Spotifyのポッドキャスト・ENCOREとの連動企画!2022年11月13日に開催された藍井エイルの横浜アリーナワンマン公演“Eir Aoi 10th Anniversary LIVE 2022 〜KALEIDOSCOPE〜 History of 2011-2022”を、藍井エイル本人とバンドマスターの重永亮介(key)が振り返るトークパートの番外編をお届け。2人がファンからの質問に答えつつ、横アリ公演の裏側からこぼれ話までを語り尽くす!

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INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)

横アリ公演と新作のキーワードは「不思議の国のアリス」



――ENCOREでは、横浜アリーナ公演“Eir Aoi 10th Anniversary LIVE 2022 〜KALEIDOSCOPE〜 History of 2011-2022”のセットリストの楽曲を聴きながらライブについて振り返っていましたが、ここではENCOREでは紹介しきれなかったファンからの質問にお答えいただければと思います。

藍井エイル・重永亮介 よろしくお願いします!

――まずはゴルダさん(@GUV39vou5oX5gze)からの質問です。「1曲目の「MEMORIA」が始まる瞬間どんな気持ちだったんでしょうか。また普段のライブが始まる瞬間と気持ちは違ったのでしょうか?」。

藍井 う〜ん……私は「行くぜっ!」っていう気持ちでした(笑)。

重永 (笑)。僕たちバンドメンバーは演出的に、黒マントを被って懐中電灯で照らしながら自分の持ち場まで行ったうえで、マントを脱いでセッティングしなくてはいけなかったので、何かを感じる余裕はあまりなかったかもしれない。

藍井 私は逆にマントを脱ぐだけでよかったし、(立ち位置がステージの)中央でわかりやすかったので、意外と余裕はあったかも。今回のライブは演出が普段とは違って、「不思議の国のアリス」の世界観を自分たちで作るステージだったので、いつもとは違う感覚もあって。

重永 確かに。今までのエイルはロック系のライブが多かったけど、今回はスペシャルライブという感じで、セットリストも演出もテーマに沿っていく流れだったよね。

藍井 そう。だから例えば、今までのライブがテーマパークにお客さんとして行くときに感じるワクワク感だとしたら、今回は自分もテーマパークのアクター側になって、「自分がみんなを楽しませるぞ!」という気持ちがありましたね。

――だからこそ、衣装のコンセプトも「黒アリス/白アリス」で、藍井さん自身がアリスとしてステージに立っていたわけですね。

藍井 そうなんです。そこで私が何か話してしまうと、「アリス」のような世界観が崩れてしまうので、あえてMCは基本なしという形にしました。

――とはいえ、本来は藍井さんがバンドメンバー紹介をするパートで、そのことを失念していて慌てる場面もありましたが(笑)。

重永 そこは隠せない一面(笑)。あれはあれでエイルらしくて良かったと思うけど。

藍井 あのときは「これ、絶対に私が何かやっちゃったよね……」と思って(苦笑)。(楠瀬)タクヤさんが間違えるわけないもん(注:藍井が次の段取りを思い出すまでの間、楠瀬がドラムを叩き続けて場を繋いでいた)。あれは悔しかったなあ。

重永 映像化する際は、ぜひ収録してほしいですね。

藍井 いや〜、あそこはカットしてくれ〜(笑)。



――次の質問にいきましょう。Andrew ミチオ Tiburcioさん(@MICHIO87)からは「“夢の国”とかリアルのエイルランドのコンセプトをどう考えたんですか?」とのことでした。「不思議の国のアリス」のコンセプトはどこから生まれたのでしょうか?

藍井 実は順番で言うと、ニューアルバムの『KALEIDOSCOPE』の話が先にあって、アルバムのアートディレクターさんが「不思議の国のアリス」的な要素を入れたいというアイデアを出してくださったところから、ライブにもそのイメージを取り入れることにしました。ファンの皆さんからすると、ライブがアルバムの伏線になっている状態で、アルバムを手にしたときに「だからライブはああいう演出だったんだ」と気付く部分が多いんじゃないかと思います。

重永 ニューアルバムのタイトルが決まっているなかで、先にそのタイトルを付けたライブを行うのは初めてだったよね。普通は作品をリリースしてから、そのタイトルのライブを行う流れだったから。

――その意味ではニューアルバムがますます楽しみになってきました!続いてはぺんたっくすさん(@pentaxs0v0)賛歌らの質問。「ライブの衣装チェンジの時、エイルの朗読が流れてカレイドスコープの世界観にマッチして印象的でした。あの朗読内容はもしやエイルが考えたのでしょうか?」。

藍井 もちろん全部私が考えました。(ライブの)演出家さんに「朗読してもらうから、詩を考えてきて」って割と雑に依頼されて(笑)。そこから4日くらいかけて作ったものを持っていったら、少し削ったくらいで基本OKでした。雑に言われましたけど、私は丁寧に作りました(笑)。

重永 そこは大事だよね(笑)。

――あのパートには「水鏡の詩」という題名も付いていましたが、普段の歌詞を書く作業とはまた違ったのではないでしょうか?

