40代50代になると健康や心のモヤモヤが増えがち。少しでも心が軽くなるように、産婦人科専門医の高尾美穂先生が親身になって答えます。今回は、冷えとのぼせについてです。

冬は耐えられないほど手足が冷えてつらいです

【読者の悩み】

40歳を過ぎた頃から冷え性が悪化。季節問わず手足が冷たく、冬は寝つけないほどです。一方でホットフラッシュがあり、のぼせることも…。ウオーキングをしたり、湯船につかったりしても改善しません。(Tさん・50歳)

●根本的な冷え対策を。改善しない場合は婦人科へ

女性に多い冷え性。今の季節はつらいですよね。女性が冷えやすい大きな理由は、男性に比べて体の熱の大半を生み出す筋肉が少ないから。また、女性に多い皮下脂肪は、一度冷えると温まりにくい性質があるので冷えを感じやすいのです。

冷え対策は数多くありますが、根本的に冷えにくい体に変えていくのなら、まずは筋肉をつけること。ウオーキングのような有酸素運動だけでなく、筋トレやスクワットのような無酸素運動を取り入れて筋力アップを目指しましょう。女性は健康やダイエットの観点から野菜中心の食事になりがちですが、筋肉の材料となるタンパク質を含む肉や魚、卵、大豆製品などを可不足なく食べてくださいね。

同時に冷やさない対策を。もともと手足の先は血液が行き渡りにくいため、冷えやすいところ。こうした末端を手袋や靴下でおおう、カイロなどで温める方法も悪くはありませんが、効率的に温めるなら体の中心部を温めるのがおすすめ。日中はお尻の割れ目の少し上にある仙せ ん骨こ つ周辺にカイロを当てたり、おなかを腹巻で温めたりすると手足の先までポカポカしてきますよ。

●冷えが改善しない場合は一度婦人科で相談を

冷え対策をしても改善しない場合は一度婦人科へ。相談者さんはホットフラッシュに加え手足が冷える「冷えのぼせ」がありますが、これは更年期世代によくみられる症状だからです。

また、冷えには甲状腺機能低下症などの病気が隠れているケースもあります。更年期と似た症状が出るので混合されがちですが、治療法は異なる病気です。こうした異常を見つけるために「昔から冷え性だから」と思わずに受診を。なお、婦人科ではホットフラッシュにはHRT(ホルモン補充療法)や冷え改善にいい漢方薬( 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や生姜(しょうきょう)など)を処方してもらえますよ。我慢しないで相談してみてくださいね。