ESSEonlineで2023年10月に公開されたなかから、ランキングTOP10の記事を紹介します。

年齢を重ねると、若い頃とはライフスタイルが変化し、必要なものも変わってきます。余計なものを手放してすっきり暮らしたいと思っても、なかなか手がつけられないと悩む人も多いのではないでしょうか。

ブログでシンプルライフを発信している、ミニマリストのponpocoさんは、60代の母の「持たない暮らし」に影響を受けたと言います。

ここでは、ponpocoさんの著書『200着の服を8割減らしたらおしゃれがずっと楽しくなった』(扶桑社刊)より、母の暮らしについての文章を抜粋して紹介します。

記事の初出は2023年10月。内容は取材時の状況です。

60代の母は「ものを持ちすぎない暮らし」の師匠

60代の母は、老前整理を進めながらシンプルライフを満喫しています。私にとって母は人生の大先輩であると同時に、ものを持ちすぎない暮らしの師匠のような存在です。
私が母の暮らしから学んだことを母の言葉と一緒にご紹介します。

●人生は短い、若い時代はもっと短い

「自分のやってみたいことは、なんでも今すぐやらなきゃ気がすまないの。あと回しにしていたら、次はいつチャンスが来るかわからないから」

母の行動力は、本当にものすごいです。一度やると決めたら、時間を置かずに即実行。目的を達成するまで、ノンストップで駆け抜けます。夫いわく、「お義母さんはブレーキのついていないスポーツカー」とのこと(褒め言葉です)。

母が有言即実行を心がけているのは、人生で自由に動ける時間には限りがあると知っているから。1日でも若いうちに、少しでも体力と気力のあるうちに、自分のやりたいことをやっておきたいのだそうです。

私も母を見習い、自分のやりたいことは先延ばしにせず、なるべく早くチャレンジするようにしています。ブログや電子書籍の出版をやってみようと思えたのも、母の影響が強いかもしれません。

●自分にとっての当たり前は更新されていく

「あるのが当たり前だと思っていたけど、使っていないならいらないかなって。当たり前は更新されていくよね」

押し入れの扉を外したり、カーテンをやめて窓にガラスフィルムを貼ったり、炊飯器や風呂フタ、嫁入り道具のタンスを手放したりするなど、一般的な家庭によくあるものや、体力が衰えて重たく感じるようになったものを次々に見直している母。

今まであって当然だと思っていたものでも、意外となくてもなんとかなるし、むしろない方が快適になる場合もあると気づいたそうです。過去や世間の常識にとらわれずに、今の自分やライフスタイルに合わせて、ものとのつき合い方を柔軟に見直していくことが大事だと思いました。

●欲しいものを今あるものでつくってみる

「なんでも新しく買いたせばいいってものじゃないのよ。今あるもので工夫するの」

母はものが壊れたり、なにか不便なことがあったりしても、まず家にあるものでなんとかしようとします。空のファイルボックスに穴をあけてケーブルボックスをつくったことや、押し入れの中板を外してワンピース用クローゼットにしたことも。

買った方が早くてラクかもしれませんが、余計なものを増やさず、不要になったものをゴミにしなくて済むので、母にとっては一石二鳥の方法だそうです。

母の姿を見て、知恵を絞って工夫することは、暮らしを豊かにすること、人生を楽しむことに繋がるのではないかと思いました。むやみにものを増やさないために、私も自分のできる範囲で創意工夫していきたいです。

●持ちすぎない暮らしでも個性を大事にする

「なにもない部屋には惹かれないかな。整っているけど、そこで暮らす人の毎日が想像できるような住まいが好き」

ミニマリストとしてはなにもないガラーンとした部屋にも憧れるのですが、私も母と同じように、住んでいる人の個性が垣間見える部屋の方が好きかもしれません。

たとえば、ジャズのポスターが飾ってあったら音楽好きなのかなと想像するし、おしゃれなカップが並んでいたら優雅なティータイムを想像します。ものが少なくても、その人らしさが伝わってくる空間ってすてきですよね。

実家の玄関にはいつも季節の花や盆栽が飾られ、廊下の壁には父が撮った風景写真が並んでいます。

ponpocoさんの著書『200着の服を8割減らしたらおしゃれがずっと楽しくなった』(扶桑社刊)では、だれでも服を8割減らせるコツや、狭小住宅でも快適に暮らす収納など、無理せず自分らしいミニマルライフを実現するためのヒントが書かれています。