50代の自宅マンションリノベ：キッチンを使いやすく＆長いキャットウォークも
50代夫婦が、愛着を感じている築20年になる自宅マンションをリノベーションした事例を紹介します。きっかけは、狭くて使いづらかったLDKを変えたいということと、愛猫のための心地よい居場所づくり。4LDKだった間取りを、和室を撤去して3LDKに。広くなったLDと向き合うようキッチンを配置しました。キッチンに立つと見えるLDの間口いっぱいに巡らせた、キャットウォークの眺めは迫力いっぱい！
飽きのこないシンプルさと、ネコとの暮らしやすさを両立
Yさんの家 東京都
・家族構成：夫50代 妻50代 長男20代・築年数：：20年（2003年築）
・専有面積：87��
・設計・施工：古谷野工務店
駅から近く、日当たりのいいマンションに、愛猫まろんと暮らすYさん一家。ふと見上げると、キャットタワーを上り、キャットウォークへ移動中のまろんが！
「私の実家も大変なネコ好きで、ずっとネコと暮らしてきました。長男が9歳の頃、うちでも飼いたい！ とせがまれて…。私もそろそろ、と思っていたこともあり、迎えたのがわが家の最初のネコ。アメリカンショートヘアでした」（妻）
寂しくないようにさらにもう1匹、と迎えたのがまろん。ピンク色の肉球がチャームポイントの、ブリティッシュショートヘアです。昨年、残念ながら初代のネコは亡くなり、今はまろんだけに。
リノベーションのきっかけは、「愛着を感じているこの家に住み続けるにあたり、狭くて使いづらかったLDとキッチンを変えたかった、というのがいちばん。それと、やはりネコのための工夫も実現できたらいいなと思いました」と妻。
具体的な希望としては、キャットウォークの設置、食事場所やトイレを適切な場所に組み込むことなどがありました。
設計担当者は、和室の撤去でLDを広げ、LDと広く向き合うようキッチンを配置。キッチンに立ちながら、LDの間口いっぱいに巡らせたキャットウォークも眺められるように工夫しました。
リビングの壁に沿って設置したキャットウォークは無垢材でごくシンプルなつくり。壁にしっくりなじみ、いかにもネコのためにつくりました、という感じがしない。「キッチンで作業していると、まろんが通る姿が見えて、楽しいです」（妻）。
まろんは6歳のブリティッシュショートヘア（メス）。性格は内弁慶。家族にだけ甘え、とくに長男にデレデレで、食事中は必ずひざの上に乗ってくるとか。
「まろん」という名前は、クリのような目の色と丸いフォルムが由来。
間取り（リノベーション前後）
リノベーション前
リノベーション後
リノベーションで和室を撤去してLDを拡大。キッチンの向きをLDに広く対面できるように変更しました。
トイレの脇にあった収納は、面積を広げてウォークインクローゼットにつくり替え、キャットウォークの出口としても活用。北側の個室3室は内装を一新し居心地を高めました。
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使いやすい�粁麈枌屬離�ッチン。床は妻のリクエストで大判の磁器質タイルで仕上げました。「タイルの質感が気に入り、ぜひと要望しました。掃除がしやすく、油はねなども気になりません」（妻）。
タイルの壁を立ち上げて冷蔵庫を収め、レンジなどの家電類も目立たない位置に収納しています。
南向きのLDには明るい日差しが、たっぷり降り注ぎます。
カウンターにちょこんと並べてあるのは、おしゃれなネコアイテムを取り扱う「オルネコ」で見つけたネコのマトリョーシカ。
ボーダータイルで仕上げた壁の右端に、お気に入りの雑貨を飾れるニッチを設け、間接照明を仕込みました。
キッチンはオーダーメイドで、通路側、LD側ともに豊富な収納スペースを用意。「以前よりもかなり収納量が増えて、心の余裕につながっています」（妻）。
キッチンでしっかり収納を確保できたので、廊下にある既存の収納を、まるごとまろん用に充てることができました。
北側にある3つの個室は、床を肌触りのいい杉無垢材で仕上げるなど、内装をリフレッシュ。
