30代女性＆保護猫が暮らす、60㎡台のマンションリノベ。キッチンが主役の間取りに

2023年11月6日 20時45分

30代の女性が、保護猫2匹と暮らすために、中古マンションを購入。テーマだった「ネコのための工夫を取り入れた開放感あふれる間取り」にリノベーションした事例です。思いきって居室すべての間仕切りをなくし、アイランドキッチンを主役とする見通しのいいワンルーム仕様に。人もネコも居心地のいい家が生まれました。

大空間にキャットウォークを融合させたシックなデザイン

Iさんの家　大阪府

・家族構成：本人30代
・築年数：19年（2004年築）
・専有面積：63.60㎡
・設計・施工：ハコリノベ

大阪市内にある1Kの賃貸マンションで暮らしていたIさんのもとにある日、保護猫の譲渡会で出会った2匹の兄弟ネコ、茶々と六月がやってくることに。

当初1匹だけを引き取るつもりでしたが、「多頭飼いの方がいいだろう」と判断。その結果、のちの物件探しで大いに手こずることになったといいます。

「当時住んでいたマンションはペットOKということになっていたものの、ネコはNG。そこで住み替えを考えることになり、せっかくなら間取りを好きなように変えられる中古購入＋リノベーションにしようと決めました。

いざ物件探しを始めてみると、昔の分譲マンションはペットOKのところ自体が少なく、ネコ2匹となるとさらに狭き門。1年近くを費やして見つけた今のマンションは、約63㎡とほどよい広さです。扇形のユニークな形状はリノベーションでおもしろい空間になりそうだと直感。懇意にしているキャットシッターの対応エリアだったことも好都合でした。

間取り（リノベーション前後）

リノベーション前

リノベーション後

以前は和室と洋室を設けた2LDKで、キッチンもセミオープンと、全体に細分化された印象。そこで、思いきって居室すべての間仕切りをなくし、アイランドキッチンを主役とする見通しのいいワンルーム仕様に。

プランニングにあたってテーマとしたのが「ネコのための工夫を取り入れた開放感あふれる間取り」です。料理好きなIさんが楽しく腕を振るえるアイランドキッチンを中心に、リビングスペースから寝室へゆるやかにつながる、大きなワンルームの間取りを採用しました。

アイランドキッチンを中心に人もネコものびのび

キッチンの背面には左右いっぱいに収納カウンターと、見せる収納を意識したオープン棚を造作。フロアタイルを含めたシックなトーンに白いタイルでアクセントを添えています。

アイランドキッチンは、既製品のシステムキッチンを腰板で囲ってワークトップをステンレスで仕上げたオリジナル仕様。仕事スペースとしても使うダイニングカウンターも造作しました。

躯体を現しにすることで高くなった天井には、古材とアイアンを組み合わせたキャットウォークを設置。ネイビーの建具や腰板、オークのフローリング、Iさんのお気に入りの家具などとも相まって、シックでモダンな統一感のあるインテリアに仕上がっています。

「全体に広々としていますし、自分が好きで選んだデザインに囲まれ、住み心地は申し分ありません。なにより、ネコたちがのびのびとしている姿を見るとうれしくなります」（Iさん）

六月に誘われて追いかけっこをしたり、窓辺でくつろぐ茶々に見守られながら調理をしたり。以前にも増して愉快なネコたちとの暮らしが実現しました。

料理をつくるのが好きだというIさんはキッチンのワークトップにステンレスを採用。ネコたちの食事には愛猫家御用達「猫壱」のフードボウルを使っています。

茶々の方がちょっぴり食いしん坊だとか。

ラウンド形状のLDKは落ち着いた雰囲気に

特徴的なラウンド形状のLDK。塗装風の壁クロスやオーク材のフローリングで、落ち着いた雰囲気になりました。

ペット専用生地を採用したフランネルソファの「シエスタ」、杉山製作所「クロテツ」シリーズのアイアン製アームチェアなど、お気に入りの家具がいい具合になじんでいます。

トイレの扉や床、つり戸棚もキッチン回りのカラーとそろえて、統一感を持たせました。

玄関に併設された土間収納。可動棚になっていて、気分に合わせてアレンジできます。

ネコのための工夫＆居場所

左から六月（むつき）と茶々（ちゃちゃ）。ともにオス。5つ子のうちの2匹で現在5歳です。六月はスリムで運動神経がよく、茶々は少しジャンプ力が不足。どちらも人懐っこい性格。

ネコたちが快適に過ごす居場所や、リノベーションで実現した工夫を紹介しましょう。

●洗面室の拡張でできた余剰空間をネコトイレ置き場に

洗面室を広げるために洗濯機置き場を移動させ、余った空間を有効活用。収納を浮かせてちょっとおこもり感のあるネコ用トイレスペースを確保しました。

ここからもキャットウォークと行き来できるよう、キャットタワーを設置しています。

●間仕切りのないワンルームはネコたちにも快適

開放感を重視して、LDKから寝室まで間仕切りを設けないワンルーム仕様にした結果、ネコたちも自由に走り回れる空間に。寝室のベッドで使っている枕は2匹のお気に入りの場所のひとつです。

●インテリア性も兼ね備えたネコ道が巡る

梁に沿うようにLDK全体に巡らせたキャットウォークやキャットステップには、素材感のある足場板やアイアンを採用しました。

キャットウォークにはスポットライトも設置し、部屋の雰囲気になじむ意匠に仕上げています。

ネコのお気に入りアイテム

寒い冬にはかわいらしいネコ用コタツが登場。「2匹でよくぎゅぎゅっと入っています」とIさん。ネコの安心・安全を考えた仕様になっていて、電気代もそれほどかからないそう。

段ボール製の爪研ぎは茶々のお気に入り。2つあるうち、こちらは2段ベッドを兼ねたタワー型で「猫壱」の人気アイテムのひとつ。残念ながらベッドとしてはあまり利用してくれないそう。

ネコのことを考えたグッズの開発で定評のあるブランド「猫壱」の脚つきフードボウル。「ニャンズが首を下げずに食べられて、縁に返しがついているからエサがこぼれにくいんです」とIさん。

帰りが遅くなるときや泊まりでの外出時には、ご飯の提供時間と量を予約できる、自動給餌器が活躍します。2匹用に2台設置しているが「それぞれがどちらを食べているのかは不明（笑）」とIさん。

この家のデータ＆使われている素材と設備

建物規模：地上15階建ての6階

素材

玄関
床：既存タイル
壁：クロス
天井：躯体現し
ホール、LD
床：オーク複合フローリング
壁：クロス
天井：躯体現し
キッチン
床：フロアタイル
壁：クロス、タイル、躯体現し
天井：躯体現し
寝室
床：オーク複合フローリング
壁：クロス
天井：クロス、躯体現し
洗面室、トイレ
床：フロアタイル
壁、天井：クロス