イギリス政府が導入した新法により、住宅開発業者に対し、イングランドで建設する新築住宅には高速な回線を引き込み、ギガビットの速度のインターネットを実現することが義務づけられるようになりました。

Millions of homeowners and tenants to get better access to faster broadband - GOV.UK

https://www.gov.uk/government/news/millions-of-homeowners-and-tenants-to-get-better-access-to-faster-broadband

Gigabit internet is now a legal requirement for new homes in England - The Verge

https://www.theverge.com/2023/1/9/23546401/gigabit-internet-broadband-england-new-homes-policy

イギリスのデジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)が2022年12月26日に建築規制法を改正し、住宅開発業者はイングランドにおける新築住宅の建設時に、次世代ギガビットブロードバンドに対応することを法的に義務づけられることになると発表しました。

開発事業者は1軒あたり2000ポンド(約32万円)を上限として接続費用を負担し、ネットワーク事業者と協力して物件をギガビットネットワークに接続することになります。コスト上限内でインターネット回線を設置できない場合、事業者は利用可能な最も高速な接続を導入しなければなりません。

これまで高速回線が普及しなかった理由として、ロンドン在住の人物は「ロンドンのケーブルはほとんど地中を通っているため、新しいケーブルを引き込むのにコストが掛かるからだと思います」とコメントしています。今回の法改正では、新築住宅の98%以上がこの上限額の範囲に収まると推定されるため、イングランド全土の大多数の人々に高速インターネットが提供されることが期待されています。

また、今回の法改正と同日に、イングランドとウェールズで新たに「電気通信インフラ(借地権)法(TILPA)」が施行されています。これは、賃貸物件の借主からより高速なインターネット接続を要求された場合、ブロードバンド事業者が建物に機器を設置するためのアクセス権を容易に得られるようにするという法律です。



これまでイギリスのアパートに住む人が建物にブロードバンド事業者を入れる場合、家主の許可を待たなければなりませんでした。しかし、調査において、ブロードバンド事業者が接続設備設置のためのアクセス権を要求しても約40%が何の回答も得られないことが分かっており、家主が沈黙しているために借主がサービスを受けられないという事態が多発していたとのこと。

今回TILPAが成立したことにより、ブロードバンド事業者が設備設置へのアクセスを要求し、家主がそれに応じない場合、ブロードバンド事業者が建物に立ち入る権利が裁判所から与えられるようになります。これにより設備のアップグレードが容易になり、年間約2100棟の住宅が高速なインターネットに接続できるようになると推定されています。

法律施行時点において、ギガビットブロードバンドはイギリスの72%以上の家庭で利用可能であり、DCMSは「2030年までにイギリス全土でギガビット対応ブロードバンドの完全普及を目標としている」と述べています。