藍井 歌詞を書くのとは違いましたけど、いつもCDをリリースするときにコメントを書くのと似たような感覚でしたね。小説の一部分を書いているような気分にもなりました。

――もしかして、新しい扉を開くことができた?

藍井 その朗読をレコーディングしたときに、新しい扉を開いた感があったかも。自分の中ではスラスラ言えているつもりなのに、(録音した音声を)聴いてみるとすごく舌足らずに聞こえるんですよね。なんかテチテチしていて(笑)。

重永 まあ歌の技術とは別物だから、難しいよね。

藍井 そう。声優さんの朗読はやっぱりスラスラしているじゃないですか。声優さんが普通に歩いていたり、早歩きしている感じだとすれば、私はまだハイハイしている感じがすごくしました。

――それと、ぺんたっくすさんから「あと収録する時はカミカミエイル発動しましたか?」とのことですが。

藍井 もちろんめちゃめちゃ噛みました(笑)。私のことをちゃんとわかってくださっていて、ありがとうございます!

重永 エイルなら噛むだろうっていう(笑)。

藍井 たまにTwitterで「今日もポンコツで良かった」と書かれるんですけど、最初は「これはどう受け止めればいいんだろう?」と思って(笑)。結果、プラスに受け止めることにしました。

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レアな話続出!?藍井エイルと重永亮介が共に歩んだ10年



――ENCOREで1stライブの頃のお話も少し出てきましたが、重永さんはその頃からずっとエイルさんのライブをサポートされています。そんな重永さんから見て、エイルさんのこの10年の変化をどのように感じていますか?

重永 変化は当然あると思うんですけど、ずっと一緒にいるからこそ、「今回で急に変わったな」みたいなことはあまりないんですよね。もちろん、レコーディングした音源を聴くと、歌い方を変えたことに気づいたりはしますけど。自分も一緒に年を取ってきたので、徐々に変化してきたことを感じながら、10年やってきた気がします。

藍井 昔を振り返ると、私も、当時のバンドメンバーも、すごく子どもだったと思うんですよ。今が「部活」だとするなら、あの頃は「クラブ活動」というくらいの違いがあったよね?

重永 そうだね。僕らも当然若かったし、リハーサルの進め方も今とは違っていて。

藍井 まだ重永さんがバンマスではない時期もあったので。

重永 そうそう。バンマス不在というか、本当にバンドっぽくやっていた時期があったんですよ。譜面を見て決めるのではなく、曲が終わったらみんなで意見を出し合って「じゃあこうしようか」って何となく決めていくような感じだったので。そこから自分がバンマスに任命されて、ガチガチでプロとしてやっている人が入ってくることで、ようやくプロのやり方がわかっていったところがあって。そこがプロアマの境界線になったところかな。

藍井 「ああ!こうやってやるんだ!」みたいな瞬間があって。昔はライブのときにだけ集まる話しやすい仲間というか、ほぼ友達みたいなノリだったけど、今は実際にみんな仲もいいんですけど、色んな現場でやっている人たちが集まっているので、パキッとするところはパキッとしていて、「ここまではアリだけど、ここからはナシ」というのがはっきりと分かれている感じというか。なので、今はやっていないけど、ライブ後の打ち上げの雰囲気も変わったよね。

重永 それは話していいことなの?言っていいのであれば、色んな恨みつらみがあるんだけど(笑)。

藍井 いやいや(笑)。でも昔は結構バカなことをやっていて、黒須(克彦)さんが納豆を食べたことがないというから、ホテルの部屋のドアノブに納豆を袋掛けして「一回食べてみたら?」って(笑)。

重永 そんな甘いもんじゃないでしょ。僕はトマトが苦手なんですけど、エイルに無理やり食べさせられて吐いたりしてましたから(笑)。

藍井 ローリン(黒須)にも、「あのときの納豆食べてないでしょ? じゃあ今日は食べてみなよ!」ということで、居酒屋で納豆を頼んだんですけど、ローリンは納豆のかき混ぜ方がわからなくて、かき混ぜていくうちに、どんどん納豆が上のほうに上がってきて周りに弾け飛んだんですよ(笑)。

重永 なんで人が嫌がるものを食べさせるのが好きなの?(笑)。

藍井 逆に私はピータンが食べられないんですけど、ローリンに「じゃあエイルにはピータンを食べてもらう」と言われて。あれ? あのとき、私、ピータン食べたんだっけ?

