片づかない家には、とある共通した「あふれているもの」があるかもしれません。仕事でさまざまな「片づかない家」を訪れた経験のあるライフオーガナイザーの下村志保美さんが、「片づかない家にありがちなもの」とそれらを解消するコツについて教えてくれました。

今すぐ家から追い出したい「片づかないもの」

さまざまなおうちを見てきて、「これがあるから片づかない」「これはぜひ捨ててほしい」と思ったものをご紹介します。

【写真】「取説」の最適な置き場所はココ!

 

●1:「片づけるための」本やグッズ

あちこち出しっぱなしになっているものを「カゴにまとめたら片づくかも」「引き出しに入れたらスッキリするかも」と、まず収納グッズを買ってしまうということは過去の私が何度もやってしまった失敗です。

なにかあっという間に片づく裏技を求めて、片づけ本を買ってしまった経験をお持ちの方も多いはず。

だけど片づけなくて「別のものなら」「別の方法なら」とまた新しいグッズや本を買ってしまい…という繰り返しは「片づかない家あるある」のひとつです。

ひとつひとつはそう高くないから買ってしまうけれど、一旦買ったものを「使いにくいから」と捨てるのは心苦しいもの。「せっかく買ったのに」「なにかに使えるかも」と捨てることは本当に難しく、心が痛みます。

片づけ本も収納グッズも「もの」には変わりありません。買うときはくれぐれも慎重に。

収納用品を買うタイミングは、家の中のすべてのものを見直し、不要品を家から追い出した後。自分がなにをどれくらい持っているのか把握してからです。

 

●2:収納の奥に入っている「使っていないもの」

つくりつけ収納、タンスやチェスト、引き出し、食器棚など、どの家にもある「収納」ですが、片づいてない家はその使い方が間違っていることがほとんど。

「収納の中にものを収める」ということが目的になってしまって、収納の中は使わないものがいっぱい。逆に使うものが出しっぱなしになっていることも。

たとえば引き出しの中に、こんなものが詰まっていませんか?

・着心地が悪くて着ていないけれど、まだ着れる服
・いつか使うかもしれない試供品
・仕分けが面倒でそのままにしている書類
など…。

そもそも収納とは「使ったものを元に戻す定位置」であり、使わないものを入れる場所ではありません。使わないものが「使うものを入れる場所」を占拠しているわけですから、使うもの、暮らしに必要なものが出しっぱなしになり、「片づかない」となってしまいます。

だから「片づけよう」と思ったら床に散らかっているものをどうにかする前に、まず収納の奥の奥に入っている「持っていることすら忘れていた不要品」を家から追い出しましょう。

 

「片づかない家」にありがちな危険なお土産2つ

一度家に入れると溜まりがちな、危険なお土産とはなんでしょうか。2つのパターンをご紹介します。

 

●危険なお土産1:「いつか使おう」と思いつつ死蔵しがちなもの

お土産でいただくお菓子や名産品のビン詰めなど、賞味期限が長ければ長いほど「いつか食べよう」「なにかのときに使おう」と後回しにして、気がつくと期限ぎれ。

また女性向けであれば、使い捨てのフェイスパックなども死蔵しがち。「旅行のときに便利そう」と洗面台の引き出しに入れてしまい、気がつくと数年経過。見つけたときには結局、怖くて使えなかった、なんてことも…。

こんな経験はだれでも一度や二度はしているはず。

 

お土産は旅先の「楽しかった、おいしかった」の気持ちのおすそ分けのようなものですから、その気持ちをいただく意味でも、すぐに使うようにしましょう。

私は一時期、岩塩やハーブソルトをいただく機会が多かったのですが、普段の料理に使うだけで少し風味が変わり、いつものお肉もグレードアップした気分になりました。
自分でわざわざ買わないものだからこそ、早めに使うといいと思います。

 

●危険なお土産2:旅先のテンションで買った「自分へのお土産」

旅行先ではテンションが高まり普段買わないようなものを「自分へのお土産」として購入した経験はありませんか?