廊下のつき当たりの壁には、「マコレ」の板目を使った表情豊かな突き板を採用してアクセントに。ダークな色味と豊かな質感が、白を中心とした空間を引き締めています。
玄関の位置や広さは既存のまま、収納をつくり替え、土間をキッチンと同じ磁器質の大判タイルに変更しました。
玄関側からリビング方向。バルコニーからの光がまっすぐ届き、開放感があります。
洗面室は、空間はそのまま、洗面台をオーダーで製作。広々とした人造大理石のカウンターは清潔感いっぱい。カウンター下には、引き出し式の大容量収納を設けました。
トイレは取り換えて間もなかったので再利用することに。壁面の間接照明や壁にあしらったタイル、真ちゅうの小物類などで空間をブラッシュアップしました。
ネコのための工夫＆居場所
ネコたちが快適に過ごす居場所やリノベーションで実現した工夫を紹介しましょう。
キャットウォークは無垢材を使ったごくシンプルなもの。「空間にさりげなくなじんでとても気に入っています。まろんが喜んで歩いてくれるのもうれしい」と夫妻。
ネコの食事コーナーは、キッチンのバックカウンターにイン。「キャットフードもすぐ上の引き出しに入っているので便利ですし、全体的にスッキリ」（妻）。トイレの場所は、既存の収納を巧みに活用。まろんが入りやすく、目立たず、掃除もしやすい、と夫妻にかなり好評です。
●空間になじむ無垢材のキャットウォーク
キャットウォークをほふく前進（？）しつつ、「なにか用？」と振り返るまろん。
キャットウォークの出口のあるウォークインクローゼットには、収納の棚板を使って下りられる。ウォークインクローゼットは、恥ずかしがり屋なまろんの隠れ場所でもあるんです。
柱型をうまく生かして、リビングにコンパクトな棚を設けました。新設した壁の厚みに合わせて爪とぎ用の板も設置。
●キッチン収納に食事スペースを組み込んで
キッチンの収納に組み込んだ、まろんの食事スペース。「家事をしながら、サッとご飯をあげられます」（妻）。
まろんは食事スペースの周囲で昼寝をしたり、給餌器の前で待機することも。
●廊下の収納をまるごとネコ専用のスペースに
ウォークインクローゼットの扉は下部がオープンで、ネコが通りやすい。
廊下にある既存の収納は扉を新しくつくり、まろん専用に。最下段をトイレスペースとして活用。「底板が床から上がっているので掃き掃除がラクです」（妻）。
ネコのお気に入りアイテム
段ボール素材の爪とぎ兼穴あき枕。ちょうどネコが入れる穴がポイントで、まろんが入ってかくれんぼしたり、お昼寝したり。しっかりとしたつくりで、上に乗ってくつろぐこともできます。
ネコ専門誌に付録としてついていたキャットテント。「この中にいるのが大好きで、もはや自分の家だと思っているみたい」（妻）。ふわふわボールもネコじゃらしもお気に入りのアイテム。
食事コーナーで使用している食器やマットは、ネコ好きが集まってつくったブランド「オルネコ」で購入。茶色のフードボウルは美濃焼製。「食べこぼしにくい形で、最後まで残さず食べてくれます」。
ブーツ型の小さなキエリ舎の花瓶。以前はアイビーが生けてあったが、今はまろん用の水入れにしています。
「高さがちょうどよく、すごくお気に入りなんです」（妻）。ときには、蛇口から直接水を飲むこともあるとか。
この家のデータ＆使われている素材と設備
建物規模：地上13階建て
素材
玄関、廊下
床：タイル
壁：クロス、天然木化粧合板
天井：クロス
LD
床：オーク挽き板フローリング
壁、天井：クロス
キッチン
床：タイル
壁：クロス、タイル
天井：クロス
個室、WIC
床：杉無垢フローリング
壁、天井：クロス
洗面室
床：長尺シート
壁、天井：クロス
トイレ
床：塩ビタイル
壁：クロス、一部タイル
天井：クロス
設備
キッチン
オリジナル（田中工藝）
ガスコンロ：リンナイ
レンジフード：アリアフィーナ
食洗機：BOSCH
水栓：三菱クリンスイ
サニタリー
ユニットバス：TOTO
洗面化粧台：オリジナル（田中工藝）
トイレ：既存
設計・施工：古谷野工務店
