2023年2月27日、スマートフォン向け写真共有アプリの「Snapchat」に、OpenAIの大規模言語モデルであるGPT-3シリーズ関連の技術を用いたチャットボット「My AI」が導入されました。初めは有料会員向け、次に無料会員向けに展開されましたが、この機能に触れるユーザーの数が増えるにつれ、否定的なレビューが急増していることが分かりました。

Snapchat sees spike in 1-star reviews as users pan the ‘My AI’ feature, calling for its removal | TechCrunch

https://techcrunch.com/2023/04/24/snapchat-sees-spike-in-1-star-reviews-as-users-pan-the-my-ai-feature-calling-for-its-removal/

Snapchatとは、ユーザー同士が写真や動画、テキストを送り合うことができるSNSです。Snapchatに導入されたMy AIはユーザーと対話することでアイデアや小話を出力する機能を持つ、Snapchat版ChatGPTともいえる存在。しかし、My AIはChatGPTとは違い、「偏った情報、不正確な情報、有害な情報、または誤解を招く情報」を避けるように設計されているそうです。

アプリ情報会社Sensor Towerのデータによると、My AIが無料会員向けに展開されて1週間が経過した時点でのApp StoreでのSnapchatの平均レビューは星1.67で、75%のレビューが1つ星だったとのこと。一方、導入前の平均レビューは星3.05で、1つ星のレビューは35%に過ぎませんでした。また、1日に投稿されるレビューの数は、導入後1週間で5倍に増えたとSensor Towerは指摘しています。



別のアプリ情報会社であるApptopiaも、同様の傾向を報告しています。同社の分析によると、過去7日間のSnapchatのApp Storeレビューでは「AI」がトップキーワードとなり、2973回言及されたとのこと。また、My AIが無料会員向けに公開された翌日には、通常より約3倍多い1つ星評価が投稿されたとApptopiaは述べています。一方で最高評価の5つ星レビューも増えていたようですが、5つ星レビューの中にもAIを非難する意見が多数見られるそうです。



テック系メディアのTechCrunchの指摘によると、My AIはアプリ内のチャットフィードの一番上に固定され、他の会話のように固定を解除したり、ブロックしたり、削除したりすることができない点がユーザーに不評だったと考えられるとのこと。このフィードはSnapchatユーザーが友人と定期的にやり取りをする場所であり、実験的な機能に空間を占領されたユーザーが不満を抱いた可能性があります。

My AIをフィードから除外するには有料会員になる必要があることも、不満をあおる要因になっているとのこと。My AIを非難するユーザーは、AIボットを強制的に利用させるのではなく、オプトインのみ、あるいは削除する選択肢を与えるべきだとの意見を投稿しています。





こうした意見だけでなく、ユーザーがAIを「不気味だ」と考えているという点も指摘されています。例えば、My AIがユーザーの位置情報を利用して返答したり、誕生日を元に返答したりしたことが、ユーザーに悪い印象を与えているとのこと。また、違法薬物の匂いを隠す方法や、初めて性行為をするときのムードの作り方について教えてくるなど、不適切な返答が行われたことも伝えられています。





Snapchatはこの状況について具体的なコメントを控え、「ユーザーがAI機能を気に入らなければ、使う必要はありません」とだけ述べました。