10アンダーで大逆転勝ちを飾った。単独首位で出た20歳・竹田麗央(ヤマエグループHD)に大まくりの勝利。昨年7月以来8か月半ぶりのツアー通算10勝目を挙げ、会見では小祝らしいマイペースな口ぶりで心境などを明かした。

 小祝が冷静に優勝争いを制した。前半5番で5メートルのパットを沈めてこの日初バーディーを奪うと、6番も連続で伸ばした。13番でボギーを叩いたが、8メートルを沈めた16番まで3連続バーディーだ。首位に並び、竹田が15番でボギー。小祝が単独首位に立った。17番パー3の第1打はグリーンを外したが、好アプローチでパーセーブ。最終18番パー5は第2打を花道まで運び、またも好アプローチでピン奥1メートル弱に寄せた。

 難なく沈めてバーディー締め。練習グリーンでパットを打ちながら2つ後ろの最終組の結果を待ち、吉報が届くと笑顔を見せた。今季は開幕戦から9位、2位、2位、16位。2つの2位はともに鈴木愛との優勝争いで惜敗。今大会は降雨によるコースコンディション不良で短縮競技になっていた。

「10勝目を挙げられたのは凄く嬉しいけど、あまり実感がないです。『やっと今週も終わったな』という感じです。頭を使ったホールが多くて。特に2日目と今日は風が強くて、あと花粉が結構飛んでいて頭が少し痛くて影響がありました。13番のボギーはショックが大きくて……。ここではボギーにしたくなかった。そこから気合いを入れ直してバーディーを獲ることができたので結果的にはよかったです。

 まだ5試合目で今季1勝。いいプレーができたんじゃないかなと思います。もう中堅と言われたり、(全体の)半分くらいの年齢。そこで10勝目を挙げられて、いい感じで来られたなと思います」

前週Vの臼井麗香とカラオケに「麗香ちゃんは昭和のバブリーダンスを…」

 5打差からのスタート。「全然、優勝の現実味はなく出ました。特に麗央ちゃんが伸ばすと思っていたので、5打差以上は伸ばさないといけない。それをこのコースで出すのは難しい。とりあえず今日の目標は5アンダーだと思った」と決めて出た。今大会はパットが入らない場面もあったが、すぐに握り方を変えるなど微調整。技術の引き出しを使い、対応してみせた。

「風が強いのとグリーンの傾斜もきついし、ピンポジションも難しい。ショットの精度だったり、頭と使いながらマネジメントしました。このコースは難しいけど、耐えていればいいことがあるイメージです」

 前週は同じ1998年度生まれの「黄金世代」の臼井麗香が初優勝。「麗香ちゃんはアマチュアから一緒に出ていて同級生として嬉しかった。自分も頑張ろうと思えました」と刺激に。オフには勝みなみらとカラオケに行く仲で、「麗香ちゃんは昭和のバブリーダンスみたいなものを踊っていて、それを見るのが楽しいです」と吐露。自身は「一番点数が出るのはKiroroです」と点数勝負の時に十八番を思い切って歌うという。

 黄金世代では10勝一番乗りだと伝え聞くと、驚きの表情。「みんな強い人ばかり。プロテストも受かる気がしなかった。そこからよくここまで来られたと思う」。今季から選手会長に相当するプレーヤーズ委員長に就任。選手と日本女子プロゴルフ協会との橋渡し役となる。これ以外にもツアー盛り上げのため、他選手へのインタビュワーを務めながらSNSでの発信に協力してきた。

「もっと選手の意見を取り入れたり、一人の選手としてみんなで話し合って改善していけたらと思っています。(プレーでも)また新たに改善点を探しています。課題がない時は実際にはない。1年間、『もっとこうしたい』と思うことの繰り返し。体力的にもあと何年できるかわからない。背中の張りとか肩こりもあります。以前は賞金女王を目指したいと言ってよくなかった年もあったので、今年は自分のゴルフと向き合いながらやりたいです」

 時折、報道陣の笑いに包まれた珍会見。小祝はこれからもゴルフと独特なキャラクターで魅了してくれそうだ。

(THE ANSWER編集部)