ウェブブラウザ「Firefox 120」の正式版が公開されました。トラッキングコードを削除しつつリンクをコピーする機能や、画面端にピクチャーインピクチャーをぴったり配置する機能などが追加されています。

Firefox 120.0, See All New Features, Updates and Fixes

https://www.mozilla.org/en-US/firefox/120.0/releasenotes/

◆リンクのコピー時にトラッキングコードを削除する機能が追加

リンクを右クリックすると出現するコンテキストメニューの中に「サイト追跡を除いたリンクをコピー」が追加されました。この機能を使用することでトラッキングコードを除いたリンクをコピーすることが可能になります。実際にAmazon.co.jp上のリンクで「リンクをコピー」と「サイト追跡を除いたリンクをコピー」の違いを確認してみます。



結果は下記の通り。

・リンクをコピー

https://www.amazon.co.jp/b/?_encoding=UTF8&ie=UTF8&node=23572113051&pd_rd_w=7Gmhi&content-id=amzn1.sym.d9b2fe03-be91-458c-b44c-40526ed36342&pf_rd_p=d9b2fe03-be91-458c-b44c-40526ed36342&pf_rd_r=GFW5HVRSQNJMWXS2ASSX&pd_rd_wg=D4vyG&pd_rd_r=a871491d-131c-41d4-a2c8-2d49b5bd54bd&ref_=pd_gw_unk

・サイト追跡を除いたリンクをコピー

https://www.amazon.co.jp/b/?_encoding=UTF8&ie=UTF8&node=23572113051&ref_=pd_gw_unk

◆「Global Privacy Control」を有効にする設定をサポート

設定画面の「プライバシーとセキュリティ」ページにある「ウェブサイトのプライバシー設定」の項目にチェックを入れることで、自分がデータの共有または販売を望んでいないことをウェブサイトに通知できます。



◆ログイン情報の編集画面にショートカットを追加

「about:logins」ページでログイン情報を表示中に、「Alt+Enter」を押すことで編集モードに入ることができます。また、ログイン情報の削除用に「Alt+Backspace」というショートカットも追加されています。



・ピクチャーインピクチャーを画面端に貼り付けることが可能に

ピクチャーインピクチャーを移動する際に「Ctrl」キーを押すことで、画面の4隅にピクチャーインピクチャーをぴったり合わせることが可能になりました。



◆開発者向けの変更点

・UserActivation APIをサポート

ユーザーが現在ページでアクティブであるか、またはアクティブであったかについての情報を取得できるようになりました。

・Early Hints Preconnectをサポート

この機能を使用するサーバーとの通信時に、サーバーが最終HTTP応答の前にリソースリンクヘッダーを送信できるようになり通信のパフォーマンスが向上します。

・オフライン状態をシミュレート可能に

開発者ツールの「ネットワーク」パネルにある通信速度のシミュレーションメニューに「Offline」が追加され、オフライン状態をシミュレーションできるようになりました。



・「スタイルシートを整形」ボタンが追加

開発者ツールの「スタイルエディター」パネルにてスタイルシートを表示した際にスタイルシートを整形するためのボタンが追加されました。従来はminifyされたスタイルシートなどを自動で整形していましたが、Firefox 120からは手動で整形するかどうかを選択可能になっています。



・CSS Color Module Level 4の表現をそのまま表示するように

開発者ツールの「インスペクター」パネルにあるルール欄において、OKLCHなどCSS Color Module Level 4の表現が16進数表記にならず、そのまま表示するようになりました。



・lengthの指定において「lh」「rlh」をサポート

要素の「line-height」を元に長さを指定することが可能になりました。

・WebAssembly GCが有効に

ゲスト言語とホストブラウザー間の参照サイクルを収集可能になり、DartやKotlinなどの新たな言語を利用可能になりました。

◆その他の変更点

・プライバシー向上

強化型トラッキング防止機能を「厳格」設定にしている場合や、プライベートウィンドウの使用時のキャンバスAPIのフィンガープリンティング防止機能が強化されました。

・OSのルートストアからTLSトラストアンカーをインポートするように

「Windows」「macOS」「Android」版のFirefoxにて証明書のトラストチェーンの起点となるトラストアンカーをOSのルートストアからインポートする設定が有効になりました。

・UbuntuでSnapパッケージ版Chromiumからのインポートが有効に

UbuntuユーザーはFirefoxとChromiumがともにSnapパッケージとしてインストールされている場合にChromiumからデータをインポートすることが可能になりました。

また、Firefox 120には複数のセキュリティバグフィックスが含まれています。

なお、次期メジャー版となる「Firefox 121」は現地時間の2023年12月19日にリリース予定です。