GoogleアシスタントからGeminiに切り替えるユーザーが徐々に増えている。右のPixel 8側のアシスタントがGeminiだ(筆者撮影)

2月に、グーグルは生成AIのブランドを「Gemini」に統一した。2023年から提供を開始していたチャットボットの「Bard」も、現在はGeminiという名称に変更されている。ブランド変更を機に、グーグルはスマホ用アプリを投入。ユーザー全員に行き渡ったわけではないが、Androidの共通機能として搭載されていた「Googleアシスタント」の代わりに、スマホの音声アシスタントとしてGeminiを利用できるようになった。

Googleアシスタントと同じように音声や画面タッチ、ボタン操作で起動できるAndroidのGeminiだが、スマホに統合されたことで、ブラウザー版にはなかった使い勝手も実現している。閲覧中のページを要約したり、メールに沿った返信を書いてもらったりといった操作が、スムーズにできるのはスマホ版ならではと言えるだろう。生成AIを活用しているだけに、Googleアシスタントよりも返ってくる回答は文章としてまとまっている。

一方で、Googleアシスタントにあった一部の便利な機能にまだ対応していないのは難点だ。グーグルは、GoogleアシスタントとGeminiを併存させているため、当面は使い分けるのがいいだろう。ここでは、Android版Geminiを活用するためのテクニックや、Googleアシスタントとの使い分け方法などを紹介していきたい。

簡単に呼び出せるようになった「Gemini」

グーグルは、元々Bardとして提供していたチャットボットをGeminiに改称したほか、有料クラウドサービス「Google One」の上位プランに加入すると、「Gemini Advanced」というより高性能な生成AIを利用できるようになった。また、AndroidやiOS向けには、Bard改めGeminiのアプリを展開している。ただし、日本のAndroidスマホではまだGeminiアプリそのものはダウンロードできない。Gemini Advancedも、日本語には未対応だ。

現時点では日本で未対応のサービスも多いが、Androidであれば、アプリなしでもいち早くGeminiを体験することが可能だ。2月から、Googleアシスタント利用時に、一部のユーザーに対してGeminiの利用が可能になったメッセージが出ている。筆者も、「Galaxy Z Fold5」と「Pixel 8」の両方にこれが表示されたため、Geminiを有効にしてみた。利用を開始すると、音声アシスタントがGoogleアシスタントからGeminiに置き換わる。

「OK、Google」などと呼びかけて起動できるのはこれまでと同じだが、生成AIのチャットボットという位置づけのため、その使い勝手は大きく異なる。ユーザーが与えた指示に対して、回答を生成するのがGeminiの得意分野。一例を挙げると、この記事の簡単な構成案も、Pixel 8のGeminiに作成してもらった(一部、事実関係がおかしい部分があったので手動で修正はしているが)。文脈をふまえた会話が可能なため、挙げられた回答に対してダメ出ししたり、方向性を導いたりすることも可能だ。


Geminiを呼び出し、本連載で取り上げるネタを3つ挙げてもらった。こうしたブレインストーミングが簡単にできる(筆者撮影)

また、Geminiはマルチモーダル対応で、テキストや音声以外だと、画像を読み取ることも可能だ。スマホにはカメラで撮った写真がたくさん保存されていると思うが、それらの中身を分析し、説明してもらうといったことに使える。例えば料理を撮った写真をGeminiに見せ、材料や作り方を解説してもらうといったことも可能。スマホならではというわけではないが、スマホのほうがよりスムーズに尋ねることができる。

これまでのGoogleアシスタントと同様、音声以外で呼び出す操作にも対応している。人が多い公共の場所や、電車の中など、声を発しづらいところでは手動で呼び出し、キーボードで文字として質問を入力するといいだろう。Pixel 8の場合は、電源ボタンの長押しでGeminiが起動する。機種によって操作方法は異なり、Galaxy Z Fold5では、画面下の端から斜め上方向にスワイプすることで呼び出しが可能。電源ボタン(サイドボタン)のダブルクリックに割り当てることもできる。幅広い場面で使いたいときには、この操作を覚えておきたい。

メールの文案作成なども簡単にできる

Googleアシスタントのようにどの画面からも呼び出せるようになったことで、スマホで今見ているものの解釈の仕方などをGeminiに尋ねられるようになった。ブラウザー版でも、スクリーンショットをアップロードしたり、URLを張り付けたりすれば同様のことはできるが、より自然な流れでできるようなったと言えるだろう。例えば、本サイトで表示している記事やコラムを短くまとめて要約させるといったこともできる。

