阪神・岡田彰布監督【写真:荒川祐史】

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同点の8回に代打・糸原の遊ゴロ野選が決勝点、3連敗を阻止

■阪神 2ー1 ヤクルト(11日・甲子園)

 阪神は11日に行われた本拠地でのヤクルト戦に2-1で勝利し、連敗を2で止めた。同点の8回、代打・糸原の遊ゴロ野選が決勝点となった。12球団で唯一3連敗がないチームを、昨季限りで現役を引退した野球解説者の坂口智隆氏は「1イニングで代走を3人起用した岡田監督の勝負勘。試合巧者ぶりを見せつけている」と絶賛した。

 同点で迎えた8回、岡田監督が動いた。先頭・ミエセスの左前打を足がかりに、木浪の三塁強襲二塁打で1死二、三塁の好機を作る。ここで代打・糸原が放った遊ゴロの間に三走・小幡がスタート。ギリギリのタイミングで生還し決勝点を奪った。

 この回にはミエセスに島田、バントミスで一塁に残った坂本に小幡、さらに2死一、二塁となってからも二走の糸原に植田と、1イニングに代走を3人起用するという岡田采配を見せた。

 延長も視野に入る8回に、切り札を惜しみなく使う姿に坂口氏は「全てではないが、結果的に代走で勝負が決まった。迷うことなくスパっと選手起用する岡田監督の勝負勘。代打の糸原に関しても、足の速い小幡が三塁にいるので『転がしたら何とかなる』という安心感もあり、打球を上げる感じがなかった」と、決勝点の裏側を読む。

岡田采配のウラ「あれもこれもケアすることがないので選手は集中できる」

 坂口氏は、オリックス時代の2010年から2012年途中まで岡田監督の元でプレーした経験を持つ。采配の特徴として「選手に中途半端なことをさせない監督。役割を明確にしてくれるので、選手の立場からすると迷うことがない」と指摘する。当時、主に1番打者だった坂口氏に対しては「バントと盗塁は(サインを)出さない。走者がいても引っ張ってくれればいい。アウトになったらベンチの責任」と指示を受けていたという。

「あれもこれもケアすることがないので選手は集中できる。今年の阪神を見ても近本、中野、大山、佐藤輝を軸として、開幕から中心はどしっとしている。変わっても『6番・右翼』ぐらいです。組織的に試合を動かすことが、チームにも浸透しているのではないでしょうか」

 チーム打率.239はリーグ5位だが、この日先発した伊藤将ら強力な投手陣でチーム防御率は12球団トップの2.58。12球団で唯一3連敗がなく「大崩れする要素は見当たらない。ここぞの場面で点を取る、試合巧者ぶりを発揮している」と坂口氏。

 坂口氏は開幕前の順位予想ではヤクルト、阪神、DeNAをAクラスに並べていた。現在、阪神は首位・DeNAを2ゲーム差で追う展開になっているが「試合を重ねるごとにチーム力は増していくと思います。まだ、突き抜けたチームがない分、面白いペナントになるのではないでしょうか」と、今後のセ・リーグを予想している。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)