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フランチャイズ映画の隆盛、コロナ禍による配信サービスの台頭。2010年代中盤からの約10年間に起こったハリウッドの劇的変化は、一部のジャンルに大きな影響を及ぼした。かつてのヒットジャンルだった「コメディ映画」が、劇場でほとんど上映されなくなってしまったのである。

コメディ俳優アダム・ディヴァインは、スタジオがマーベル映画のような大作に対抗するため「中規模予算のコメディを作らなくなった」と。「映画館に行くと製作費2億ドルの映画に期待する。“どうして小規模なコメディをわざわざ映画館で観なくちゃいけないんだ”ということになる」

映画『40歳の童貞男』(2005)など、過去30年間にわたりコメディ映画の監督・脚本・製作を務めてきた名匠ジャド・アパトーも、監督最新作『ザ・バブル』(2022)はでリリースされた。現在、彼はコメディの現状をどのように見ているのか──。

米の取材で「コメディ映画の状況はどんどん悪化していますよね」と指摘されたアパトーは、「それは違うと思います」と答えた。

「昨年(2023年)最もヒットしたコメディは10億ドル以上を稼ぎましたよ。だって、『バービー』はコメディですよね? マーベル作品も、僕はドラマ映画だとは思いません。エモーショナルな場面もあるけれど、ジョークがたくさん詰まっている。誰もコメディが成功していることにしたくないのかな、と思うことがありますよ。なぜ『バービー』をコメディだと言えないんですか? 他にどんなジャンルがあてはまります?」

もっとも、『バービー』やマーベル映画はフランチャイズ映画だ。純粋なコメディ映画の劇場公開が減っており、コメディ専門の監督・俳優が配信サービスに向かっていることも事実だろう。コメディ映画としての最近のヒット作『マディのおしごと 恋の手ほどき始めます』(2023)はジェニファー・ローレンス主演、『Anyone But You(原題)』はグレン・パウエル&シドニー・スウィーニー主演だ。

しかし、それでもアパトーは「また揺り戻しが来ると思います」と言う。「業界はリーダーに従うもの」だとして、映画スタジオの重役たちについてこう語るのだ。

「コメディにもあと1、2本のヒット作があればいいんです。『ハングオーバー!』のような映画がまた大ヒットしたら、誰もがあと5本くらいは欲しがるものですよ。[中略]ヒット作が出ると、彼ら(重役)は、“みんなはこういうのが好きなんだな、こういう映画をもっと作ろう”と考える。それ以上深いことは考えていません。彼らは成功するものを求めるんです。人はリスクを背負おうとはしたがらないものだから」

いまのアパトーが求めているのは、コメディ映画における(2023)のような存在だ。“誰が興味を持つのか、誰がそんな映画について話してくれるのか”と思われていたような題材が、いまや全世界で10億ドル近い興行収入を記録している。

「(ユニバーサル・ピクチャーズ会長の)ドナ・ラングレーは、僕たちのコメディをサポートしながら『オッペンハイマー』に賭けました。[中略]人間は大きなリスクを背負わなくてはいけません。そして、“人々は挑戦したいのだ”と気づいたのです。彼ら(観客)はスマートな映画を、独創的な映画体験を求めている。それに応えられるコメディが必要です。配信のコメディをひとりで見るだけでは得られない満足感だ、と思ってもらわなければいけません」

そして、アパトーはこのように付け加えた。「最高のコメディを映画館で観ることよりも楽しいことなんてありますか?」

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