「こんなときどんな服を着ればいいかわからない」のあるあるなお悩みに合わせたアイテムやコーディネートを、30〜40代の今を生きる3人の個性豊かな女性の日常とともに紹介していきます。第18回は「グレーのタートルリブニット」の着まわし。冬のオシャレに欠かせないフィットタイプのリブニットは、シンプルに1枚で着るのも良いけれど、レイヤードさせるともっとすてきです。

●寒い日だってシャツが楽しめる!インして使う

【2/3 金曜日 PM7:00 落ち込む親友とバーへ】

ミキ:マユミから「今からミキの家行ってもいい?」と突然の連絡。「ユウとケンカしちゃってひとりがキツくて…」。うちには義母がいて落ち着いて話せないからと、最寄駅前のバーで会うことにした。お笑い番組を見ながら晩酌をする夫に、食卓の片づけと子どもたちの世話を頼んだが、目も合わせず「うんわかった〜」と聞いてるのか聞いてないのかわからない返事。出がけに「何時に帰ってくる?」と聞かれたことに少しイラッとした。

家の中では1枚で着ていたタートルリブニットも上からシャツを着ればよそゆきなムード。何色のシャツを合わせてもうまくなじむグレーが便利で気に入っている。パンツもグレーにしてトーンを統一するとオシャレ度が増す気がする。シャツの袖はクシュっと折りあげ、ニットの袖を見せて“ちゃんと考えて着てますよ”感を出すのが大事。なにも飾りがないとメンズライクだから大ぶりのイヤリングと赤いバッグで盛り上げた。

もう恋なんて遠い昔の記憶でしかない私がアドバイスできる気はしないけれど、マユミも大人。きっと私に解決策を求めているわけじゃない。心細い時間に、誰かの気配を感じていたいだけなはず…とわかってはいるものの、今の私にはなにができるだろうかと気後れしてしまう。

マユミ:一緒にいたら楽しいし話も盛り上がる。でも連絡はいつも私からで、新しい話題を振るのも私で、聞かなければ自分の話をしてくれることはないし、なにがしたいとか一切言わなくて。なんでもニコニコ聞いてくれるところが好きだけど、なんの意志も感じられないユウに疲れて、責めちゃった。私だって甘えたり頼ったりしたかった…。

ミキ:マユミの「頼ったりしたかった」の過去形に、ユウくんとの時間の中で見えない努力をたくさんしてきたのだと悟った。友達同士ならよかったかもしれないね…と言いかけてやめた。友達同士だったらマユミはユウくんの近くにいることはなかった。恋だから巡り会って、恋だから悩んで、恋だからうまくいかなかった。存在しない“もしもこうだったら”の話なんて、ただつらくさせるだけ。現実はただひとつなのだから。

ほらやっぱり、私にできることなんてなにもない。でも、私は友達同士だから、友達が悩んでいるときに一緒にいてあげることはできる。「マユミ〜今からカラオケ行く!? ほらー大学生の頃なにかっていうと行ったじゃん。ね!」。夫から「もう22:00近いよ〜何時に帰るの〜?」とLINEがきていたけれど、未読無視。今夜の私は、マユミのためにあるって決めたのだから。

●スウェットトップスがワンランク上の普段着に!

【2/5 日曜日 PM8:30 ストレス発散におうちで爆食い】

ミキ:今度は私が夫とケンカした。気持ちのやり場に困り、昨日たまたまパート先から買って帰っていたケーキを3個一気喰いしてしまった。家で過ごす日、スウェットトップス1枚だけじゃシャンとしなくて、いつものタートルニットをインしてオシャレを楽しんだ。グレーのワントーンでまとめるのもすてきでうれしい。オレンジのソックスで気分を上げて。赤いマニキュアが合うだろうと、久々に爪を派手な赤にしてみたらこれもまた気分が変わっていいストレス発散に。いちごのショートケーキを食べるのに赤い爪ってかわいいな。

マユミと遊んで帰ってきた翌朝、夫の機嫌が明らかに悪かった。何時に帰るか返事をしなかったことへのいらだちなことは明白。自分は普段から何時に帰るか予告もせず、遅くまで飲んでるくせに? 私のことは時間管理をしたがるなんてどうにも解せず、夫の機嫌の変化に気づかないフリをしたけれど…夜になって「外出して連絡の未読無視はないんじゃないの」と始まった。確かに無視をした私にも非はあるけれど、ちょっと待ってよ、自分だって飲みに行ったら一切スマホを触らず帰りの電車でやっと返事してくるくせに…。

子どもたちがそれなりに手離れしはじめている今、なーんで私ばっかり家にしばられてなきゃならないの? という話し合いがこれまでなかったことに気づいて、これはいい機会だと、私ももう少し夜の時間を自由に使いたい旨を伝えた。でも、「パートの日以外昼は自由じゃん」の一言に、義母の食事の用意は私がしてお前のそのシワひとつないYシャツは私がアイロンかけてるんだが? と爆発してしまい、今のケーキ爆食いに至る。夫も義母も朝からゴルフ。子ども達はクラブ活動に出かけているひとりの日曜日。

考えてみれば夫とケンカをしたのなんていつぶりだろうか。そういえば最近ちゃんと2人の時間を取ることもしていなかった。なんとなく日々が過ぎているれど、言いたいことや日々思ったことを少しずつ伝えていかないと、いつか手遅れになってしまうかも、と少し反省。家庭の形はずっと同じでも、私も夫も、子どもたちも、義母も、日々変わっていく。マユミだってきっと、ユウくんと歩く速度が変わってしまった結果だった。変わっていくなにかは、変わりすぎる前に手をうたないといけない。夫が帰ってきたら、たまには2人で出かけようと提案してみよう。

●今回のキーアイテム:グレーのタートルリブニット

黒が多用されがちですがグレーのタイツがはき回しやすいのと同じで、ニットもグレーが着まわしやすい! シャツ、スウェットトップスの他、ゆるニットやカーディガンと合わせても。男性でもできるレイヤードテクニックなので、女性らしさを求める人はアクセサリーや小物で華やかさをプラスしてみて。

 

【今回の主人公は、ベーシックな服装が得意の“ミキ”】

40歳のミキは埼玉に暮らす専業主婦。夫、中1の息子、小4の娘、義母と同居中。近所のケーキ屋さんで週3パート勤務。158cm、標準体型。やさしげなオーラがありだれからも親しまれるがそれが裏目に出て舐められることも。どんな場にも対応できるベーシックな服装が得意な一方、地味になりがちなことが悩みです。