パートナーに先立たれたり要介護になったとき、今の自宅に住み続けるか、住み替えるのか…最後まで心穏やかに過ごせる“終の棲家(ついのすみか)”について考える人が増えています。満足度の高い老後のためには元気なうちに動いておくのが吉。

今回、高齢期の住み替え資金アドバイスを行う「高齢期のお金を考える会」を主宰する、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに、老後の住まい選びの基本知識を教えてもらいました。

【図解】老後の「住み替えモデル」パターンをシミュレーション!

後悔しない「終の棲家」の選び方とは?

「『介護で子どもに迷惑をかけたくないから、最後は施設で』と話す人が増えています。でも、準備となると、なにもしていない人がほとんどなのはとても残念なこと」と、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん。

●老後をどこで過ごすかは、自分で選ぶ方が満足度が高い

「施設見学でよく見かけるのですが、同じ費用の施設に入っていても、自分で納得して選んだ人は満足度が高く、いつも笑顔で『ありがとう』を欠かさないからスタッフにも好かれています。逆に、急に倒れて家族に手近な施設に入居させられた人は不満が多く、文句ばかり言うから嫌われてしまう。“終の棲家”の準備の有無で、人生最後の過ごし方が全然違うんです」

畠中さん自身も、認知症になった場合は自宅からかなり離れた場所にあるグループホーム、身体介護の場合は介護付有料老人ホーム、それぞれ入りたい施設を娘さんに伝えているそう。

「とくに平均寿命が長い女性は、老後におひとりさまになる可能性が大。住み替え先を決めておくと、将来も安心です。元気なうちに、ぜひ自分に合う施設を見つけてください」

まず知りたい!老後の住まい選びの「基本知識」

「終の棲家」を考える際に、知っておきたい基本知識をご紹介します。

Q 老後の住まいはどんな選択肢があるの?

A 要介護認定の有無で入れる施設は変わる

高齢者施設には、元気なうちに入れる「自立型」施設と、要介護になってから入れる「介護型」施設があります。

一方で、老後の住まいの考え方は
(1) 自宅で最後まで過ごす
(2) 元気なうちに一軒家から便利なマンションに転居→要介護で介護型施設に移る
(3) 元気なうちに自立型施設に入居→要介護で介護型施設(または同じ施設の介護棟)に移る
(4) 要介護で介護型施設に入居
のおおまかに4つ。自分が過ごしたい老後を考えれば、“終の棲家”をどこにするかが見えてきます。