クルマが車道からハミ出て、崖に落下したり、壁に衝突したりするのを防止するガードレールの端は丸まっています。この部分、実は正式名称があるんです。

袖の部分にある「梁」という意味

 クルマが車道からハミ出て、崖に落下したり、壁に衝突したりするのを防止するガードレールですが、先端が内側にくるりと曲がっている姿をイメージする人が多いかと思います。あの端はどのような役割を持っているのでしょうか。


ガードレール端のイメージ(画像:写真AC)。

 ガードレールの端にある丸くなった部分は、「袖ビーム」というという名称になっています。「ビーム(beam)」は光線の類ではなく、建築や土木の分野では、建築物や構造物を支える梁(はり)や桁(けた)を「ビーム」と呼ぶケースがあります。道路沿いにあるガードレールも、支柱に支えられる横長の板の部分が「ビーム」と呼ばれており、その端にある丸まりということで「袖ビーム」という名称になっています。

「袖ビーム」が設けられている理由、それは金属板の鋭利な端が袖ビームで処理されていないと、衝突したクルマがガードレールに突き刺さってしまう可能性があるからです。

 また、多くのガードレールが白色でビームの形状が波打っているのは、視認誘導性の観点から。この目立つ形状のお陰で、見通しの悪い場所、霧の発生しやすい区間でも運転手の目印となり、事故防止に貢献しています。

 なお、国道交通省は2004年3月に「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン」を策定し、防護柵(ガードレール)の色として、ダークグレー、ダークブラウン、グレーベージュ3色規定。2017年10月にはオフグレー追加し4色としました。そのため、海や山を背景としたような景観のよい道路の場合、目立つ白色のガードレールは使われなくなってきているようです。