金曜22時、気になる男性に呼び出された29歳女。指定された店に行ったら衝撃の展開に…
今週のテーマは「女が三度会ってから、急に冷たくなった理由は?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:「次こそいける」と思っていたのに…三度目のデートを前に、男が玉砕した根本的なワケ
金曜18時。スマホのポップアップ表示で、雄一郎からLINEが来ていることに気がつく。
― 雄一郎:美波ちゃん、この前話していた映画見た?
数週間前までは、雄一郎からの連絡は嬉しかったし、すぐに返信もしていた。
でも今は、雄一郎からの連絡を、驚くほど冷めた気持ちで見つめている自分がいる。
最初は彼のこと、いいと思っていた。でも今は、思わず「面倒くさい」という気持ちが口に出てしまうほど、雄一郎に対して負の感情しか抱いていない。
A1:好意と希望があったのでデートに応じた
雄一郎とは食事会で出会った。雄一郎の先輩と私の友達が知り合いで、2対2で食事したのだ。
「じゃあ雄一郎さんは、今年で30歳になるの?」
「そうそう。美波ちゃんは?」
「私は29歳だから、一つ違いかな」
「近いね!」
正面に座った雄一郎。大手広告代理店勤めで、話も面白い。しかも私にたくさん話しかけてきてくれる。
「美波ちゃんって、華やかだよね。よく言われない?」
「たまに言われるかかな…」
「家はどの辺り?」
「私は三宿だよ。雄一郎さんは?」
「僕は三茶!近いじゃん!」
家も近いことが判明して、その後も近所のお店の話などで盛り上がった。そして翌日、すぐに雄一郎はデートに誘ってきた。
スムーズな展開に、とんとん拍子に彼と進展しそうな気がして私は嬉しかった。
だから『やきとり 児玉』での初デートは、前のめりな気持ちで参戦した。
「ごめんね、待った?」
「ううん。僕も今来たところだから」
「この前、楽しかったね」
「うん、楽しかった!雄一郎くんもだけど、勇太先輩もいい人だね」
「でしょ?僕の直属の上司なんだけど、彼って本当にいい人でさ」
「雄一郎さんって、広告代理店だったよね?」
「そうだよ」
雄一郎とは会話は盛り上がるし、一緒にいて居心地がいい。「顔も悪くないし、いいかも…」なんて焼き鳥を食べながら思っていると、急に雄一郎が私の顔を覗き込んできた。
「ちなみになんだけど。美波ちゃんって、今彼氏とかいるの?」
― この質問をしてくるということは、少しは気があるということだよね。
思わず頬が緩む。
「もしいたら、こうやって男性と二人でご飯は食べに来ないよ」
「そっか。じゃあ今はフリー?」
「…うん、そうだよ」
「じゃあさ、またデートに誘ってもいいってこと?」
「もちろん」
相手が聞いてきたからには、私も確認したい。この先に進む前に、雄一郎にも彼女がいるかどうか聞いておきたかった。
「雄一郎さんは?彼女は?」
「僕もいないよ。マジで探してる。だからこの前の食事会も、先輩に頼んでセッティングしてもらったし」
「そうだったんだ」
「そしたら、こんな可愛い子に出会えて。本当にラッキーだなって思ってる」
「本当に?そう言ってもらえるの、嬉しいな…」
― 待ってまって。このままいい感じで進みそうじゃない!?
お互いのテンションが上がったままもう1軒行き、初回はかなり楽しいデートとなった。
A2:接待要員に使われたことに対して疑問を持った
初デート以降、連絡を取り合っていた私たち。内容も他愛もないことだけれど、やり取りをしている時間まで楽しい。
焼き鳥デートの後、もう一度二人で食事へ行ったが、そのときもかなり良いムードだった。
しかし、三度目に会った時私の気持ちが一気に冷めることになる。
金曜の夜、女友達と表参道でご飯を食べている時、そろそろお会計というタイミングでスマホをチェックすると、LINEにメッセージが入っていた。
― 雄一郎:美波ちゃん、お疲れ!今何してる?
