男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:女性からのボディタッチの意味は?手もつないだのに、四度目のデートで急に女が冷たくなった理由




私なりに、精いっぱい頑張った。

28歳でジムを経営していて、スタイルも顔も最高レベルな俊。そんな彼と出会い、私は久しぶりに本気になった。

だからみんなで遊ぶように仕向けたし、2回ほど二人きりでデートもした。

でも二度目のデートの別れ際。部屋へ誘おうと思い、俊の腕をぎゅっと掴んで上目遣いで訴えてみる。

すると、まさかの断られてしまった。

「ごめん、紗里ちゃんのことそういう感じでは見れなくて…」

今まで男性にここまでハッキリと言われたことはない。

だから理由がわからず、私は恵比寿の交差点で呆然と立ち尽くしてしまった。

「なんで…?」
「ごめん。紗里ちゃんには僕よりいい人が絶対いるから。これからも友達でいよう」

友達なんか、求めていない。悔しくて悲しくて…プラス恥ずかしくて、私は通りかかったタクシーに乗り込み、慌ててその場を去った。


Q1:男が初対面から思っていたことは?


俊と出会ったのは、知り合いの結婚祝いのパーティーだ。

私は新婦側と友達で、俊は新郎側の友人だった。

その日は中目黒にある新郎新婦の家でホムパのような形でお祝いをしたのだけれど、ドアを開けた瞬間に驚いた。

来ていた男性陣のレベルがとても高かったから。

「ちょっと真歩。みんなカッコ良くない?」

新婦の腕を慌てて掴み、私はコソコソと耳打ちをする。すると新婦の真歩はニヤっと笑った。

「でしょ?しかも独身の人も多いから、紗里頑張って」

彼らの話を聞いていると、同じジムに通っていたり、その友人を介して知り合ったり、ひと言で言えば“鍛えている仲間”らしい。

「どうりで皆さん、カッコイイんですね…」

最近、顔もカッコ良くて稼いでいる人ほど筋トレをしている気がする。参加している人たちは経営者や俳優の卵などがいたけれど、なかでも俊は私の超がつくほどタイプの顔だった。

「俊さんも鍛えていらっしゃるんですか?」
「一応、ジムを経営していて。他にもいろいろとやっているんだけど」

心の中で“ビンゴ”と叫んだ。




「こんなカッコいいうえに、ご自身で経営されているなんてすごいですね」
「全然すごくないよ〜。こんなのいっぱいいるでしょ」

しかも謙虚とキタ。

悪いところがまったく見当たらず、私はとにかく俊とどうにかして仲良くなりたいと思った。

しかも俊はTシャツの上からでもわかるほど良い体をしている。ここまで鍛えている人に言うべき言葉は、わかっているつもりだ。

「俊さん、すごい鍛えていらっしゃいますよね…?」
「一応ね。わかる?」
「はい!筋肉すごいですね…触ってもいいですか?」
「え?いいけど」

鍛えている男性には、筋肉を褒めるに限る。

そしてさりげなく触ってあげることも大事だ。男性のプライドをくすぐりながらのボディタッチは、鉄板のモテ技だ。

「え〜すごい!!!」

二の腕を触りながら褒めると、俊もまんざらでもなさそうな顔をしている。この時点で、俊が多少なりとも私を憎からず思っているだろうということがわかった。




「ちなみに俊さんは、普段はどの辺りで飲まれていることが多いんですか?」
「僕は恵比寿とか中目黒が多いかな。紗里ちゃんは?」
「私もです!良ければ今度飲みませんか?」
「うん、ぜひぜひ。そういえば、来週このメンバーで花見兼ねて中目黒で飲むけど、紗里ちゃんも来る?」
「いいんですか?嬉しい♡」

こうして連絡先を交換し、同じようなグループでもう一度遊ぶことになった。

しかもかなり盛り上がり、俊も相当楽しんでいるように見えた。そしてその翌日。俊からデートに誘ってきた。

「今度は、二人でご飯でも行かない?」


Q2:マッチョ男が急に引いた理由は?


こうして迎えた初デート。私は言うまでもなく、相当気合を入れて行った。

決してケバくなり過ぎないように、香水はせずにボディクリームを少し塗る。ボディラインも強調し過ぎないけれど二の腕が見え隠れするフワッとしたトップス…と、すべて計算尽くしだった。

「俊くん、お待たせ」

その甲斐あってか、お店に着いた私を見て俊はかなりときめいたようだ。

「おぉ…紗里ちゃんって、本当綺麗だね」

その表情を見て、私は確信した。俊が私に対して好意を抱いていることを。




「ここ、素敵なお店だね」
「でしょ?紗里ちゃん連れてきたいなと思って」

かなり私のことを気にかけていてくれるようだ。その気持ちが嬉しくて、私も少し俊のほうへと近づく。

「俊くんって、いつもこんな素敵なデートをしているの?」
「いつもじゃないよ!普段は雑多な店や汚いけど美味い焼肉屋とかも好きだし」
「そうなんだ…意外」
「紗里ちゃんはそういうお店、行かなさそうだよね」
「そうだね、あまり行かないかな」
「似合わないよね(笑)」

そんな会話をしながら、私たちはにこやかにお酒を酌み交わす。普段より美味しく感じるお酒が、ついつい進んでしまう。

気がつけばあっという間に時間が過ぎていて、二軒目へと移動することにした。

二軒目はカジュアルなバーだったけれど個室があり、私たちは個室のソファ席に隣り合って座る。




必然的に距離は近くなり、私と俊はかなり密接した状態になった。顔も近いし、思わず胸が高鳴る。

― このままキスしそうな勢いじゃない?

お酒も入っていたし、しかも今は個室。でもさすがに初デートでは早すぎる気もする。だから私は慌てて話を逸らした。

「俊くんって、肌綺麗だよね」
「そう?」

思わず、俊の顔を触る。でも恥ずかしくて、ペチペチと俊の頬を叩いてみる。

「ちょっと紗里ちゃん、何やってるの(笑)」
「なんとなく(笑)」

そしてやっぱり今日も彼はスタイルがわかりやすいTシャツを着ていて、思わずその胸筋に触れたくなる。

「本当に俊くんってカッコいいよね。どうやったらその筋肉になるの?」
「地味にトレーニングかな」
「触ってもいい?」
「ちょっと待って、力入れるから(笑)」

トレーニングしている人あるあるで、女性に触られる時は一応準備があるらしい。俊の鍛え上げられた筋肉は、ただただ美しかった。

しかしここで、私はひとつ失敗を犯してしまった。

「紗里ちゃん運動は?」
「私は全然してなくて…」

運動が大の苦手で、ジムなんてもってのほか。太っているわけではないけれど、今流行りのトレーニング女子とは真逆の体型だと思う。

しかもそのタイミングで俊の手が私の腰に当たり、ぷにっとした感触に一瞬俊は驚いたような顔をしてこちらを見た。

― 最悪…。鍛えておけば良かった。

そう思ったけれど、この場ではどうしようもない。咄嗟に体を離してみたけれど、俊は絶対に何か思ったはずだ。

でもこの後もう一度デートにも誘ってもらえたし、うまくいくと思っていた。

ただ結局、告白をしたら振られるというオチだ。

― やっぱりちょっとわがままボディなのがNGだった…?

少しだけぷにっとしたお腹を触りながら、私は悲しくなっていた。

▶前回:女性からのボディタッチの意味は?手もつないだのに、四度目のデートで急に女が冷たくなった理由

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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男が女と「付き合えない」と思った本当の理由は?