日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。「なんとか修復しようと努力をしていた自分がかわいそうだった」と涙を浮かべる綾子さん(仮名・50代)にお話を伺いました。妻の妊娠中から始まった夫の浮気。20年を超えるレスの夫婦生活は苦しい思い出ばかり。切なさあふれる気持ちを赤裸々に語っていただきました。

妊娠がわかってレスになり、夫はよそで女性と…

「幼い頃からお嫁さんになることが夢で、早く結婚したいと思っていました」と語る綾子さんは、22歳の時に結婚。相手は2つ年上の地元の幼馴染でした。埼玉県某市の地元のなかでも早い結婚だったといいます。

●地元でも評判のイケメン!モテる夫と結婚した結果

「幼稚園から高校まで同じ学校だったんです。ビジュアルもアイドルみたいにかっこよくって、運動神経も抜群。周りの女子もみんながあこがれる先輩だった彼とつき合うことになったきっかけは、母親同士のすすめでした」と綾子さん。

綾子さんの母親と夫の母親は女学校時代からの同級生で大の仲よし。そんな関係もあり、幼い頃から家族ぐるみでBBQをしたり、テーマパークへお出かけをすることも多かったとか。

「子どものときは近所の運動神経がいい人気者のお兄ちゃんという感じでしたが、思春期の頃から異性として意識するようになりました。でも向こうはモテる人。つき合うことすらないと思っていたんですが、大学のときにたまたま帰りの電車が一緒になるという偶然の再会があったんです」

そこから、なんとなく二人で会う機会が増えていったそう。本人たちよりも両方の親が盛り上がっていたといいます。綾子さんは大学を卒業し、そのまま就職しないで夫と結婚することになりました。

「私はすごくうれしかったけれど、夫は『愛を誓う』とか『添い遂げる』とか、そういう覚悟はなかったんじゃないかな。周りにプッシュされて断りきれなかっただけで」と切なげに振り返る綾子さん。

そう、この結婚こそが、綾子さんにとって苦しい生活の始まりになってしまったのです。

●行為がなくなると心も離れていく夫

綾子さん自身も170cmと身長が高く、スタイルもよくて、正統派な美形。まるでモデルのうような美男美女のカップルですね! というと「女性の高身長って、男性に敬遠されがちだったんです」とぽろり。
新婚時代は週に2、3回求められ、レスとは無縁とのこと。夫婦関係の雲行きが怪しくなったのは、綾子さんの妊娠が発覚してから。

「最初の違和感は、妊娠がわかっても夫があまりうれしそうじゃなかったこと。自分のおなかに身ごもっている女性とそうではない男性とで、喜びの感じ方も違うのかなと思って、あまり気にしないようにしていたのですが、妊娠初期のある日、急な不正出血があって病院へ行ったらすぐに入院することになってしまったんです。そこから、お見舞いにくるのは義母ばかり。夫がやって来ることはありませんでした」

大事をとって、妊娠中は「しない」ことに。しかし、夫の心が離れていくのを感じたといいます。

●長期入院で孤独な出産。夫はまるで他人事

綾子さんは「切迫流産」という診断が下され、病室で絶対安静の状態が続きました。夫に会えない寂しさにも負けず、無事に男の子を出産。

「1か月くらい早く生まれたんですけれど、初めて抱いたわが子は本当にかわいくて。この子のためなら、どんなことでもがんばれると思えました」

そんな幸せいっぱいの綾子さんとは裏腹に、子どもが生まれてからもやっぱりテンション低めの夫。育児も無関心でまるで他人事。じつはこのときもう既に外に女性がいたことが、あとになってわかったのです。

「浮気じゃなくて、本気」やっかいすぎる夫の女性問題

「産後はもう2時間とか3時間おきに授乳しなきゃいけないし、哺乳ビンの消毒をしたり、オムツを替えたり、赤ちゃんのお世話をするだけでいっぱいいっぱい。本当に寝る暇がなくて、常にスッピンでパジャマのまま過ごしていました。ホルモンのバランスも崩れていて、色気なんてないのはわかっているけれど、それが普通だと思っていたし、レスになっているという感覚はなかったんです」と綾子さん。

孤独な育児に苦しみつつも、夫の仕事に影響が出ないように、1人でがんばり続けました。しかし、そんな張りつめた糸がプツンと切れてしまう出来事が発生します。

●車のダッシュボードから出てきた浮気の痕跡

夫との間に生まれた微妙な距離に戸惑いながらも、日常の家事と育児をひとりでこなしていたある日。車の掃除をしていたときのこと。

「子どもがいると、とにかく車も汚れるんですよ。それでお掃除のついでにダッシュボードのなかも整理しておこうと思ってあけてみたら、そこには船のチケットや避妊具が出てきて。あぁ、女がいるんだと知りました。浮気してるなんて思ってもみなかったので、すーっと全身が冷たくなっていく感覚でした。悲しみの絶頂という感じでしたね」

その日の夜、会社から帰宅した夫に「浮気してるでしょ」と詰め寄ると、「浮気じゃなくて、本気なんだ…」とまさかの返答。

「奥さんの妊娠や出産がきっかけでレスになったり、旦那が浮気したりっていう話は珍しいことではありませんが、いざ、自分が当事者になってしまうと耐えがたいものがありました」と綾子さん。

絶望の中、荷物をまとめて幼子を連れ、実家へ。形だけの謝罪を受け入れるかどうか悩んだというお話はまた次回。