人からもらったものや思い出の品などを、手放せずに押し入れやクローゼットにしまい込んでいる、という人も多いのではないでしょうか。「思い出の品を厳選すれば、人生後半を軽やかに過ごすことができますよ」と話すのは、50歳から本格的にミニマムな暮らしをスタートさせたという、カナダ在住のミニマリストでブロガーの筆子さん。そんな筆子さんに、贈り物や思い出の品を上手に手放す方法を教えてもらいました。

50代60代、懐かしさでいっぱいの記念品や贈り物の手放し方

人生の折り返し地点をすぎた。そんな50代以降の人たちに、思い入れがたっぷりある記念品や贈り物の整理の仕方を紹介します。

古いものを、なにも考えず箱の中にしまっているのなら、一度すべて取り出して、これからの人生を共に歩みたいと思うものだけを選びましょう。

●1.よい気分になるものだけ残す

ひとつひとつ取り出して、どんな気分になるか考えてください。そして、楽しい思い出がよみがえるか、いい気分になるものだけを残しましょう。

以下のものは、手放しても大丈夫です。

・なにも感じないもの

・それがなにか、思い出せないもの

・なんのためにキープしているのかわからないもの

・義理でもっているもの

・いやな思い出がよみがえるもの

・罪悪感を抱かせるもの

なにかやり残したことを思い出すときは、できるなら今、けりをつけてください。今さらどうにもできないなら、あきらめて品物を手放し、次に行きましょう。

過去に自分がやったことに関して罪悪感や自己嫌悪を抱くなら、自分を責めないように。だれでも失敗や間違いをします。この場合も、思い出の品を手放し、章を改めることをおすすめします。

●2.贈り物は感謝して手放す

「くれた人に悪いから」「記念の品を捨ててはいけない」。そんな義務感から、使っていないし、好きでもない贈答品を押入れにしまっていませんか?

こうした品物は、くれた人の好意に感謝して手放してください。

贈り物や慶事の記念品は、愛、好意、喜びなどポジティブな気持ちを伝えるために、あなたの手元に来ました。罪悪感や義務感、重苦しい気分といったネガティブな感情になるぐらいなら、処分した方が、くれた人の気持ちに応えることができます。

ギフトを手放すのが苦手な人が多いですが、今もこの先も、その品を管理できるのは自分しかいません。

●3.使ってみる

親族から受け継いだ食器セットや、親の形見の楽器やスポーツ用品、子どもが幼い頃こしらえた飾りものなどは、しまいっぱなしにせず自分で使ってみてください。

そうすれば、ものを活かすことができます。

使ってみて、どうにも自分の生活に合わないなと思ったら、よそに回す決心がつくでしょう。逆に、新しい趣味を開拓できる可能性もあります。

衣料品や雑貨はほかのものにつくり替えて、使ってみるのもいいですね。

●4.1つだけ残す

1つのイベントや旅行先、ある特定の人の記念品や思い出品が大量にあるときは、1つだけ残してはどうでしょうか?

そのイベントや人物を思い出すのに、ものはいくつも要りません。それ1つあれば、さまざまなことが一気によみがえる、パワフルな思い出の品を1つもっていればいいのです。

100個ある記念品から1つだけ選べば、その1つに、切り捨てたすべての品のパワーが集約されますよ。

●5.デジタル化する

手紙やカード、動画、写真、音楽などデジタルデータで残せるものは、一部をデジタル化してかさを減らしましょう。

デジタルファイルにしたほうが、写真も動画もスマホでいつでもアクセスできるので、思い出がより身近になりますよ。

デジタルデータもありすぎると整理が大変になります。しかし、デジタルで残せば、「この思い出との今生の別れだ」という悲壮感をもたずに、部屋のスペースを確保できるでしょう。

●6.ものと気持ちを切り離す

思い出の品や贈り物を捨てられないのは、その品を捨ててしまうと、その品にひもづいている幸せや記憶が消えてしまうと恐れているからです。

その記憶とは、たとえば、楽しかった時間やその人とのつながり、一緒にいた人の友情や好意、うれしかったこと、誇らしかったことなど。

しかし、ものを捨てても幸せだった瞬間は消えません。その瞬間は2度と返ってきませんが、それは記念品をもっていても同じことです。

楽しかった気持ちや記憶は、自分の脳の中にずっと残っています。記念品を捨てるときに、かつてあったことを思い出し感謝すれば、その記憶はより強化されます。

今回は、思い入れの強いものを捨てるコツを紹介しました。

見るたびに懐かしく温かい気持ちがよみがえる品物が手元にあるのはいいことです。ですが、現実問題として、今の生活に関係のない思い出の品がありすぎると、とても暮らしにくくなりますよね? 思い出の品は厳選して、軽やかに人生後半を過ごしましょう。

筆子さんの著書『50歳からのミニマリスト宣言!』(扶桑社)では、ここで紹介した以外にも、上手なものの減らし方や、ミニマリストになってよかったこと、体と心の健康を保つコツなど、これからの暮らしに役立つ内容をたっぷり掲載しています。