年齢を重ねたら、住まいや人間関係など、暮らしや生き方をシンプルにして自分らしく生きていきたい、と考えている人が増えています。ここでは、60代で埼玉と神奈川県・茅ヶ崎で2拠点生活を始め、自分らしい暮らしを送るデザイナーの山中とみこさん(69歳)に、見直してよかったと感じる「人間関係のコツ」を伺いました。

これからをラクに生きる「家族・友人づきあい」の秘訣

 埼玉県でギャラリーショップを運営するデザイナーの山中とみこさんは、2年前、67歳のときから、夫と2人暮らしの埼玉県の自宅と、神奈川県・茅ケ崎の築50年超えの賃貸平屋で2拠点生活をしています。茅ケ崎で過ごすのは1か月のうち1週間ほど。

【写真】子ども部屋は夫婦の個室にリフォーム

茅ケ崎の家では最小限のものをもち、「2拠点生活は働いていて家賃が払えるうちだけ、と割りきって暮らしている」と話す山中さんは、「友人はもちろん、家族でも、人生は分けて考えます」と話します。必要なときに支え合うことはあっても、お互いに自立した関係でいられる努力をしているという山中さんの家族・友人づきあいの考え方を紹介します。

●1:ひとりの時間をもつことで夫婦仲よくいられる

夫の定年後、自宅の外に作業場を借り、世界が広がるのを感じた山中さん。夫も音楽の趣味やひとり旅を楽しんでいるそう。

「茅ケ崎の平屋は夫と住むつもりで借りましたが、ひとりで来ることが多くなり、今ではほぼ私専用。普段は互いの時間をもち、たまにふたりでお酒を飲むのがほどよい距離感と気づきました」

●2:友人関係はべったりにならず距離を保って

昔からひとりで行動するのが苦手で、だれかと一緒に行動するのが普通だと思っていたそう。

「50代半ばで考え方を変えたら単独行動ができるようになって、人づき合いがラクになりました」。春から、茅ケ崎の家で食を楽しむ会を開き、友人たちと新たな形で交流をもつように。

●3:子どもには「なにも残さない」のが親の務め

子どもの独立とともに、自宅をリフォーム。子ども部屋は夫婦それぞれの個室になりました。

「子どもたちには『思い出だけもって、ものは残さないで』と伝えました」。また、数年前に実家の墓じまいをすませ、自分たちは墓をもたずに樹木葬にする予定。「命日やお盆に墓参りしなくても、ふと日常の中で思い出してくれたら」