シニア夫婦ふたり暮らしのマンションリノベ。水回りを中心に空間をひとつながりに
夫婦ふたりがネコと暮らす、60�崑罎離泪鵐轡腑鵐螢離戞璽轡腑鷸�例です。窓の多い角部屋というメリット生かして、中央にサニタリーやキッチンなどの水回りを配置。その周囲をリビングダイニング、寝室などが取り巻く間取りに。回遊できるひとつながりの空間は、人もネコも動きやすく、光や風もよく通る家になりました。
空間をひとつながりにして、光や風もよく通る家に
Tさんの家 東京都
・築年数：26年（1997年築）
・専有面積：67.76��
・設計：Yusuke Komata/new building office
現在、3匹のネコを飼っているTさん夫妻。妻は、子どもの頃からきょうだいのようにネコと一緒に過ごしてきて、かれこれ10匹以上、捨てネコや保護ネコを引き取るなどして育ててきたそう。
また夫も妻の影響を受け、ネコたちに惜しみない愛情を注いでいる毎日です。築26年になる立地のよいマンションは、新築時に購入しました。3年前、ネコたちがクロスを引っかいて、ボロボロにしたのが気になり始め、リノベーションを計画することに。
上の写真は、リビングダイニングからキッチンを見たところ。さらに引き戸をあければ寝室までつながります。住戸の三角形の部分を寝室としているので、手前から視線が届きにくくなっています。キッチンには冷蔵庫も組み込んで、寝室まで連続する壁面収納を造作しました。
既存の壁を撤去して広くなったリビングダイニングには、東側の開口に沿って、ワイドなカウンターを造作。これがキャットウォークとして活躍するのはいうまでもなく、窓辺を好むネコたちにとって、格好のビューポイントになっています。さらにカウンターは一部がデスク仕様。
「設計したのはコロナ禍の前でしたが、思いがけずテレワークに大活躍。ネコたちがリモート会議に参加しちゃうこともありますが（笑）」と夫妻。
T邸へは、ひとり暮らしの知人が「モフモフに触りに行っていいですか」と遊びに訪れることもしばしば。ネコたちが自由に過ごしながら、夫妻や周囲に癒やしを与えている様子です。
間取り（リノベーション前後）
リノベーション前
リノベーション後
窓の多い角部屋というメリット生かして、住戸の中央にサニタリーやキッチンなどの水回り空間を配置し、その周囲をリビングダイニング、寝室などが取り巻く構成です。部屋間には引き戸もありますが、あけ放てば行き止まりがなく、回遊動線が生まれます。
結果、動きやすくて開放感があり、ネコたちが動き回るのにピッタリな家となりました。ひとつながりの空間にすることで、3方からの光や風が随所に届くようになったのも大きなメリット。
寝室からはどこへでもアクセス良好！
寝室への通路に沿って洗面室を配置しました。洗面台の背面の壁は、光沢のあるウレタン塗装全ツヤ仕上げ。寝室の窓からの光をやわらかく反射する効果も！
寝室はオオスケの好きな居場所。天井まである美しい壁面収納が、室内をより広く見せています。
キッチンと洗面の間に位置する寝室。セメント板の壁の先に水回りが収められています。入り口の引き戸を閉めれば、よりプライパシーUP。引き戸はピンクのリノリウムで仕上げて、空間のアクセントに。
寝室からアクセスしやすい位置にあるトイレは奥行きがあり、ほっと落ち着けるスペース。正面にスッキリと収められた収納が美しい。手前のスペースに棚を設け、アートを飾っています。
洗面コーナーの向かいにバスルームとランドリースペースがあります。サニタリー入り口と寝室の引き戸を閉めれば、独立した空間となるのでプライバシーが保ちやすいそう。
ネコのための工夫＆居場所
まずは、この家でTさんと暮らす3匹のネコたちを紹介します。
オオスケ（ミックス）はオスの12歳。最初、妻の母が飼っていたのを数年前に譲り受けた。どっしりしていて何事にも動じず、ソファの下や寝室で思索にふけっている（寝ている？）ことが多いそう。
キキ（ミックス）は3か月半のオスで、好奇心あふれるヤンチャな性格。怖いもの知らずで、キッチンのシンクに入ってしまうこともあるそう。まだ人見知りで、来客時は洗濯機の下にこもってしまうことも。
ブンタ（ミックス）はオスの9歳。3匹の中では中間管理職的存在だそうで、サービス精神旺盛。リビングのソファの下はお気に入りの場所のひとつ。撮影時も大活躍してくれました。
次に、ネコたちが快適に過ごす居場所や、リノベーションで実現した工夫を紹介しましょう。
●洗面台の下をオープンにしてトイレをイン！
回遊動線上にあり、LD側からも寝室からもアクセスしやすい洗面室。2人同時に使えるようWシンクに。カウンターの下をオープンにし、ネコトイレの定位置としました。
「トイレの寸法を測り、すっぽり収まるように依頼しました。目につきにくいので、来客時も安心です」（妻）。
●カウンターをウォーキングするのが日課
約6mのワイドなカウンターの上をお散歩するブンタ。窓は見晴らしが格別で、空を飛ぶ鳥の姿によく反応するそう。
引き出し、オープン棚、デスクスペースなどさまざまな要素が組み合わされていて、最適な使い方ができるように設計されています。
●外の路地を散歩するイメージです
リビングダイニングの通路を直進し、右に折れると水回り、寝室、さらにキッチンへと回遊できます。水回り空間を囲む右手の壁は、屋外用のセメント板。
設計した小俣さんは、ネコが家にいながら外の路地をお散歩するイメージを描いたそう。
●ふかふかベッドの上が大好き!
寝室と布団、枕をこよなく愛するオオスケ。「ネコは自分たちの好きな場所を見つけるのが得意で、あれこれ考えて私たちが用意しても思いどおりになることはまずないと思うので、自由にさせています」（夫）。
ネコのお気に入りアイテム
ブンタやキキがよく入っている、もうひとつの爪とぎ。ボックス全体が段ボール素材で、夏は通気性がよく、冬は保温性に富むのが特徴。かたわらの食事スペースは、2か所あるうちの1つ。
レトロなテレビをモチーフにした爪とぎ。段ボールの断面を使った側面で爪とぎをし、テレビの中にこもることも可能。表と裏で色が違うので、インテリアに合わせて楽しめます。
ソファを買いに行った際に見つけた子ども用のイス。「かわいくて、大人用以上に欲しくなりました」（妻）。ブンタやキキはここに座ってよくテレビを見ているそう。
キキをとりこにしている小鳥のマスコット。「口にくわえたり、サッカーのドリブルのようにけって走ったりしています」（妻）。ふわふわした心地よい感触。
この家のデータ＆使われている素材と設備
建物規模：地上14階建ての6階
素材
玄関
床：モルタル
壁：左官仕上げ
天井：塗装
LD、キッチン、寝室
床：オークフローリング
壁：左官仕上げ、一部セメント板、タイル
天井：躯体現し
洗面室
床：オークフローリング
壁：構造用合板、タイル
天井：躯体現し
トイレ
床：オークフローリング
壁、天井：塗装
設備
キッチン
サンワカンパニー
ガスコンロ：ノーリツ
レンジフード：アリアフィーナ
サニタリー
洗面水栓、ボウル：フォンテトレーディング
ユニットバス、トイレ：TOTO
設計：Yusuke Komata/new building office
