イメージにドンピシャの車名で大ヒットを後押ししたクルマもあれば、「その車名じゃなければ、もう少し売れたのでは?」、「明らかに名前負けだよね」というクルマもあるほど、車名とはそのクルマにとって大事なものです。

しかし、だからこそ「名の売れたクルマの車名にあやかりたい」と、サブネームつきで弟分や派生車である事を強調した結果、パッとしなかったり短命で終わるクルマもあり、今回は日産車から3台をご紹介します。

バイオレットリベルタ(1981年)

■たった1年で廃止されリベルタビラへ

日産 バイオレットリベルタ

1970年代、4代目610型で2L直6エンジンも搭載するなど車格アップしたブルーバード(ブルーバードU)の旧ポジションに初代710型バイオレットが登場、1981年にはFF化された3代目が「バイオレットリベルタ」を名乗りました。

しかし、その間に直6エンジンをやめた6代目910型ブルーバードが登場(1979年)。

FRのブルーバード、FFのバイオレットリベルタと違いはあったものの、同じ日産店(ブルーバード販売会社)で1.6~1.8L級エンジンを積むセダンは2台もいらないと、本来ブルーバード後継車だったはずのバイオレットリベルタが、たった1年で廃止されてしまいます。

結局、パルサーやラングレーの兄弟車(4ドアセダン版)へと車格を下げた「リベルタビラ」として再構築されますが、バイオレットの名を冠せず最初からそうしていれば…と思わざるをえません。

ローレルスピリット(1982年)

■サニーの魂を持ち、ローレルの精神で内外装を仕上げたクルマ

日産 ローレルスピリット(初代)

4ドアセダンはセドリックとローレルのみだった日産モーター店(ローレル販売会社)で、ローレルの雰囲気を持つ小型車、今でいう「小さな高級車」として発売されたのが、ローレルスピリット。

スピリットとは英語圏では「精神」や「心」に相当する言葉ですが、日本ではソウルと並んで「魂」に相当する言葉と解釈される事もあり、ローレルスピリットは「ローレル精神」、あるいは「ローレル魂」と読めます。

ただしメカニズム面ではB11(初代)、B12(2代目)と2代続けてサニーそのまま、内外装はローレルっぽく見せようという努力はしていましたが限界はあり、当時は単に「ローレルに乗りたいけど、買えない人が乗るなんちゃってローレル」に見えてしまったのが難点です。

後継車プレセアのように、最初からローレルの名に頼らず小さな高級車づくりに徹していれば、後に評価されたかもしれないクルマでした。

スカイラインクロスオーバー(2009年)

■なんならスカイウェイでもよかったのでは?

日産 スカイラインクロスオーバー

11代目V35(2001年)の時点で「これに伝統の車名を与えてよいのか?」と物議をかもしたスカイラインですが、それでも12代目V36(2006年)の頃にはあきらめがつき、「そういうクルマになんだから仕方ない」と思い始めた2009年にスカイラインクロスオーバーが登場。

高級セダン/クーペのスカイラインに対し、5ドアハッチバックSUVではイメージ的に共通点を見出すのは難しく、量販が見込めそうな北米仕様の2.5L仕様をラインナップせず、3.5Lエンジンのみだった事もあって販売は低迷。

スカイライン(またはローレル)ワゴンのステージアや、プリンス時代にはスカイラインバンのスカイウェイという例もあるので、無理にスカイラインを名乗る必要は全くなかったように思えます。

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