車酔いといえば、揺れによりなるというケースが多いように思われますが、実は車内のニオイも気分が悪くなることに大きく影響しています。

ニオイが原因で車酔いをした人はかなり多い?

 乗りもの酔いは、移動中の激しい加速や揺れなどで、体の内耳にある三半規管が刺激されることで起こる現象だとされています。しかし、クルマでは揺れ以外の要素も原因となることがあります。それが、車内のニオイです。


クルマ酔いのイメージ(画像:写真AC)。

 日本トレンドリサーチが2022年5月に公開したデータによると、「車の中のニオイが原因で車酔いをしたことはありますか?」という質問に、実に62.3%の人が「ある」と答えたそうです。どんなニオイで酔ってしまうかには、「エアコンから出てくる変なニオイ」「ガソリンとたばこのにおいの混じった嫌なニオイ」「車内でサービスエリアで購入した食べ物を食べ終わった後、色々なニオイ」などがありました。

 ニオイでのクルマ酔いは五感による刺激によって引き起こされるようです。その中でも特に嗅覚は、自律神経への影響が大きいと考えられています。

 特に子どもはこのニオイに関して敏感で、2015年に「ファブリーズ」を製造販売するP&Gジャパンが約300人の親子を対象に行ったアンケートでは、子どもの91%が、クルマに“乗った途端に”気分が悪くなる経験があると回答したそうです。

 この「途端酔い」は、揺れによって生じる本来の意味での車酔いではないものの、「車に乗って酔った。ニオイが苦手だった」という記憶が、クルマに乗った瞬間に思い出され、「途端に気分が悪くなってしまう」と、専門家の見解をP&Gジャパンは紹介しています。つまり、揺れとは違いメンタルの問題も大きく関係したクルマ酔いということです。

 では、クルマのニオイとはどのようなものがあるのでしょうか。タバコのニオイに関しては喫煙者の減少や公共交通が禁煙になっている関係で少なくなっていますが、カビなどのニオイが酔いの原因となるケースもあります。

 また三菱ケミカルによると、車内のニオイは、「ウレタン材料、ゴム材料、接着剤、塗料、樹脂材料等様々な部材から発生する化学物質により構成されている」とのことで、部品単体や複数の部品から発せられているものもあるとのことです。

 ニオイによるクルマ酔いを防ぐには、原因となるニオイを消すのが一番いい方法ですが、車内で使う消臭剤や芳香剤そのもののニオイが苦手という人が多いので、同乗者のことも配慮する必要性があります。あとは、シートやマットの汚れを除菌・消臭のできるスプレーや、ウェットシートを使って拭き取ったり、エアコンの掃除をするのもいいそうです。