ハロウィーン当日に東京都渋谷区内の路上を警備する警察官(2022年10月31日、時事通信フォト)

写真拡大

 10月31日は「ハロウィーン」です。毎年、ハロウィーン当日や近辺の日は、仮装した人などが繁華街に殺到するため、自治体が対応に頭を悩ませています。そんな中、東京都渋谷区は、渋谷駅前に「渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません」と書いた看板を掲示するなど、対策に乗り出しています。

 ハロウィーンの当日に大声で騒いだり、路上で飲酒したりする人がいますが、この場合、どのような法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の弁護士・佐藤みのりさんに聞きました。

罰金や拘留の可能性

Q.そもそも、どのような行為が公共の場所での迷惑行為に該当するのでしょうか。

佐藤さん「公共の場所での迷惑行為は、軽犯罪法や各自治体の迷惑防止条例などで規制されています。

例えば、軽犯罪法では、公共の会堂で入場者に対して、また、公共の乗り物の中で乗客に対して、それぞれ著しく粗野または乱暴な言動で他人に迷惑をかける行為を禁じています(同法1条5号)。同様に、公共の場所において、多数の人に対して著しく粗野もしくは乱暴な言動で迷惑をかけることも禁止されています(同法1条13号)。

軽犯罪法に違反すると、1日以上30日未満の間、刑事施設に拘置する刑である『拘留』または1000円以上1万円未満の金額を払わせる刑である『科料』に処される可能性があります。

迷惑防止条例は、自治体ごとに内容が異なりますが、例えば、公共の場所や公共の乗り物において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、または人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をする行為のほか、公共の場所や公共の乗り物において、たむろしたり、言いがかりをつけたりする行為などが禁じられていることが多いでしょう(参考:東京都迷惑防止条例)。

東京都の迷惑防止条例では、『娯楽的催し物に際し、多数の人が集まっている公共の場所において、ゆえなく、人を押しのけ、物を投げ、物を破裂させるなどにより、その場所における混乱を誘発し、または助長するような行為』も禁じています(条例5条3項)。これに違反した場合、50万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処される可能性があります(条例8条4項)」

Q.10月31日に大声で騒いだり、路上で飲酒したりするなどした場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。

佐藤さん「場所や時間によっては、法的責任を問われる可能性があります。渋谷区では、2019年6月20日施行の『渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例』により、渋谷駅周辺地域のうち渋谷区の規則で定める区域内の公共の場所で、ハロウィーンの期間(2023年は10月27日から11月1日までの間で決められた時間)、公共の場における飲酒が禁じられます。

違反した場合の罰則規定は置かれていないものの、区長は、違反者に対して、飲酒を中止するよう指導することができます。

また、同条例はハロウィーン期間に限らず、渋谷駅周辺地域の公共の場所において、正当な理由なく、音響機器などにより音を異常に大きく出す行為も禁止しています。罰則はないものの、街の安全や安心のため、守ることが大切です。

その他、先述の軽犯罪法では、公務員の制止を聞かずに、声などの音を異常に大きく出して静穏を害し、近隣に迷惑をかけることを禁じており、違反すれば、拘留または科料に処される可能性があります(同法1条14号)」

Q.ハロウィーン当日に問題となった迷惑行為の事例について、教えてください。

佐藤さん「ハロウィーン当日ではありませんが、2018年のハロウィーン直前の週末、仮装した人たちが多く集まった渋谷で、軽トラックが横転させられる事件がありました。人混みで進めなくなった軽トラックの荷台に複数人が乗って踊ったり、ドアを壊したり、車を持ち上げて横転させたりしたもので、暴力行為法違反(集団的器物損壊)の疑いで逮捕者が出ています。

また、ハロウィーンで人が集まると、暴行や痴漢、盗撮などの容疑で逮捕されるケースが数多く発生します。一人一人がマナーを守ることが、非常に大切です」