スマートフォンが普及するにつれて、ドライブの道案内をスマホのナビアプリに任せる人が増えています。混雑状況がリアルタイムに反映される点や、新しい道路や施設もすぐに確認できる点など、手軽に最新情報を活用できる点にメリットを感じるユーザーが多いようです。

一方で、車載型のカーナビに比べると、自車位置の測位や細かなルート設定などの面で機能が簡略化されている面も。実際のところ、スマホナビをメインに使っている人たちは、どのような点に不満を抱いているのでしょうか。

今回はドライバーの方々に、「スマホナビで困った経験」についてのエピソードを聞きました。

「地元民だけの道」が混雑するように?

スマホのナビアプリのなかでも、利用者の多いサービスとしてGoogleマップが挙げられます。手軽に渋滞を考慮したルートを調べられる一方で、提案される経路について「狭い道を案内しがち」といった不満の声も聞かれます。

「混雑回避のためなのか、やたら迂回させてくることがありますよね。たとえば、大通りまで直進して右折すれば簡単なのに、手前でやたら細い道を右折させて、結局同じ大通りに出させたり。その交差点に信号がなかったりすると、なかなか出られず『かえって時間かかってるんじゃ?』と思ってしまいますね。

あとは、昔から使っている地元の細い抜け道に、レンタカーなどの運転に慣れていない車が入ってくるケースが増えたように思います。以前は近隣住民以外は入ってこなかったような道なのに、最近はそれ以外の車がすれ違いに手間取っている場面を頻繁に目にするようになりました。

自分も使っているので文句は言えないですけど、Googleマップは車幅感覚にある程度自信がないと怖い場面もあると思いますね」(40代女性)

Googleマップは到着までの時間を短縮するうえで有効なルートを提案してくれる一方、道路の走りやすさなどはあまり考慮してくれない傾向にあるようです。土地勘のない場所に行く際などはとくに、Googleマップの特性を念頭に置き、「狭い道に入られると困る」という場合には別のアプリを検討するなど対策を考えておくとよいのかもしれません。

「積んだ」旅行先でまさかの通信障害…

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即座に最新情報にアクセスできる点は、スマホナビの大きなアドバンテージ。一方で、通信障害などのイレギュラーな事態においては大半の機能が使えなくなってしまい、予定が大幅に狂ってしまったという人も。

「彼女との旅行中に大規模な通信障害が起きて、悲惨な目に遭いました。ナビアプリが使えないだけならまだマシなんですが、行く予定だった施設の名前もうろ覚え状態だったので、ネット検索もできず、そもそもどこに向かえばいいのかわからなくなってしまって……。

車載のカーナビのテレビでようやく通信障害が起きていることを知り、とにかく大通りに出てWi-Fiのつながりそうな飲食店を探し、そこでどうにか情報を整理して。普段どれだけスマホに依存しているのかを思い知らされました」(30代男性)

大規模な通信障害はそうそう起きるものではありませんが、遠出の際などはとくに、ルートをダウンロードしてオフラインで確認できるようにしておくなど、万が一に備えた対策をとっておくとよいでしょう。

GPSが入らない!トンネルやビル街にご用心

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スマホナビは通信機能が使える状況であっても、GPSを測位しない場所においては自車位置を見失ってしまうことがあります。単純なルートであれば、自車位置が不正確でもなんとかリカバリーできる場面もありますが、複雑なルートでは正しい進路を選べないこともあるでしょう。

「はじめて首都高を走ったときに、道を間違えてものすごい時間をロスしてしまったことがあります。中央環状線の地下トンネルでGPSが入らなくなって、分岐のポイントを間違えてしまったんです。

幸い、同乗者は高校からの友達だったので、間違いに気づいたときも『これもまぁ思い出だよね』みたいに笑って済ませてくれました。ただ、迂回して同じジャンクションに戻ってきたときに、危うくまた違う方向に進みそうになり、結構キツめに『大丈夫かお前』と突っ込まれてしまいました」(20代男性)

車載型のカーナビであれば、GPS以外にもジャイロセンサーなどを用いた測位が可能であり、トンネル内やビルの密集した都心部などでも位置がズレにくい傾向にあります。一方、スマホナビを使いながらGPSの入りにくい場所を通る際には、あらかじめ曲がる交差点名やジャンクション名などを把握しておくとよいのでしょう。

スマホホルダーの設置場所に困りがち

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スマホをナビとして利用する際に、意外と困るのが「スマホをどこに固定するか」という問題です。多くのメーカーからさまざまな種類のホルダーが発売されていますが、「種類が多すぎてかえって選べない」という人も少なくないでしょう。

さらに、いざホルダーを購入しても、車やスマホにうまくフィットしないケースも考えられます。

「ナビの性能とはまったく関係ないのですが、スマホのホルダーをダッシュボードの真ん中らへんに設置していて、フィッティングがイマイチだったのか、数時間走行しているうちに突然落ちてしまったことがあります。

知らない道でルート案内を任せきりにしていたので、すぐに元に戻したかったのですが、スマホが微妙にシートの裏に入ってしまっていて……暗い田舎道でなかなか信号もなく、後続車もいて止まれるポイントが見当たらず、音声もオフにしていたので、そのまましばらく走り続けるしかありませんでした。

ようやく左に寄れるポイントがあったので拾うと、曲がるポイントを過ぎてしまっていたようで、到着時間がかなり遅くなっていました。結局その場で転回しましたが、街灯もなくどこかにぶつけないか気が気じゃなかったですね」(30代女性)

ドライブの強い味方になってくれるスマホナビですが、車載型のカーナビに比べ、細かい部分の使い勝手に不満を抱く人もいるようです。スマホナビをメインに用いる際には、あらかじめイレギュラーな事態を想定しておくことが望ましいでしょう。スマホナビと車載ナビ、双方の特性を理解しながら、用途に応じて選択したいところですね。