独身を謳歌したい男が逃げたくなる、女の言動。癒やし系女子が“一発NG”を食らった理由とは…
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?
できなかった答えあわせを、今ここで。
今週のテーマは「復縁を望んだ女に対し、男が拒否した理由は…?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:彼の離婚を待ち続け、ようやく成立。正式交際を願う女に待ち受けていた、思わぬ“罠”とは…
「終わった…!!」
2年にも及んだ長い離婚調停が終わった時。僕は思わず、道の真ん中で空を見ながらそう叫んだ。
別居生活は2年以上になるし、元妻にはもう別のパートナーがいるという噂も聞く。それなのに、僕たちの離婚は揉めにもめて、まったく進まなかった。
だから正式に離婚できたという喜びはひとしおで、僕は自由を噛み締める。
「最高だ…。ようやく解放された…!!」
今宵は思いっきり飲んで、とにかく祝杯をあげたい。そう思っていると、最近頻繁に会っている澪から連絡が入っていた。
― Mio:大介、お疲れさま!明日なんだけど、何時から会える?私明日は仕事が18時に終わるから、終わり次第家に行ってもいい?ご飯の用意買っていくね。
一旦、僕は既読をつけずにそっとスマホをポケットにしまった。
A1:付き合っているという認識がなかった。
澪と出会ったのは、約1年前のこと。当時は離婚調停真っ只中で、精神的にもかなり参っていた。
そんな時に出会った澪は可愛くて優しくて、とにかく癒やし系だった。
前妻がかなりヒステリックな性格で、僕の財産を1円でも多くむしり取ろうとするような強欲な女性だったので、澪が天使に思えた。
そしてそのタイミングで出会い、僕に好意を寄せてくれていた澪と定期的に会うようになっていく。
お互い愛情もなく憎しみあう裁判中とはいえ、一応書類上はまだ既婚者の身。正式に交際しているわけではなかったし、会う時は澪の家になることが多かった。
「離婚って大変なんだね」
「そうだよ。結婚のほうが、ずっと簡単だよ」
そんな愚痴をこぼす僕に文句も言わず、澪はただただ献身的に尽くしてくれた。
しかし想像以上に離婚調停が長引き、僕も段々と疲れ果ててきた。それと共に、澪と定期的に会い始めて気がつけば半年が過ぎていた。
「澪、ごめんな。こんな中途半端な状況で」
「ううん、いいの。仕方のないことだから」
「もっと早く成立すると思っていたんだけど…」
「大変だね…」
そこに嘘はなかった。僕の意思とは裏腹に、調停がとにかく進まない。
そんな僕の状況もすべてわかった上で、澪は一緒にいてくれた。
正直、寂しさがあった。その寂しさも埋めてもらえるし、「女性って怖いな」と思っていたけれど、澪のような穏やかな子だったら心の平穏さが保たれる。
それに僕のために食事も作ってくれて、文句の一つも言わない。
「大介、今日のご飯はどうする?外で食べる?それともうちで食べる?」
「今日はちょっと疲れたから、澪の家でもいい?」
「わかった。大介の好きな物を作って待ってるね」
立場上オフィシャルに交際するわけにもいかないが、それすら理解してくれている。
― なんて物分かりの良い女性なんだろう…。
そう思っていた。しかし澪も何か感じることがあったのか、半年ほどすると澪から「別れたい」と言われてしまった。
でも僕はこの時、まったく違うことを考えていた。
― あれ?僕たち、付き合っていたっけ…?
何度も言うけれど、僕たちは正式に交際はしていない。頻繁に会っていたけれど、そんな話は一度もしていない。だから「別れたい」と言われても、どう反応して良いのかわからなかった。
「そっか、わかった」
そう言ったものの僕は追いかけることをしなかったので、自然と会わなくなった。
でも離婚が成立し、しばらくすると再び澪から連絡が来た。そしてまた会うようになっていった…。
A2:久しぶりに連絡が来て“ラッキー”くらいしか思わなかった。
そして再び会う約束をした日。待ち合わせの店にやってきた澪は、少し痩せたようにも見えた。
「…久しぶりだね」
「澪、久しぶり。なんか痩せた?」
「そう?少し痩せたかもだけど…。大介は何も変わっていないね」
「澪は何飲む?最初は、グラスのシャンパン?」
半年なんて、長いのか短いのかわからない。僕たちはすぐに以前のような雰囲気に戻った。そしてこの日の帰り際。澪が僕の袖をぎゅっと掴んだ。
「…大介。私やっぱり大介のことが好きだよ」
結果として、再び以前と同じような関係に僕たちはなった。でも今回、驚くことが多々あった。
正式に離婚が成立したので、彼女は僕の家に来るようになった。
僕が彼女を招いたのだが、初めて家に来た時にこんなことを言い始めた。
「キッチン広くていいね」
「でしょ?とは言っても僕は料理しないからあまり使っていないけど」
「今度ここで、ホムパしようよ!友達とか呼んでさ。私が料理作るから」
― …ん…?家主は僕なんだけどな。
急に図々しさが出てきた澪に、僕は少し驚いた。いつの間に一緒に暮らすコトになっているのだろう。それだけではない。
「ホムパかぁ。いいね」
「私の友達に大介のことを紹介したいし、何より私も、大介の友達に会ってご挨拶したいの。色々とお世話になるだろうし」
― なんの挨拶!?急に嫁気取り?
以前はあんなにもしおらしかった澪なのに、急に僕の友人に会いたがり、グイグイと存在感をアピールし始めた。
僕の友人に会って、何を言うのだろうか。
「いいよ、そんなことしなくて」
「こういうのは、最初が肝心だから。それに結婚して子どもが生まれたら、横のつながりも大事になってくるから」
― 重い…。重すぎる。
澪も結局、独占欲…いや、自己顕示欲が強い人だったらしい。離婚が成立した途端に、僕との関係をここぞとばかりに周囲を巻き込んでアピールしようとしているのが見え見えで、引いてしまう。
今は離婚したばかりで自由でいたい。
それなのに、急に僕の周囲を固めようとしてくる澪。
結婚したいのはわかるけれど、離婚直後の今の僕に結婚願望は皆無だ。
もう少し僕を自由に泳がせてくれたらいいのに、どうしてギチギチに固めようとするのだろうか…。
澪のことは嫌いではないけれど、やっぱり正式に付き合おうとは思えず、曖昧で便利な距離感を保っている。
▶【Q】はこちら:彼の離婚を待ち続け、ようやく成立。正式交際を願う女に待ち受けていた、思わぬ“罠”とは…
▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
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