親の介護を終え、自分の老後を考える。本格的な「老後」に備えて、70代で思いきって高齢者住宅に住み変えたという真藤眞榮さん。新しい暮らしで手に入ったのは、どんな「いいこと」だったのでしょうか?

「浮世の義理」を手放して、ここからは「自分ファースト」で!

30代で離婚。女手一つでお嬢さんを育て上げ、働きながらローンを返し、老いた母親を介護して看取る。まさに奮闘の日々だった現役時代を乗り越え、70代で高齢者向けマンションに移った真藤さん。いろんなことを手放した末に、今は充実の「ご隠居見習いライフ」を満喫しています。

【写真】お風呂用マットで運動も

「50代でまずバレンタインを卒業。虚礼は廃止しましたよ。60歳で退職したので、そのタイミングで年賀状もほぼ廃止。少しずつ、身近な大切な人とのつながりだけになっていきましたね」

以前の住まいのころには、お盆の迎え火など季節の行事も欠かしませんでしたが、「ここじゃ焚火を焚くわけにもいかない。その代わり、マンションの入り口に七夕飾りやクリスマスツリーが出るから、寂しくはないのよ」とのこと。
その代わりに手に入ったのは?

「自分ファーストの暮らしと新しいお友達!」

何時に起きるのも自由。誰かの暮らしに合わせて生活する必要もありません。現役時代はあれほど憧れた「朝寝坊」ですが、いざ一人暮らしになってみると、早朝に目が覚めるようになってしまったのだとか。
「せっかく緑がいっぱいなんだもの。もったいないから『朝んぽ』を始めました」

朝んぽとは、朝のお散歩のこと。無理に二度寝しようとがんばらずに、ウォーキングを楽しむことに。気分転換と健康促進の一石二鳥というわけです。

●マンション内のサークルをいくつもかけもち!

マンション内にはさまざまなサークルもあります。学生時代に卓球をやっていた真藤さんは、迷わず卓球サークルに。

「後戻りできないように、新しいラケットとボールも買っちゃいました」

一時期ひざを痛めて思うように動けなかった時期には、少しでも体を動かすためにとヨガのサークルにも。

ヨガなら無理なく体を動かせるので、ひざが治った今も続けています。

「高価なヨガマットより、お風呂用マットのほうが分厚くて快適! 安いしね(笑)」

●友達も増え、充実の暮らし

サークルを通してお友達も増えました。
「大好きな落語家、立川志の輔師匠の落語会に一緒に出掛けたり、お互いの家でお食事したり。ちょくちょく部屋に人が来るようになったから、片づけもするようになってちょうどよかった(笑)」

以前からの習い事も続けています。

ヒビやカケなどで傷んだ器を補修する「金継ぎ」の教室は銀座。月に2回のお出かけはちょうどいい、生活のアクセントになっています。

上質なニットなどのファッションアイテムを大切に着続けるために始めたダーニング(ヨーロッパの伝統的な繕い方法)も続けています。

手を動かす。身体を動かす。人に会う。「隠居見習い」の日々はなかなかに忙しそうです。

「今一番お金がかかっているのは、食べることと医療費かもしれません。お友達や娘とランチに出かけたり、おいしいものを買って帰ってお裾分けしあったり。何をするにも体が資本だから、結局は食と健康が一番大事、ってことになるんですよね」

そんな真藤さんの暮らしぶりやお金のことが詳しく掲載されている『ゆとりある日々を過ごしている人の素敵なお金の使い方 2023年版』(扶桑社刊)は好評発売中です! ぜひチェックしてみてくださいね。