男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?

できなかった答えあわせを、今ここで。

今週のテーマは「男が二度のデートで連絡を取るのをやめた理由は?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:高級フレンチ店での女の“ある行為”でNGに…。「彼女がいたら2人で食事しないよ」と言っていたが…




「またこんな感じかぁ…」

玲奈を乗せたタクシーを見送りながら、僕は肩を落とした。先ほどデートをしていた玲奈とはマッチングアプリで出会い、今日が二度目のデートだった。

初回の時に一瞬「ん?」と思ったことはあったけれど、綺麗だったしいいかなと思ったので二度目のデートもした。

だが今日で、僕はすっかり冷めてしまった。

― 僕の理想が高すぎるのかな…。

そんなことを考えながら僕は六本木交差点を目指して歩き始めた。まだ飲み足りない気分だったので、ひとりで落ち着ける知人のバーを目指して…。


A1:細部をチェックされている視線が気になった。


玲奈と出会ったのは、マッチングアプリだった。イマドキの綺麗な顔立ちをしている女性で、何となく気になり、僕はいいねを押してメッセージも送ってみた。

すると相手からも返信が来たのでやり取りが始まったのだが、この会話の時点で気が合いそうだなと思っていた。

だから「実際に会おう」という話になった時。最初から、ゆっくり話せるディナーで良いかなと思ったのだ。

そして隠れ家的なモダン和食の『不風流』にやって来た玲奈を見て、僕は改めて綺麗だなと見惚れてしまった。




「玲奈さんですよね?初めまして、啓斗です」
「初めまして。今日は楽しみにしていました」

ただ、こう話している間にすごく気になることがあった。明らかに、玲奈が僕の腕元や靴をチェックしていたからだ。

それは完全に値踏みの視線だった。

とはいえ、気合を入れて良い時計をして来たのも事実。それが鎧となっている僕に、玲奈のこの視線をとやかく言う資格はないだろう。

「何飲みますか?まずはグラスでシャンパンとか?」
「いいですね。私シャンパン大好きなんです」
「本当?僕も好きで」

好きな物が似ているのは嬉しいポイントだった。「サーロインのすき焼き トリュフがけ」など美味しく食事が進んで、玲奈とは妙に気が合った。




「あ〜美味しい」
「玲奈さん、結構飲まれるんですか?」
「そうですね…。一人だと飲まないですけど、こういうお店だと美味しくてつい飲んじゃいます」
「いいですね。僕、交際するならお酒が飲める子が良くて」
「わかります!そこの価値観が合うかどうかって大事ですよね」

一緒に飲めるかどうか、僕からするとかなり大事なことだった。僕自身飲むことが好きなので、同じ時間を共有できる人がいい。

こんなに綺麗だし、お酒も強そうな玲奈。

「玲奈さんこんな綺麗だし、アプリとか使わなくてもモテそうなのに…」
「出会いが全然ないんです。周りの女友達は結婚している子も多いですし。啓斗さんのほうこそすごくモテそうですが?」
「僕も一緒ですね。周りに奥さんや子どもができたりして」
「わかります〜…」

最近出会いがめっきり減った。それは玲奈も同じだったようで、話も合う。

「最近女友達と会っても、旦那さんの愚痴や子どもの話とかばかりで。全然ついていけないんです」
「わかる!」

楽しく時間が過ぎたので、僕はもう一度彼女をデートに誘うことにした。

「玲奈さん、来週末はお忙しいですか?また食事でもどうですか?」
「ぜひ♡ご一緒したいです」

けれども二度目のデートで、やっぱり違うかなと思った。


A2:一流店で恥ずかしい行為の数々だった。


初デートではいいと思っていた玲奈。けれども二度目のデートで、“お里が知れる”ような言動が目立った。

二度目のデートは西麻布にある有名高級フレンチにしたのだが、玲奈ももちろん喜んでくれていた。

「こんな素敵なお店来られて嬉しいです…♡」
「良かった。とりあえず乾杯しようか。今日もシャパンからで良いのかな?」
「はい♡」

こうして、シャンパンを頼んだ時のことだった。乾杯が終わった途端に、玲奈が急に店員さんを呼び出した。

「すみません、氷ください」




最初は、その意味がわからなかった。しかししばらくして店員さんが氷を持ってくると、玲奈は驚くべき行動に出た。

― え…?

玲奈は、まさかのその氷をシャンパングラスに入れたのだ。

ここは仮にも西麻布のクラシックなフレンチレストラン。一流のソムリエさんが厳選して、最適な状態でサーブしてくれたシャンパンだ。

それに平然と氷を入れた玲奈を見て「うわ…なんて品がないのだろう」と感じてしまった。

「啓斗さんは、どういう女性が好きなんですか?」
「僕は優しくて誠実な人かな。玲奈さんは?」
「誠実…。私も優しくて大人な人が好きです。守ってくれるというか、包み込んでくれるような」

そして話しているうちに、玲奈のシャンパングラスには口紅の跡がベッタリとついている。そこまでは仕方のないことかもしれないけれど、玲奈は話しながらそれを手でグイグイと拭っている。

グラスにつくような口紅は控えるか、ティッシュオフしておくのがマナーだろう。

「啓斗さん、本当に今誰もいないんですか?」
「いたらこうやって、女性と二人で食事に行かないよ」

そんな話をながら、一緒に食事をしている玲奈の言動が気になって仕方なかった。玲奈はマナーを知らないのだろうか。

そしてトドメは、僕がお手洗いに立った後のことだった。お手洗いから戻ると、玲奈はまさかの僕におしぼりを差し出してきた。

「はい。こちらおしぼりです」




― 嘘だと言ってくれ…。恥ずかしいから本当にやめて!

そう思ったけれど、もう遅い。

この一流店で、お手洗いから戻って来た僕に対しておしぼりを差し出してきた玲奈。夜のお店と勘違いしているのだろうか。

「おぉ、ありがとう。近くに良いバーがあるんだけど、そこでいいかな?」

とりあえず一緒に連れてきた人がこんな言動を取っているのが恥ずかしくて、早急に店を後にした。

二軒目まで行ったけれどこちらも早々に切り上げ、タクシーを手配して玲奈を乗せ、僕は歩き始めた。

― これまで、誰も玲奈に指摘してあげなかったのかな?

そんな余計なことを考えながら、僕はため息が出てきてしまった…。

▶【Q】はこちら:高級フレンチ店での女の“ある行為”でNGに…。「彼女がいたら2人で食事しないよ」と言っていたが…

▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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