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ソフトウェア中心の自動車 どこへ向かう?

自動車業界における最近の流行語の1つに「ソフトウェア定義自動車(software-defined car)」というものがある。この響きを嫌う人もいるかもしれないし、ソーシャルメディアはすでにバグだらけの自動車ソフトウェアに対する苦情であふれかえっている。

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しかし、自動車は1970年代後半から特殊なコンピューターに頼ってきた。一般的には「ECU」(電子制御ユニット)と呼ばれているが、実質的にはプログラムされたコードを実行するコンピューターの箱である。


運転支援・自動運転の強化は車載ソフトウェア・アップデートの1つの目標である

自動車でECUが最初に使われたのは、おそらくエンジンの制御向けだろう。エンジンの点火システムや燃料補給をすべてエンジン・マネージメント・システムの制御下に置くことができ、エンジンをより効率的に、よりパワフルにするなど大きな一歩となった。

やがてECUは、ABS、照明システム、車両安定制御システム、そしてトランスミッションなどを制御するようになり、その用途を拡大していった。今日の自動車にはECUがあふれており、中には100個近いECUが搭載され、それぞれが特定の仕事をこなしている車種もある。

自動車が複雑化するにつれ、ECUをたくさん使うようになった利点の1つは、高価で重いワイヤーハーネスを減らせたことだ。

CAN(コントローラー・エリア・ネットワーク)の導入により、個々のECUが制御する電子機器群を数本の信号線で接続できるようになった。現在の課題は、自動車のさらなる複雑化に伴い、もっと高度なものが必要とされていること。

それこそがソフトウェア定義自動車である。例えばルノーは、スマートフォンと同じような(多少複雑ではあるが)方法で、集中型アーキテクチャーによってライフサイクルを通じて車両のアップデートを行うとしている。

これは、小さいが大きな変化だ。単に車載機能を操作するために電子部品を使用するのではことから、所有中に機能を進化させるために使用することへと移行するのだ。ルノーの場合、消耗の予測による予防メンテナンス、室内機能のパーソナライズ、バッテリー充電管理、インフォテインメントなどをカバーする。

物理的な変化はかなりのものになるだろう。ルノーによると、現在の60〜80個のECUに代わって、初期段階に必要とされる以上のパワーと柔軟性を備えた中央コンピューターが導入され、将来のアップグレードのために膨大なデータ量に対応する能力が与えられる。

ルノーはこの点でクアルコムと協力し、「CAR OS」なるものを開発するためにグーグルとも手を組んでいる。

これは一例に過ぎないが、他の業界大手も同様の道を歩んでいる。大手サプライヤーであるZFフリードリヒスハーフェンは、ブレーキからステアバイワイヤー、サスペンションシステムまで、自動車のすべてのシャシー・アクチュエーターを直接調整・制御する制御ソフトウェア「Cubix」を開発した。

では、この道はどこにつながっているのだろうか? 究極のソフトウェア定義自動車は、未来の自動運転車になるだろう。