操作方法は簡単。例えば、東洋経済オンラインで筆者の、楽天ポイントについて書いた記事をブラウザーのChromeで表示していたとする。Pixel 8の場合、この状態で電源キーを長押しするとGeminiが立ち上がる。ブラウザーなどを開いた状態でGeminiを呼び出した場合、入力欄の上に、「この画面を追加」というボタンが表示されているため、ここをタップするとそのページのURLが追加される。あとは「この記事を簡単にわかるように要約して」などと話しかけたり、文字で入力したりすればいい。

上記のような指示を出したところ、Geminiは以下のように記事の趣旨をザックリとまとめてくれた。

「この記事は、楽天ポイントプログラムのSPUの改訂に関するものです。プログラムの変更点とその理由について説明しています。一部のユーザーは、上限が下がる改訂に不満を持っています。しかし、楽天は、変更によりほとんどのユーザーが利益を得ると主張しています」


ページを開いた状態でGeminiを呼び出し、「この画面を追加」をタップして要約などの指示を出すと、読んでいるページを基にした回答を得られる(筆者撮影)

これだと本当にザックリとした内容と結論しかわからないので、もう少し詳しく知りたいときには、この回答に続けて「もう少し内容が具体的にわかるように」などと指示を出す必要がある。これを入力したところ、上限のポイント数や楽天側の狙いなどまで教えてくれた。ただし、細かな数字が間違っていたうえに、楽天モバイルのプレミアムプランという謎のプランが創作されてしまっていた。こうした間違いはあるため、過信は禁物。短くまとめるぶんにはいいが、長くしようとするとディテールを間違えることがある点には注意が必要だ。

また、Pixelシリーズのボイスレコーダーで録音し、自動で文字起こししたデータを基に、簡単な読み物風にまとめるといったことも可能だ。試しに参加した記者会見の録音を基に「記事風にまとめて」と指示を出してみたところ、それなりに中身がわかる文章ができあがった。細かい年数や数字は間違っているため、そのまま使うことはできないが、文字起こしをそのまま読み下していくよりポイントをつかみやすい。

ほかにも、メールを開いた状態でGeminiを呼び出し、打ち合わせの日程変更をお願いするメールを作ってもらったり、やんわりと依頼を断るような文章を考えてもらったりと、さまざまな用途に活躍する。ボタン一発でGeminiを呼び出せるようになったことで、その使い方が広がった印象だ。生成AIならではの間違いに気をつけつつ、スマホ上での作業を簡潔にするために活用してみたい。

家電を操作するときはGoogleアシスタントに戻す

Geminiに置き換わったとは言え、Googleアシスタントの機能も一部利用できる。より正確に言えば、一部のコマンドはGoogleアシスタントに引き継ぎ、操作を完了させている。例えば、Google Homeで電球をコントロールしている場合、Geminiに「照明を消して」などと命令すると、Googleアシスタントを呼び出した後、照明が消えることは確認している。テレビのオン・オフといった動作にも対応する。

また、「スクリーンショットを撮って」と言って、表示中の画面のスクリーンショットを保存したり、「今日の天気を教えて」と言って天気予報を聞いたりといったことも可能だ。音声でカレンダーに登録している予定を呼び出すような操作にも対応する。一方で、現時点ではできないこともある。上記の家電操作の場合、ユーザー自身で作成した「ルーティン」はGeminiからだと呼び出せない。


設定で、GoogleアシスタントとGeminiを切り替えることが可能。Geminiが非対応の機能を使いたいときには、いったんGoogleアシスタントに戻しておくといい(筆者撮影)

筆者の場合、「いってきます」というキーワードで、照明やテレビ、エアコンなどをすべてまとめて消すように設定している。外出時に玄関でスマホに呼びかけるだけでまとめて作業が完結して便利だが、Geminiではこれができない。同様に、朝起きた際に「おはよう」と話しかけると、照明をつけ、テレビで情報番組を流しつつ、天気予報を確認できるようにしている。こうした操作をまとめるための機能が使えなくなってしまうのは、少々不便だ。

このようなときには、GeminiからGoogleアシスタントに切り替えて使うようにしたい。Geminiを有効にしても、Googleアシスタントが完全に消えてしまうわけではないからだ。Pixelシリーズの場合、「設定」の「アプリ」で「アシスタント」をタップして、画面下の「Googleのデジタルアシスタント」を選択すると、「Gemini」と「Googleアシスタント」を選択できる。

再びGeminiに設定を戻すと、改めて機能の説明画面が表示されてしまうなど、切り替えのスムーズさには欠けるが、必要だった機能が使えなくなるよりはいい。GeminiのAndroid対応は始まったばかりで、グーグルも機能は徐々に向上させていくことを表明している。その対応を待っている間は、アシスタントを切り替えながら使っていく方法をお勧めしたい。

(石野 純也 : ケータイジャーナリスト)