私は普段ぬいぐるみなど飾る趣味がないのに、テーマパークに行くと「かわいい!」と「絶対欲しい!」と思って購入してしまうことも。帰宅して数日すると「どこに飾ったらいいのだろう」と困惑し、結局数年後寄付した…ということがありました。

もちろんほかにも、食器や雑貨など「せっかく来たのだから」「ほかでは手に入らないから」と買ってしまったものがたくさんあります。

この経験を踏まえて、旅先でなにかが欲しくなったら「どこに置く?」「1か月後もそれが欲しいと思う?」など何度も自分に問いかけて、ほぼ買わなくなりました。

買っておけばよかった…と思うこともありますが、だからといって改めて買いに行くほど欲しいわけでもないので、買わなくていいものだと思っています。

片づかない家にあるものと対処法

家が片づかない原因は、不要なものが多すぎること。そして、片づいた家にするために必要なことは、「数を決める」「枠を決める」「場所を決める」こと。

今回は片づかない家にありがちなものを例に挙げ、その対処法をお伝えします。

 

●1:洋服の数より多い「ハンガー」→数を決める

クローゼットがギュウギュウの家の特徴として挙げられるのが、たくさんのハンガー。ショップでもらったもの、クリーニング店のものなど多種多様のものが家じゅうから出てきます。

洗濯に使えるし、玄関でレインコートを乾かすし、来客のコート用にとたくさんあっても困らないように思いますが、その分「ハンガーがあるから」と自分の洋服が増えすぎたことに気がつきにくいです。

自分のもっている洋服の数+洗濯に必要な数+来客用(洗濯用や自分用で代用可能)としっかり数を決めましょう。

 

●2:袋の口を留める「クリップやワイヤータイ、輪ゴム」→枠を決める

食品の入った口を留めるクリップやワイヤータイ、輪ゴム、もちろん便利なものですが、どれくらいあれば大丈夫なのか確認してみませんか?

散らかったキッチンの特徴のひとつが、この手のものが無限に思えるほど出てくること。無意識に引き出しなどにポイっと入れてしまっているからです。

一度に必要になる量は限られていますので、「ここに入るだけ」と枠を決めましょう。

ちなみに私はキッチンでも事務用のクリップを活用しています。食品専用のものよりコンパクト。挟む力もしっかりしている、また早めに使用したいものはマグネットフックに引っ掛けておけば使い忘れもありません。
いずれにせよ「ここに入るだけ」です。

 

片づかない家によくある「紙もの」と、ためない工夫

片づけが苦手なおうちに必ずあるものが、家電を買ったときについてくる紙類です。今回は、片づけ上手な人がやっている「ためない工夫」についてお話しします。

 

●1:見ない、本体が既にない「取扱説明書」

家電を買うとついてくる取説。もちろん購入後一定期間は使い方を知るために必要ですが、ひととおり使い方を理解したあとは、ほとんど見ることがなくなります。そして最近はインターネットで簡単に取扱説明書を見ることができるので、処分しても大丈夫。

私は洗濯乾燥機、タンクレストイレ、換気扇に関してはコース設定やお手入れ方法などたまに見ることがあるので、捨てていません。それぞれ洗濯機の近く、トイレ内収納、換気扇そばの扉の内側などに保管していますが、ほかの取り扱い説明書は処分しています。

たとえばドライヤー、扇風機、自転車、カセットコンロ、シーリングライト…。これらの取扱説明書は本当に必要でしょうか? 何年も見ていないなら処分を考えてみてください。
また案外、既に本体がないのに取説だけが残っていることもありますよ。

 

●2:保証期間がきれた「保証書」

自宅で大切に保管している家電の保証書。購入日や販売店がしっかりと記載されているかどうか、ぜひ確認してみてください。販売店も購入日も空欄のものはありませんか?

保証書の中でいちばん大切なのはその紙本体ではなく、「いつ、どこで購入したか」という購入の記録です。ということは肝心の部分が空欄では意味がありません。「購入日から1年保証」と書かれていても購入日が分からなければ保証は受けられないかも。

レシートと一緒に保存しているなら大丈夫。インターネットで購入したのであれば購入履歴がありますし、または販売店でポイントカード(ポイントアプリ)をつくっていれば、そのポイントカードに履歴が残っていることも。そうなると、保証書本体がなくても問題ないこともあります。

販売店などの長期保証に入っている、かつ取扱説明書を残しているものは、取説に保証期限をメモしておくとわかりやすくおすすめです。