築33年、50代夫婦ふたり暮らしの戸建てリノベ。しっかり断熱、LDKをゆったりと
50代の夫婦がこれからの暮らしを快適にしようと、築33年のツーバイフォー工法の2階建てをリノベーションしました。冬場はとても寒い家だったので、断熱性能をアップ。孤立していたキッチンの位置を移動させて、リビングダイニングと一体のアイランドキッチンに。和室だった部屋もリビングに取り込み、念願の広くてくつろげるLDKと、暖かさを実現した終の住処です。
夏の暑さを考えLDKは1階のままに。窓の変更と断熱で快適
夫妻が妻の実家近くに中古住宅を購入したのは18年前。平成元年（1989年）に建てられた、ツーバイフォー工法の建物でした。夫は転勤が多い仕事で、購入直後3年間の海外単身赴任を経て帰国。3人の子どもはそれぞれ独立し、夫婦ふたりの暮らしが始まりました。
「この先は転勤もなさそうなので、そろそろリノベを、と考えました」（夫）。望んだのは、広いリビングを軸にした暮らしやすい家。
「日当たりがいい2階にリビングを、とも考えましたが、夏の暑さを考慮して、やはり1階に」（妻）。「1階だけど開放的で、冬も暖かく過ごせる家にしたい、と希望しました」（夫）。
リノベーションして生まれ変わった家は、壁を撤去して生まれた広いLDKが。フレキシブルに使える小上がりが、さらに奥行きを加えています。
また、夫妻が希望したのは断熱性。窓の入れ替えや床下の断に加え、床暖房の採用で冬も格段に暖かく過ごせるようになりました。
引き戸の活用などで風通しをよくする工夫も。2階は一部を二重窓にし、床をコルクタイルに。「コルクタイルは想定外の提案。温かみがあり、滑りにくいのも安心。とても気に入っています」と夫妻。
キッチン脇の小上がりは、廊下からも出入りできる「幼い孫がおもしろがって遊んでいます」と妻。
リノベーション前後の間取り
Tさんの家 東京都
・家族構成：夫50代 妻50代
・築年数：33年（1989年築）
・延床面積：約110�屐�1階54.65�屐�2階56.30�屐�
●リノベーション前
「中古で購入したこの家は、基本性能がいまひとつで、冬場は寒かったですね」と夫妻は振り返ります。将来の暮らしを見すえて、リノベーションでは、できるだけ断熱性を向上させたいと考えたと言います。
さらに、「狭かったキッチンを広く使いやすくし、リビングも明るくゆったりとできれば理想的だなと思っていました」と夫妻。
●リノベーション後
1階は和室を撤去して広いLDに変更。やや閉鎖的だったキッチンはLDと一体化してオープンに。サニタリーのゾーニングをやり直したことで、シューズクローゼットも新設できました。2階には、夫妻の個室とウォークインクローゼット、さらに将来母を迎えるための部屋を用意しています。
玄関は、温もりを感じる木質の断熱ドアを設置。
玄関ホール。木を取り入れた空間がゲストを温かく迎えてくれます。
水回りの工夫：回遊しやすいオープンキッチンに
キッチンの位置を思いきって移動させてアイランド型にし、リビングダイニングと同一空間に納めました。「くるりと回遊でき、�粁鷏燭覆里悩邏箸�はかどります」（妻）。
キッチンの面材と壁面タイルはボルドー系の色合いで、家全体の色調を決める核になっています。
やや高く立ち上げたカウンターのおかげで、リビングダイニングからキッチン内部が丸見えにならずスマート。
●サニタリーは遊び心も取り入れ使い勝手をよく
シックなグリーンのクロスで仕上げた2階トイレ。
ピンクのクロスを取り入れた1階トイレは天井に珪藻土を。湿気が抑えられていると感じています。
大人シックなタイルが目を引く洗面室。カウンター下をオープンに仕上げ、カゴなどを活用して必要なものをスッキリ収めています。洗面室と脱衣室を分けたことで、入浴中に洗面室が使えないというストレスもなくなりました。
断熱・通風の工夫：窓や玄関ドア、床を断熱仕様に
リビングダイニングにはガス温水式の床暖房を採用。「冬場がかなり快適に。近くに住む高齢の母も喜んでいます」（妻）。
床材は床暖房対応の三層フローリング。床下は、新たに発泡ウレタンフォームをしっかりと充填しました。
リビングにはLow-E複層ガラス入りのアルミ樹脂複合サッシを採用。熱貫流率が低く、冷暖房費の削減にも効果的です。
●階段回りを風通しよく。引き戸で冷暖房や風をコントロール
玄関とLDKをつなぐ位置に、味わいのある引き戸を設置。開閉によって通風や空調をコントロールしています。「昭和レトロの雰囲気を出したいと思い、半透明の型板ガラスと無垢材を組み合わせてコーディネートしてもらいました」（夫）。
壁で仕切られていた階段の脇に、スリット状の開口を設けました。暗くなりがちな階段に光を届け、通風にも役立っています。
●引き戸を取り入れた小上がりで風通しよく。窓の断熱も
キッチンの脇に位置する小上がり。3連の引き込み戸の開閉により、暑さ寒さや風通しをコントロールできるようになりました。全部閉めると壁のようになり、スッキリ。
こちらは引き戸をすべて壁に引き込んだ状態。小上がりは広さ3畳ほどで、ちょっと横になりたいときなどに役立っているそう。奥の出窓は、既存のサッシに内窓をつけて、断熱性を上げています。
この家のデータ＆使われている素材と設備
建物規模：ツーバイフォー工法2階建て
素材
床：オーク三層フローリング、フロアタイル、コルクタイル、畳
壁：クロス、タイル、珪藻土
天井：クロス、珪藻土
設備
キッチン：TOTO
サニタリー：ユニットバス、トイレ：TOTO／洗面ボウル：DURAVIT／洗面水栓：ハンスグローエ／ミラー収納：サンワカンパニー
設計・施工／スタイル工房
