2008年撮影のピエリ守山(読者提供)

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ピエリ守山」というショッピングモールをご存じだろうか。滋賀県・琵琶湖を一望する好条件の立地を生かして2008年に開業するも、その後、テナントの撤退が相次ぎ、2013年には「明るい廃墟」という不名誉なあだ名がついてしまった。

あれから10年。J-CASTニュースBizは、ガラガラだったピエリ守山の姿を目撃し、現在も利用している人物を取材。2023年のリアルを聞いた。

2011年ごろすでに「スカスカ」、14年にリニューアル

J-CASTニュースでは2013年9月24日、「生ける廃墟モール『ピエリ守山』の行く末は? 店舗ついにヒトケタ、今後は『何も定まってない』」との記事を公開していた。同所が開業当初は約180のテナントを擁したが、13年9月時点では残るテナントが8店だったこと、その「廃墟ぶり」を目当てとした来場者が多数押しかけていたことを伝えている。

今回、J-CASTニュースBizは、これまでに何度もピエリ守山を利用したことがある人物に接触した。2008年の開店間もないころから、年に1〜2回足を運んでいるという。

「『廃墟』として話題になった前後は足を運んでいないので分かりかねるのですが、2010年9月に、ピエリからスーパーマーケットのバローが撤退したあたりから廃墟へ進んでいったと思われます。11年の冬に、着ぐるみが目的でピエリに足を運んだ時には、既にテナントがスカスカだった印象があります」

J-CASTニュースが報じたのが、2013年9月。翌14年12月、同所はリニューアルオープンしている。

「その直後には、新たなマスコットキャラを作って店内に出没させていたこともあります。ただ19年7月で活動休止し、以降はピエリが発行しているクレジットカードでイラストが残るだけのようです。(現在は)年に数回ご当地キャラを迎えてのイベントや、屋外駐車場を活用してバスまつりを行うなどしています」

毎年、ピエリ守山では車両の祭典「バスの日まつり in びわこ」が開催されている。話によると、盛況のようだ。今年の「まつり」の様子を、次のように語ってくれた。

「今年、バスまつりが9月にあったので足を運びましたが、駐車場はそこそこに埋まっていた印象です。県内のバス会社が来て、いろいろなバスを展示したり物販で部品を売っていたので、ファンで賑わっていました」

「復活のポイント」専門家の見立ては

利用者の声を聞く限り、ピエリ守山は「廃墟」どころか訪れる人も多いようだ。そこで編集部は、廃墟やB級スポットなどを特集する旅雑誌「ワンダーJAPON」の編集長・関口勇氏に、ピエリ守山「復活のポイント」をたずねた。

関口氏は「大手ディベロッパーが再生に乗り出したのが大きい」と語る。事実、同所の再生を手掛けた大手商社のオウンドメディアを見ると、再生策の立案に始まり、その施行、そして復活した今についての詳細な記述があった。

2013年当時のピエリ守山周辺について、関口氏は、

「同年まで高さ108メートルの大観覧車『イーゴス108』が存在していましたが解体され、ベトナムに移設されました。解体されるその姿はピエリの衰退ぶりと重ねられた上で『廃墟化している』と話題になっていました」

と説明した。

(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)