キッチンをいつもきれいにしたいなら、天板(ワークトップ)の素材選びが重要。洗剤メーカーに勤め、工学博士でもある日刊住まいライターは、3年前にハウスメーカーで自宅を建てました。その際、天然石を含まない、樹脂からなる「白の人造大理石」を選択。その理由は、掃除がとてもラクで、水アカが目立たないから。ただ注意しなければいけないことも。詳しくレポートします。

キッチンの天板には白色の人造大理石を選択!

わが家は子ども2人(4歳と1歳)を含む4人家族。3年前にハウスメーカーで、総2階の家を建てました。夫婦共働きのため、家づくりでは家事がラクことを念頭に、設備や建材を検討しています。

なかでも、キッチンの天板については熟考しました。毎日使うのでとくに汚れやすい。それに、大きなリフォームをしないかぎり、使い続けることになります。

ですから、掃除の手間を少なくするために、天板につく汚れや、その汚れ落としに使う洗剤を想定し、採用する素材を考えました。そして採用したのが天然石を含まない「白色の人造大理石」です。

住んで3年になりますが、イメージしていたとおり、掃除の手間もかからず、きれいな状態をキープしています。

 

天然石を含まない樹脂製なら酸性洗剤が使える

人造大理石は、ハウスメーカーの標準仕様のなかにもありました。これが、天然石を含まない樹脂製だったこともあり、採用することにしたのです。

白色の理由は水アカ汚れ対策のため。水アカ汚れは白色で、キッチンの天板を同色にすることで目立たなくなります(ちなみに、水アカは、水に含まれるミネラル分であり、害のある成分ではありません)。

じつは、水アカ汚れに効果的な酸性の洗剤(クエン酸など)は、大理石などの天然石も溶かしてしまいます。しかし、樹脂に対してはほとんど影響がありません。また、酸性の洗剤ほどの強さではありませんが、中性の洗剤に含まれる「金属イオン封鎖剤」も水アカ汚れに効果的なのですが、やはり天然石を溶かします。

ちなみに、筆者が採用したのとは別のメーカーでは、人造大理石という名称なのに「天然石を砕いて混ぜ込んでつくっている」と表記しているものもありました。さらに、似た表現の「人工大理石」というものも。メーカーによって言い方や、使われている素材が微妙に異なります。

天然石の有無によって、酸性の洗剤を使えるかどうかが変わります。ここが大事な分かれ道。調べてもわからなかったら、なにでつくられているか、メーカーに聞いてしっかり確認してたほうがいいでしょう。

水アカ汚れとキズが目立つステンレスは避けた

わが家のキッチンの天板は、標準仕様の範囲内でステンレスを選ぶこともできました。たしかにステンレスは、酸性の洗剤が使えるため掃除はしやすいです。

しかし、水アカ汚れは白色。ステンレスだと非常に目立ちます。また、調理器具などと接触してキズができてしまうと、そのキズも目立ってしまいます。これが、採用しなかった理由でした。

筆者は、ステンレスよりも長く使用してもキズや水アカが目立ちにくい、白の人造大理石の方が魅力的な素材だと思ったのです。

 

掃除は中性洗剤によるふき上げのみ

わが家では、キッチンの天板の掃除は中性洗剤によるふき上げのみ。天板が白色のため、水アカ汚れがほとんど目立たず、とくに水アカ汚れ対策は行っておりません。

じつは中性の洗剤中に含まれる「金属イオン封鎖剤」という成分が、水アカ汚れには効果的。ですから、中性洗剤によるふき上げ作業をすることで、同時に水アカ汚れのふき上げもできているのです。

中性洗剤は食品汚れと水アカ汚れを同時に掃除できます。なので、「白色の人造大理石」の天板は、中性洗剤1剤で掃除できるというのも、うれしいメリット。

もし将来、水アカ汚れが気になることがあった場合は、水アカ取りに効果大のクエン酸を使うことも可能です(天然石を含む「人造大理石」や「人工大理石」の天板の場合、クエン酸を使用しない方がいいです。クエン酸は大理石を溶かす性質があるため、繰り返し使用すると変色したり傷んだりする可能性があります)。

劣化対策で、熱いものを置く用のカバーを採用

樹脂製の人造大理石で注意しなければいけないのは耐熱温度です。ステンレスほど高くはありません。ですから、熱い鍋やヤカンなどを直接置くときは注意が必要です。

わが家でも、熱いものは極力置かないようにしています。置く場合でもカバーの上に置くよう対策をとっています。

熱に弱いデメリットはありますが、掃除の手間軽減のメリットの方がはるかに大きいと感じています。ですから天然石を含まない「白の人造大理石」の天板にしてよかったと思っています。

※天板を掃除する際は、キッチンと洗剤の取扱説明書をよく読んでから行ってください