重永 逃げたよ(笑)。「食べたんだっけ?」じゃないよ!

藍井 (笑)。とにかく、昔はそういう打ち上げをやっていたんですけど、だんだんライブのセットリストをみんなで見ながら話し合ったり、映像を観ながらおさらいすることが多くなりました。

重永 我々も10年経って、年を取る中でちゃんとしていったし、黒須さんは今では毎日納豆を食べています(笑)。

藍井 えっ、そうなの?やったー!なんか自分がひと仕事した気持ちになっちゃった(笑)。

――エイルさんのおかげで黒須さんが食わず嫌いを克服したと(笑)。じゃあエイルさんもピータンを食べてみては……。

藍井 ピータンは3年くらい前に食べてみたんですよ!でも、めちゃくちゃダメでしたね。

一同 (笑)。

藍井 私は道産子なのにじゃがいもが苦手なんですけど、ピータンはその10倍ダメでした(笑)。この打ち上げの話はどこでもしゃべっていないので、結構掘り出し物になったと思います。いつもなら「この話はできないよね」ということで飛ばすところですけど、リスアニ!ならOKです(笑)。

重永 俺はまだいくらでも言いたいことあるんだけどね(笑)。

藍井 それはダメ!(笑)。



――ともかく仲が良いことは伝わってきました(笑)。では、そろそろ最後の質問にいきましょう。Hiroki☆eirさん(@EiruHiroki)からです。「横アリ最高の景色ありがとうございました。最初から最後まで素晴らしい構成、曲ごとにいろんな当時のことを思い出しました。カレイドスコープの世界はこれで終わりではなくアルバムやDVDとしてさらに広がって行くんですね。次の目標をぜひ教えてください(^^)」。

藍井 今度は東京(関東)以外でもアリーナ公演をやってみたいですね。札幌の真駒内アリーナ(真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)とか、色んなところのアリーナでライブをやってみたいし、自分主催のフェスを北海道で開催してみたいです。あとは、もし機会があればミュージカルもやってみたいんですよ。気持ちを込めながら歌う訓練にもなると思うし、より歌が洗練されていくのではないかなと思っていて。ただ、歌の活動を1ヵ月以上お休みするのが難しいんですよね。まだまだチャレンジしたいことはたくさんあります。

――頼もしい!重永さんがエイルさんにチャレンジしてほしいことはありますか?

重永 自分的には山口でライブがしたいですね(注:重永亮介は山口県出身)。

藍井 あー!私も行きたい!

重永 だから山口も回るくらいの本数のツアーをやってほしいという希望があるけど。

藍井 47都道府県ツアー?やりたい!今までは最高でも16公演くらいだもんね。

重永 そう、それよりも多い本数を。もちろんアリーナもいいけど、エイルは元々ライブハウスでもたくさんやっていたから、そういう場所でのライブも得意だし。あと、熊本公演が一度中止になったので(注:「Eir Aoi LIVE TOUR 2016 “D’AZUR-EST”」の熊本公演が地震の影響で中止になった)、熊本ではいつかやりたいよね。

藍井 熊本は絶対に行きたい!色んな意見があるので、まだ叶えられるかはわからないけど、熊本で(ライブを)やりたい気持ちは、正直、あらゆる都道府県の中で最も強いですね。地震でライブができなかったので、守れなかった約束を熊本に置いたままなんですよね。その約束をちゃんと回収しに行きたいです。

――いいですね。ENCORE本編でも触れていましたが、自分も横アリ公演の「虹の音」から「約束」の流れは感動しました。

藍井 ありがとうございます!実は私もあのとき、少し泣いていたんですよ。「虹の音」のDメロ辺りと、「約束」でもちょっと泣いたかな。私、サウナには全然入らないのでこれは想像なんですけど、あのときはサウナで整っているような気持ちでした(笑)。ややこしいことは一切考えず、すごく整った状態で泣いているっていう。

重永 めっちゃいい涙やん。

藍井 そう。純粋無垢で本当にきれいな涙が流れて。あの日は本当に邪念が少なかった気がする。「これは大丈夫かな?」みたいなことが一個もなかったよね。

重永 本当にそうだったね。突き進んでいくだけっていう。

藍井 一本道をみんなでぞろぞろと進んでいって。バンドメンバーの紹介のときだけは「あれ? どっちだっけ?」ってなったけど(笑)、その後は引き続き真っ直ぐ進む感じだったので。それだけにあの失敗は本当に悔しい!

