人生100年時代、第二の人生をガラリと変える人もいます。結婚、子育て、離婚、病気の発症を経て、昨年からスペインへの単身留学を送っている54歳のRitaさん。今回は、スペインでの食事情について教えてもらいました。

50代・スペインでひとり暮らしの「自炊」事情

スペインはレストラン数が多く、味つけも日本の洋食と変わらないため、日本人にとっては馴染みやすい食環境です。ただ外食費は安くはなく、ハンバーグやパスタなどワンプレートでも2,000円前後。そのため日常は自炊が多くなります。

【写真】ランチに食べるサンドイッチと果物

スーパーの利用にも慣れ、常備品や冒険品など工夫できるようになってきましたが、じつは私は料理が好きではありません。離婚後は仕事で帰りが遅くなるために、早起きして長女・長男・自分の3人分の朝・昼・晩の食事を一気に用意していました。子ども2人のお弁当は冷凍食品も活用し何とか体裁を整え、夕食もレンジでチンしやすいように一皿ものが多く、いわゆる“一汁三菜”にはほど遠いものでした。ひとり身の今、さらに力の入らない食生活ですが、実際にスペインでどんなものを食べているのか、お伝えさせていただきます。

●カラダによさそうなものは朝食に

朝食のお決まりはシリアル類です。果物やヨーグルト、ゴマやプルーンを加え、豆乳をかけています。健康のためサラダも添えますが、すでに洗ってあるパック野菜が売られているので便利です。栄養価を考えてフムスを加え、ドレッシングはオリーブオイル。

以前、日本で会社勤めをしていたときの朝食は、コーヒーだけ…牛乳だけ…と、とにかく液体でも胃に入れておけばよいと考えていましたが、最近は体調や体重を考慮して、カラダに良さそうなものと食べたいものは、できるだけ朝に摂るようにしています。

●気分転換も兼ねた公園ランチ

昼食は、自宅から簡単に用意していきます。留学先の学校が昼過ぎに終わるので、教室でサンドイッチを頬張ったり、途中でサラダと果物を買い公園で食べたり…。果物は1個単位ではかり売りされ「今1つだけ食べたい!」というときにサッと購入できます。値段もリンゴ1つ40円前後。途中の水道水で洗い、皮ごと食べることにも慣れました。

午後は図書館やカフェで過ごすことが多いのですが、一度帰宅するとダラダラしてしまうため、途中で少しお腹に入れて次の拠点へ。街にも公園にもベンチが多く、陽だまりの中、道ゆく人や動物を観察しながらひとり気ままに小休憩ができます。

●夕食は目新しい調味料でマンネリ化を解消

夕食は、パスタや炒め物が多いですが、寒くなってからは野菜スープやお鍋の回数も増えました。ブイヨンの種類も多く、いろいろ試しているところです。たくさんつくれたときは小分けに保存し、数日ちょっとラクに…。スーパーは冷凍野菜も豊富で、ブロッコリー・ホウレン草の小分け・シイタケが多種類入ったものなどは重宝しています。そしてときどき目新しい調味料や香辛料を試し、マンネリ化を乗りきっています。

なお、大手のデパ地下にはお惣菜コーナーもあり、夕方は長い列ができていることも…。少し値が張りますが、疲れ具合と栄養具合で、いざというときに利用してみたいエリアです。

●1人の外食はサイズに注意

1人で外食をする機会は少なめですが、その際は小皿をいくつか注文します。ただ1人だとサイズに困ることも…。最近魚不足だからとツナ料理を頼んだら、小皿でもボリュームのあるサイズ! プロの味が楽しめるものの量が多すぎたな、と思うことがあります。

なお中華料理店では10ユーロ前後(1630円前後)で、米類・肉類・野菜類が各々選べる1人用セットのある店舗が多いです。そしてどのレストランも基本的には持ち帰りが可能。自宅でもう一度楽しめるお得感もあり、臨機応変に利用しています。

●友達との時間は食べたいものを

友達と過ごすときによく行くところは、野菜が充実したお店です。健康志向もブームで、キヌアやアサイーなどのスーパーフードや、豆類やナッツ類が含まれたメニューが多いのも嬉しいところ。先日友達がヒヨコ豆のコロッケ(写真右7.5ユーロ/1220円程)を選び、一口もらったら栗のような風味で美味でした。日本では食べる機会がなかった食材にチャレンジできるのも、こういったお店を利用する楽しみの1つです。

ときに、巷で噂になっているホットチョコレートを飲んだり、ケーキを分け合ったり…。友達と一緒のときは窮屈にせず、そして1人のときは極力セーブして、体重とお財布に負担がないように心がける毎日です。

●日本食をつくれる環境もあります

マドリードには日本食材が手に入るお店が複数あり、味噌汁・漬け物・焼き魚など、スペインにいながらしっかりと日本食を調理されている日本人の方もいます。私の食生活は、手をかけず、でも健康は保ちたい、ときどき地元の食事も楽しみたい…と、だいぶ気楽な内容です。でもその無理のない生活が私にはちょうどいいようで、この1年半病院通いがなく、何よりも日本で長年悩んでいた肩こり・乾燥肌・便秘症が解消されました。

海外での食生活は不安に思われがちですが、スペインの食材は、ほぼ日本と同様にそろい、バランスを保つことに大きな問題はありません。ただ調理の負担が多いと面倒になるのが本心…。できるだけ栄養価の高い食材をそろえ、疲れた日はたくさんの具材をお鍋に並べスープにして、冬を乗りきる身体をつくっていきたいです。