男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:結婚相手は『年収1,000万以上・四大卒』。東京では“普通”の条件を求める、33歳美人の末路




二度ほどデートした綾奈とは、順調だと思っていた。

2回とも盛り上がったし、「辰也さんといると楽しい♡」とまで言ってくれていた。

それなのに、ここ最近綾奈からの連絡が激減した。

連絡が来ても、次に会う日が決まらない。

― あれ?僕何かしたかな…。

春一番の風に吹かれながら、僕はどうしたものかとスマホを見つめている。


Q1:初回の食事会と初デートで女が惹かれた点は?


綾奈とは、男女3対3の食事会で出会った。

食事会は楽しく盛り上がり、僕たちは2軒目にも行くことになる。この時から、綾奈の距離が近いなとは思っていた。

「辰也さんって、今本当に彼女とかいないんですか?」
「うん、いないよ。早く結婚もしたいし、結構ガチで探しているんだけど」
「え〜すぐに見つかりそうなのに!」
「じゃあ…綾奈ちゃんでお願いします(笑)」
「ウケるんですけど」

そんなチャラい会話をして解散した後、すぐに綾奈から連絡があった。そして、僕たちは、翌週デートをすることになった。

初デートは、目黒にあるビストロ『レストラン ユニック』を予約した。




「この前の食事会、楽しかったね」
「本当に!あの後、誰か他の子とは連絡取っていますか?」
「男側はみんな友達だから、あの後悠太と1回飲んだけど。女性側は、綾奈ちゃんだけだよ」
「そうなんですね、良かった」
「綾奈ちゃんは?」
「私も、辰也さんだけですよ」

前回の食事会は男女ともにメンバーが良く、終始良い雰囲気で終われていた。

それは今回の綾奈との1対1のデートでも同じで、綾奈が聞き上手なのか話し上手なのか、話も尽きることなく盛り上がる。

「じゃあ辰也さん、2年間彼女いないんですか?なんで?こんなに素敵なのに…」
「なんだろうね〜。彼女は欲しいと思っているんだけど。綾奈ちゃんは?絶対にモテるよね」
「私はこの前彼氏と別れたばかりで」
「その男も見る目がないね。俺だったら絶対にこんな素敵な子、離さないけどな」
「辰也さん…」

お互いの恋愛の話も初回のデートからでき、認識の擦り合わせもできている。

― これは良い感じで進むかも…?

骨太フレンチを食べながらそう思っていると綾奈も同じように考えてくれていたらしい。




食事を終えて外へ出ると、綾奈のほうから2軒目に誘ってきてくれた。

「辰也さん、明日は早いですか?」
「ううん、早くないよ」
「もう1軒行きません?」
「行こう!!」

こうして2軒目へ向かった僕たち。お互いお酒も回っていたこともあり、ますます綾奈の距離は近い。

「辰也さんって、本当に素敵ですよね。話も面白いし、楽しいし」
「そんなことないよ。それは綾奈ちゃんが聞き上手だからだよ」

グラスを傾けたタイミングで、不意に綾奈と視線がぶつかり合う。

「綾奈ちゃん、本当に美人」
「ありがとうございます」

急に静かになってしまったので、僕自身が恥ずかしくなって慌てて話題を変える。

「そろそろ敬語やめない?」
「わかった」
「そういえば、綾奈ちゃんは食事だと何系が好き?」
「和食とかかな…?」
「わかった!次は和食に行こう。僕が好きな店が近所にあって。定食屋さんなんだけど、本当に美味しいから綾奈ちゃんを連れて行きたい」
「行ってみたい♡」

ものすごく良い雰囲気のまま、この日は解散となった。もちろん、すぐに二度目のデートもすることになった。


Q2:二度目のデートで女が気がついたことは?


二度目のデートはすぐにやってきた。ただこの日、僕は少し疲れていたので、前回話していた中目黒にある和食店へ連れて行くことにした。

家の近くにあるその店は、美味しくて僕のお気に入りだ。

「ごめんね、今日はこんな感じで。ちょっとお酒もナシでいいかな」
「もちろん!」
「お酒、飲まなくて大丈夫?疲れてて…」
「辰也さんが飲まないなら、私も大丈夫だよ」

結局、この日はノンアルのディナーとなった。

けれどもこういう時間は逆にありがたい。連日の会食で胃と肝臓が疲れているので、たまにこうした何もない日は貴重だから。

「辰也さん、普段お食事どうしているの?」
「こういう店が多いかな」
「和食が好きってこと?」
「そうだね。胃が休まるし(笑)」
「連日外食だと疲れちゃうよね」

酒が入っていないと、相手のことがよく見える。

決して汚い感じでも雑多な感じでもないので、嫌がる店ではないと思うけれど、綾奈は嬉しそうに食事をしてくれている。




「ここ、美味しいね」
「でしょ?好きなんだよね、この店」
「美味しい〜。この牡蠣フライ、最高」

ノンアルだけれど、二人でカウンター席で隣り合いながら定食を食べる。なんだか幸せな時間だった。

「辰也くんって、実は普段あまりお酒は飲まない人?」
「そうだね…特に今日みたいな日は飲まないかな」
「そうなんだ」
「綾奈ちゃんは?毎日飲んでる?」
「まさかまさか。こういう外食のときは飲むけど、基本的に家だと一滴も飲まないかな」
「わかる、一緒だ。昔は連日飲めたけど、30歳を過ぎた途端に毎日飲むのが辛くなってきて」

以前は体力もあったけれど、最近は日々体力の衰えを感じ始めている。それに派手なデートよりも、こういう落ち着いたデートがいい。

「辰也くん、まだ34歳とかでしょ?」
「そうだけど…綾奈ちゃんも、この歳になったらわかるよ」

中目黒の定食屋で、お互いほっこりしながらの食事となった。




会計を済ませて外に出る。時計を見ると、まだ21時半前だった。

「今日は…どうする?どのみち酒も飲めないしやめとく?」

一応聞いてみるものの、綾奈のことだからきっと「いいよ」と言ってくれる気がしていた。すると予想通り、綾奈は笑顔で察してくれたようだ。

「うん、辰也くん疲れてそうだから今日は解散にしよう!」
「わかった。ごめんね」
「ううん。またすぐにね」
「来週は会えると思う」
「わかった。連絡取り合おう」

そんな会話をして、僕たちはその店の前で解散した。

しかしこの後。綾奈からの連絡は途絶え、急に冷たくなった。

― え?なんで突然?

2回目のデートでほっこりし過ぎたからだろうか。それとも店選びを間違えた…?

理由がわからず、僕はもう一度出会いからやり直したいと思っている。

▶前回:結婚相手は『年収1,000万以上・四大卒』。東京では“普通”の条件を求める、33歳美人の末路

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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