ドラマや映画で活躍中の俳優・小関裕太さん。11月28日からは、中世のフランスで炎のように生きた乙女、ジャンヌ・ダルクの生涯を描いた舞台『ジャンヌ・ダルク』に出演します。

小関裕太さん『ジャンヌ・ダルク』インタビュー

今回は小関さんに、本作の役にかける情熱と息抜きの秘訣、さらにオフの日の過ごし方などについてたっぷりお話を伺いました。

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●演じる役で共感できる部分は…

本作で、小関さんが演じるのは、「百年戦争」と呼ばれるフランスとイギリスとの闘いに終止符を打った、伝説の王・シャルル7世。そして物語の主人公・ジャンヌ・ダルクの存在を世に知らしめた人物でもあります。戦乱の世を生き抜く男の役に、小関さんはこんなイメージをもったのだとか。

「歴史上、“勝利王”とも称されるシャルル7世。その若き日を描く今回の舞台では、“臆病な王”という設定です。しかし彼の性格は、単純に割りきれるものではないですね。フランスが存亡の危機に瀕していた時代に、周りを信じることが難しい環境に生まれ育ち…」

「だって、ただ生きているだけで命を狙われ続けているなんてこと、僕も含めて皆さんもありえないですよね? 演じる側の僕が、おいそれと“共感できます”というようなことを口に出せないぐらい、重たい運命を背負って生きてきた人だと思いました」(小関さん、以下同)

シャルル7世が出会うジャンヌ・ダルクは、日本でもよく知られた人物。今回作品に出演するにあたり小関さんは脚本を読み込んで、シャルル7世とジャンヌとの関係性について考えたそうです。

「シャルル7世は、自分の行動に自信がもてずにいたけれども、ジャンヌをきっかけに、自らを奮い立たせることができたんですね。彼を変えたのは、ジャンヌそのものなのか、それとも彼女が聞いたという“お告げ”なのかは、分かりませんが…」

「そして作品の中では“声”が大きなテーマになってきます。己の心の声、周りからの声。僕を含め、皆さんも、だれかの“声“がきっかけで、変化や脱皮、成長をすることってあると思います。僕の場合、迷った場合は、まずたくさんの意見を聞き、決めるときは自分から湧き出る声に従うことにしています。臆病な男・シャルル7世が変われたのは、果たしてだれの、どんな声だったのか――? 色んなイメージを重ねながら、作品を観ていただけたらうれしいですね」

●楽屋を居心地よくさせてくれる「グッズ」

今回の作品は、東京と大阪の2か所での公演。場所を変えて、1か月近くの長丁場です。小関さんは舞台のお仕事の際には、楽屋をすごく大事な場所だと捉えているそう。

「楽屋は自宅とはまた別の、もうひとつの部屋だと思っています。だからなるべく心地よく過ごせるようにしたいんですよね。少し前からやっているのは、お気に入りの花瓶を飾ること。僕はフィンランドのイッタラ社の工芸品が好きなのですが、あるときにふと思いついて、自宅にあるイッタラの花瓶を楽屋に持って行き、置いてみたんです。それだけでも空間が居心地よくなりましたし、お花を買って飾ってみたりもして。想像以上に自分のテンションが上がりましたね」

デザイン、写真、音楽と、多趣味、多芸なことでも知られる小関さん。自宅のインテリアにも、こだわりがあるのだとか。

「棚の中に楽器やカメラなど好きなものをわーっと並べています。そして衣替えをするように、季節ごとに、飾っているもののレイアウトを動かすのが楽しくて。自分の脳みその中にあるものをその棚に反映させ、インスピレーションが湧いたら、すぐに手を伸ばせる状態にしておきたいんですよね」

ところが最近、その“棚”に、ちょっぴり変化が生まれたと言います。

「今まで飾っていたものたちを、あえて別の場所に移動させ、棚自体も新しいものに変えてしまおうかな、と。そして新しい棚には“なにもない空間”をつくることに興味が湧いてきています。というのも、僕は写真を撮るのが好きなのですが、撮影を極めるほどに、光の入り方や空間の構成がおもしろいと思うようになってきました。

こだわっていた自宅の棚も、空間づくりからもう一度練り直したくなっていて。それと、ものを減らしてシンプルにしたい気持ちもありますね。そこから、今までの自分を超えた、新たな発想やイメージが湧いてくるかもしれません」

●30代の目標は「ハンカチを持ち歩く男」!

現在、28歳。ご自身から見れば少し年上の、エッセオンライン読者に聞いてみたいことがあるのだとか。

「皆さん、どんな30代、40代、50代を過ごされていますか? 僕は今、30歳の手前にいて、20代のうちは、とにかくやりたいこと、やれることにがむしゃらに取り組んできました。過去の時間に悔いはまったくないですが、この先をもっと楽しくするにはどうしたらいいだろう、という欲張りな悩みがあるので、つい聞いてしまいました(笑)。

ひとまず僕の30代の目標は、『ハンカチを持ち歩ける男になる』こと。ハンカチは小さな布ですが、洗濯してアイロンをかけて…と、美しさを保つのに時間や手間がかかりますよね。そういうひとつひとつの作業を、面倒くさいと思わずに、さらっとできるようになるのが理想なんです。そして20代よりも30代、30代よりも40代…と、年齢を重ねるにつれて『今がいちばん楽しいよ!』と、言い切れる大人を、目指しています」

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