金曜22時からの誘い…、他の男性だったら断る可能性が高い。
だが、雄一郎のことは気になっていたし、過去2回のデートも楽しかった。それにお互い、明日は仕事が休みだから遅い時間でもゆっくりできると思った。
― Minami:今表参道で友達とご飯してた〜
― 雄一郎:今三宿で飲んでるんだけど。よかったら来ない?
― Minami:あと30分後とかでも大丈夫なら!
― 雄一郎:全然大丈夫。待ってるからゆっくり来て!ここにいるよ。
私は友達と別れ、雄一郎から送られてきたリンクのお店へ、はやる気持ちを抑えながらタクシーで向かった。
しかし指定されたお店へ入った瞬間、私は「…え?」となった。
「ごめんね、お待たせ…。っていうか、他にもゲストがいたんだね(笑)」
二人きりだと思っていたのに、そこには、雄一郎の他に男性が二人もいたのだ。
「あぁ、こちらクライアントの田中さんと吉田さん」
― ……は?これはどういう会?
一瞬言葉が出てこない。
そもそも、他に誰かいるなら事前にLINEで言うべきだし、なぜ私は呼ばれたのだろうか。
「こちら、美波ちゃんです」
「初めまして、美波です」
雄一郎に紹介され、とりあえず笑顔で挨拶をしてみる。しかし次の雄一郎の言葉に、私はかなりカチンときてしまった。
「美波ちゃん、良ければ二人の間に入って座って。何飲む?」
そう言いながら、私をクライアントの男性二人の間に座るように促してきた雄一郎。
― …何これ。まさか、私のこと接待要員として呼んだの?
「男性の間に入って座って」なんて、完全にバカにされている。
彼の中で、私はただの「接待や合コンで呼べる女の子リスト」の一人でしかなかったのだろうか…。
両脇にいる男性は、酔いが回ってくると、次第に距離が近くなってきた。
― マジで面倒なんだけど…。
そう思いながら、しょうもない会話を笑顔で聞き流す。
「雄一郎、お前こんな美人な友達がいたのになんで隠してたんだよ」
「隠してないですよ!美波ちゃんは最近知り合って」
「そうなんです、雄一郎くんは家も近くて」
「早く帰りたいな」と思いながら、こういう場だと意外に気を使ってしまう私。
失礼のないように適当に会話を盛り上げながら、グラスが空いたら店員さんにオーダーしたりと、本当に何をしに来たのかわからなくなってきた。
雄一郎に対して怒りと呆れがピークに達しそうになった時。
「雄一郎と美波ちゃんは、付き合ってるの?」
吉田さん、という人が、酔っ払って不躾な質問をしてきた。でも、彼に悪気はないし、純粋に疑問に思ったのも理解できる。
しかしこの質問に対する雄一郎の発言で、私の中の何かがプツンと切れた。
「そういうのじゃないですよ、吉田さん飲み過ぎですよ!」
― ……ちょっと待ってよ、なんなのコイツ。
人のことを馬鹿にしているのだろうか。
こんな男からの誘いに、無駄な期待を抱いてホイホイ来た自分の頭の悪さにも嫌気が差す。
「美波ちゃん、この後どうする?もう1軒くらい行く?」
「行きたいけど、眠いから今日は帰ろうかな」
「そうだよね。またすぐにね」
「うん、またね」
他の男性の接待をさせるために私を呼び出す人は、こっちから願い下げだ。
ふつふつと湧き上がる怒りがおさまらないまま、私はタクシーに乗り込んだ。
― この人の誘いにはもう二度と乗らない。
そう心に決めながら…。
▶【Q】はこちら:「次こそいける」と思っていたのに…三度目のデートを前に、男が玉砕した根本的なワケ
▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
▶NEXT:3月30日 土曜更新予定
モテない男の根本的解決法