重永 まあ曲中ではなかったから大丈夫だよ。体感では1分くらいに感じたけど、実際はそんなに長くはなかったと思うし。

藍井 じゃあ、映像になるときは、あそこの部分はカットでお願いします!(笑)。

●配信情報

セットリストの楽曲とともに、今回のインタビューとは異なるトークを聞くことができるポッドキャストシリーズ『ENCORE -Music+Talk Edition-(アンコール ミュージックアンドトークエディション)』はこちらをチェック!

https://lnk.to/encore_filtrAL

セットリスト・プレイリストはこちら

https://lnk.to/5duevwGSAL

【「ENCORE」とは】

グローバルプレイリストブランド、Filtr(フィルター)の日本版、Filtr Japanが運営するプレイリスト『ENCORE(アンコール)』は、ライブ前にライブを予習することが出来るアーティストの代表曲を集めた“予習“プレイリスト、そしてライブ終演後、それが即時にセットリスト・プレイリストへと更新されるという新しい形のプレイリスト。

11月13日に横浜アリーナにて開催された【Eir Aoi 10th Anniversary LIVE 2022 ~KALEIDOSCOPE~ History of 2011-2022】について藍井エイル本人、およびバンドマスターとキーボードを務めた重永亮介による振り返りトークがセットリストと一緒に聴けるポッドキャストシリーズ『ENCORE -Music+Talk Edition-(アンコール ミュージックアンドトークエディション)』が公開中!

●リリース情報

New Album

「KALEIDOSCOPE」

2023年1月11日(水)発売

【完全生産限定盤(CD+BD+DVD+PHOTOBOOK+Tシャツ)】



価格:¥11,000(税込)

【初回生産限定盤A(CD+BD+PHOTOBOOK)】



価格:¥4,400(税込)

【初回生産限定盤B(CD+DVD+PHOTOBOOK)】



価格:¥4,400(税込)

【通常盤(CD)】



価格:¥3,300(税込)

<CD: 収録曲>

01.Kaleidoscope

02.心臓(「劇場版ソードアート・オンライン -プログレッシブ-冥き夕闇のスケルツォ」主題歌)

03.星が降るユメ(TVアニメ「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」EDテーマ)

04.ANSWER(アプリゲーム「ソードアート・オンライン ヴァリアント・ショウダウン」主題歌)

05.HELLO HELLO HELLO(TVアニメ「カッコウの許嫁」2期EDテーマ)

06.PHOENIX PRAYER(TVアニメ「15周年 コードギアス 反逆のルルーシュ」第2オープニングテーマ)

07.ロゼ(Lyrics & Music by 須田景凪)

08.月を追う真夜中(TVアニメ「グランベルム」オープニングテーマ)

09.アトック(TVアニメ「BLUE REFLECTION RAY/澪」第2クールオープニングテーマ)

10.Campanula(Lyrics & Musi by 中村未来[from Cö shu Nie]

11.鼓動(TVアニメ「バック・アロウ」2ndオープニングテーマ)

12.I will…(TVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」2ndクールエンディングテーマ)

13.YeLL(日本工学院CMテーマソング)

<BD/DVD>

01.「心臓」Music Video

02.「HELLO HELLO HELLO」Music Video

03.「PHOENIX PRAYER」Music Video

04.「アトック」Music Video

05.「鼓動」Music Video

06.「I will…」Music Video

07.「月を追う真夜中」Music Video

08.「星が降るユメ」Music Video

09.「ANSWER」Music Video

10.「心臓」Studio Live

関連リンク



藍井エイル オフィシャルサイト

https://www.aoieir.com/

特設サイト『藍井エイル 10th Anniversary 「SAI」』

https://www.aoieir.com/special/10th/

藍井エイル 公式Twitter

https://twitter.com/eir_ruru

藍井エイル 公式YouTube

https://www.youtube.com/channel/UCZ7B1oCEDT_d4c9XTtChX7w