旅行ジャーナリスト小野アムスデン道子さんが、旅先で見つけたご当地の飛び切りグルメを旅情報と共にご紹介。今回は、縁結びの神様「大国主大神」を祀る出雲大社を訪れました。塩をたっぷり含むお参り支度の湯や、おみくじもついてくる出雲そばの名店をご紹介します。

出雲大社のお参り支度。清めの温泉に浸かり、出雲そばで縁結びのおみくじも

恋愛はもちろん、あらゆるよいご縁を願って多くの人が訪れる出雲大社。何度伺っても、「二礼四拍手一礼」でお参りすれば、運が向いて来るような気がします。

●日本海の島々を望みながらゆっくり浸かれる温泉

そんな出雲大社のお参り前に、心身を清めるような気持ちで温泉に浸かれるのが、出雲日御埼にできた星野リゾートの温泉旅館「界 出雲」。

石造の灯台では日本一の高さを誇る「日御埼灯台」や、出雲松島と呼ばれる日本海の島々を臨む温泉旅館です。

温泉は塩化物を多く含む強塩泉という珍しい泉質で、まるで海につかるように体がちょっと浮くような感じがするほど。塩化物が毛穴を覆って、入浴後はぽかぽかと温かく、肌がすべすべになったように感じました。

●ふわふわのベッドでくつろげる客室

藍染クッションやたたら製鉄のアートワークが飾る客室は、「ご当地部屋」と呼ばれており、最大6名まで泊まれる特別室も2室あります。

すべての部屋は、日本ベッドの「ふわくもスリープ」というマットレスで、温泉に入ったあとはふんわりと雲に包まれるような寝心地でくつろげます。

●伝統芸能や湯治体操、神饌(しんせん)朝食も

日本海の海の幸が並ぶ夕食のあとは、島根の伝統芸能「石見神楽」が披露されます。オオクニヌシが高天原のアマテラスに国を譲る代わりに得た出雲大社。そんな古事記の神話を題材にした神楽は、国を巡っての神様同士の勇壮な戦いの舞に目を奪われます。

翌朝は、ご当地広場のテラスで美しい朝焼けの中、海に泳ぎ出すような動作などを取り入れた現代湯治体操「稲佐の浜 神の渡り体操」を体験できます。

すっきりしたあとには、神様に献上するものと同じく少量ずつ山海の珍味が並ぶ「神饌(しんせん)朝食」が出ます。これに加えて、焼き魚やあらめの磯鍋など盛りだくさんな朝ごはんも。

●お参り後に食べたい名物の「出雲そば」

清々しい気分で出雲大社にお参りをしたあとに食べたいのが、名物の出雲そば。おすすめは、大社から歩いて5、6分のところにある「荒木屋」です。いつも外に列ができている人気のそば屋です。

名物割子そばは、のり、ネギ、もみじおろしなどの薬味をのせておだしをかけていただきます。ぴりりとしたもみじおろしとうま味のあるおだしで、おそばをつるつるっと何段でも食べられそう。

とてもお得なのが「縁結びセット」で、そば2段にぜんざい、それにおみくじがついて1020縁(円)、天ぷらつきは1630縁(円)。

旧暦10月の神在月に出雲に集まる八百万の神様にふるまわれいた神在餅(じんざいもち)がなまって“ぜんざい”になったと言われ、出雲はぜんざい発祥の地なのだとか。塩昆布も添えられたぜんざいは、とろりと甘くておいしいです。

そして、食事のあとにおみくじを開くのがお楽しみ。縁結びのための開運スポットやアドバイスも書かれています。今年は私は“大吉”。また1年たったら、おいしいそばを味わって、おみくじをお返しに立ち寄りたいなと思ってしまうお店です。