吉山武子さん(81歳)は、大好きなスパイスカレー店を営みながら要介護の夫と2人で暮らしています。大変だと周囲から言われても、夫の介護を暮らしに中心にしていると言います。そんななかでも、吉山さんが大切にしていることを教えてもらいました。

がむしゃらに進む人生。今は夫の介護に奮闘中

「85歳になる夫は6年前にアルツハイマー型認知症を発症しました。現在は要介護の状態です。お医者さんにも周りの人にも『そろそろ施設に預けたら?』って言われますけど、できる限りそれはしたくない。私の手料理を食べさせてあげたい。義両親が建ててくれたこの家で、できる限り過ごさせてあげたい。ショートステイやデイサービスの皆さんや義理の妹たちに助けられながら、なんとか自宅で介護を続けています」

【写真】築84年の家を改装

●夫はいちばんの理解者で人生の戦友

商家に育ち、結婚後は夫の家業の手伝いと家事、育児に奮闘。子育てが終わる頃スパイスに出会い、夫の協力のもと、その魅力を伝える仕事を始めることができました。夫はいちばんの理解者であり、人生の戦友なのです。

「料理の勉強に東京まで行ったこともあります。スパイスやハーブのほかにも、美しいものや料理のアイデアなど、いろんなことを吸収しては、みなさんにおすそ分けしたり、お伝えする。無我夢中だったけれど、本当に楽しくて、充実していました。今は夫の介護が暮らしの中心。そのためには私が倒れるわけにはいきません。お互いの健康が優先事項です」

若い頃に手に入れたものを大切に活かす。知識と知恵を総動員する。「今、大切なこと」のために「持っているものも知識も活かしきる」暮らしが続いています。

●夫と暮らす築84年の家をリノベーション

築84年の住まいを昨年の夏、一部を増改築しました。

「そこを夫の部屋にしました。改築したおかげで冬も暖かくて日当たりも良好。お金はかかったけれど、やってよかったです」

義理のご両親が素材を選んで建てた家だけあって、84年経っても頑丈な造り。玄関を入ると、吉山さんが世界各地で集めた雑貨類があちこちに飾られています。

 

『ゆとりある日々を過ごしている人の素敵なお金の使い方 2024年度版』(扶桑社ムック)では、今回紹介した以外にも、自分らしいお金の使い方で幸せに暮らしている人たちを紹介。そのほか、年金のもらい方、老後の安心な住まいなど、プロのアドバイスも満載です。