男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:2度目のデートは“中目黒の和食店”をチョイス。その後、女からの連絡が途絶えたワケ




どうしてだろうか。完璧なデートだったはずなのに…。

二度ほどデートした恵梨香とは、次の三度目のデートで良い雰囲気になって…付き合うというプランを考えていた。出会ってから交際するまでの王道を順調に歩んでいたはずの僕たち。

でも二度目のデートが終わり、何度かやり取りは続いているものの、恵梨香とは会えていない。

― Toru:恵梨香ちゃん、ここの店とかどうかな?美味しそうな店見つけて
― Erika:美味しそうですね♡
― Toru:次一緒に行こうよ!
― Erika:いいですね!

LINEは返ってくる。だから完全に嫌われたとかではないと思う。でもどうして、彼女は会ってくれようとしないのだろうか…。


Q1:二度ほど会った時の、女の男に対する印象は?


恵梨香と出会ったのは、友人の結婚式の二次会だった。最近、とにかく周りが結婚していく。

今年で35歳になる僕は、いまだに独身でいることに多少の焦りがあった。

新婦側の友人として参加していた恵梨香。披露宴の間は接点がなかったけれど、二次会で新郎新婦の友人が混ざり始めたタイミングで、僕は恵梨香と話すことになった。

「新婦のゆかちゃんのお友達ですよね?」
「そうです。初めまして、恵梨香です」
「透です。今日の式、良かったですよね」
「はい、感動しました!」

ふわっとした素材のワンピースがよく似合っている恵梨香。実際に話した印象も可愛かった。

「え!透さん、独身なんですか?」
「そうなんですよ。この会で独身なの、僕と数人くらいじゃないかな。結婚願望はあるんですけど、なかなか相手が見つからなくて…」
「すぐに結婚できそうなのに」

お世辞かもしれないけれど、そう言ってくれるだけでも嬉しい。結局この後、こっそり連絡先を交換した。




せっかくのチャンスを逃したくなくて、僕は思い切って恵梨香を食事へ誘ってみることにした。

するとOKをもらえたので、恵比寿にある小洒落た和食屋で初デートをすることになった。

「じゃあ透さんは、3年前に独立されたんですか?」
「そうそう。コロナ禍だったし、いろんな人に反対されたけど、どうしても挑戦してみたくて」
「そうだったんですね…。でもカッコイイ!」

可愛い女の子に褒められると、無条件に嬉しいのはなぜだろうか。

「ありがとう。恵梨香ちゃんは?」
「私は専門商社で働いています」
「何系の専門商社?」

恵梨香とは仕事の話もできるし、他の話もできた。彼女が知的だからこそ、なせる会話術だと思う。

「恵梨香ちゃんって、賢いってよく言われない?」
「私ですか?全然ですよ」
「そう?すごいスマートだから、話していて楽しいなと思って」
「そんなそんな」

話していると、僕のスマホのアラームが鳴った。




「え?この時間のアラーム?」

ちょうど21時に設定しているアラームを見て、恵梨香が驚いた顔をしている。

「あぁ、これね。僕仕事人間だから、ご飯を食べ終わる時間とか決めていて」
「…すごいですね」
「時間キッカリに動かないと気が済まなくてさ」
「今日は大丈夫なんですか?」
「もちろん。今日はデートだから例外」

こんな楽しい時間は例外に決まっている。それにもう少し恵梨香とも一緒にいたい。

― でも初デートで2軒目に誘うのは重いかな…。

相手が僕と同じテンションかどうかもわからないし、誘って断られるのも辛い。そんなことを考えながら店を出ると、恵梨香が気を使ってきてくれた。

「もう少しいたいんですけど、今日は帰りますね。お忙しいなかありがとうございました。あと、ご馳走さまです」
「また次も会える?」
「もちろんです♡」

22時半に解散という健全さも良かったのだろうか。二度目のデートは、想像よりも早くやってきた。


Q2:二度目のデートで女が引いたことは?


二度目のデートは、初デートから3週間後だった。

「意外に早く会えて嬉しい」
「そうですか?3週間も空いちゃいましたけど」
「そう?3週間後ってベストなタイミングじゃない?付かず離れずというか、間が空きすぎず近すぎずで」
「私はもう少し早めに透さんに会いたかったですけど」

なんて嬉しいことを言ってくれるのだろう。恵梨香の言葉に、僕は自分でも耳が赤くなったのがわかった。

「恵梨香ちゃんって男性の扱いが上手いよね」
「そんなことないですよ」
「百戦錬磨って感じ。今まで振られたことある?勝率何%?」
「そんな計算、したことないですよ〜」
「本当?普通しない?」
「しないです(笑)」

『スチーム Dim sum&Wine』の「エビ蒸し餃子」を食べながら、ケラケラと笑う恵梨香。今日のデートも、楽しんでくれているようで手応えがある。




「透さんって、普段どういう生活をしているんですか?」
「僕?普通だよ。大体6時過ぎくらいに起きて、ニュースを見たり英語を勉強したりして。8時前には会社にいるかな」
「早っ…すごいですね」

それが普通だと思っていたので、恵梨香の対応に僕は少し驚いた。

「そうなのかな。恵梨香ちゃんは?」
「私は超ギリギリまで寝ています(笑)一応10時までには会社にいるかログインしないといけないので、それまでには…という感じですかね」

周りが経営者が多いせいか、こういう一般企業に勤める女性の話を聞くのは新鮮だった。

「そうなんだ。面白いね、そういうの」
「そうですか?」
「ちなみに、恵梨香ちゃんのKGIって何?」
「KGIですか?」

この先恵梨香と交際していくならば、ゴールは聞いておきたい。

僕は結婚願望があるけれど、例えば結婚願望がないとか。はたまた、今恵梨香は誰とも交際する気がない…とかだと話は変わってくる。




「そう、人生の。例えば僕は一応結婚して…いや、結婚はKPIか。会社を上場させて、可愛い奥さんと楽しく幸せに暮らしたいなと」
「透さん、結婚願望あるんですね」
「もちろん!恵梨香ちゃんは?」
「私もあります。今年で31歳なので、そろそろ結婚もしたいですし」
「そうなんだ」

恵梨香にも結婚願望があることを知り、僕は嬉しくなった。

「ちなみに恵梨香ちゃんは、休みの日とかは何をしているの?」
「私は溜まっていた家事をしたり、あとは家でゴロゴロしたり…夜は友達と飲みに行くことが多いです」
「お酒は、結構飲む人?」
「そうですね。飲むのは好きです。透さんは?」
「僕は誘われれば行くけど、何も用事がなかったら自分からは飲まないかな」
「想像つきます」

お互いの普段の生活の話まででき、結婚願望の有無も擦り合わせができた。

そして何よりも恵梨香も楽しそうにしてくれているし、良い感じだ。

「今日で二回目のデートか…。次、三度目だね」

別れ際、僕は今後の展開を考える。スムーズに二度目のデートまできた。三度目のデートは、そろそろ交際…という流れになるだろう。

「そうですね」
「恵梨香ちゃん、また次回だね」
「はい、また次回!」

こうして次回のデートの約束までして別れた。しかしこれ以降、恵梨香は連絡はしてきてくれるものの、実際に会う約束までには漕ぎ着けられていない。

― なんでだ…?全部上手くいっていたよね?

果たして、恵梨香は今どういう気持ちでいるのだろうか。

▶前回:2度目のデートは“中目黒の和食店”をチョイス。その後、女からの連絡が途絶えたワケ

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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女が返信はするけど会わない本当の理由は?